がん看護 26巻3号 (2021年3月)

特集 進行・再発がん患者へのケア

特集にあたって 入江 佳子
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 近年,がん治療薬の新規開発や適応拡大,先進医療やがんゲノム医療の発展により,がんの集学的治療の選択肢は増加し,多くのがん患者が長期にわたり治療を受ける傾向にあります.進行・再発がん患者は,限られた可能性の治療や未知の治験などから治療を選択し,治癒を目指すことのできない病気の治療を継続するか,またはがんと闘う治療を終了し,症状を和らげながら病気の進行と付き合う緩和医療一本にするかの決定を迫られます.いずれを選択してもそのゴールは死に向かっており,多くの患者は藁にもすがる気持ちでわずかな可能性にも期待をもちながら,終わりの見えない道を歩むことになります.また,進行・再発がん患者が体験する,疼痛,呼吸困難などの苦痛症状は死を想起させ,ADLが制限されることにより生活の質の低下が起こり,先行きの見えない不安や悲嘆が増強することも少なくありません.

 進行・再発がん患者にかかわる看護師は,患者の複雑な病態を把握し,患者・家族の希望や状況に応じた意思決定支援を行い,治療のサポート,有害事象マネジメント,心身の症状マネジメントを並行し,先々の患者の変化を予測しながら療養のサポートを行っていく必要があると考えます.また,急激な病状の変化が起こる場合もあり,患者との十分なコミュニケーションを図ることができない状況で意思決定支援を行わなければならない状況も起こり得ます.このような患者とのかかわりのプロセスにおいては,解決困難な身体症状のマネジメントや,患者・家族の強い不安や予期悲嘆にも対応し,倫理的問題や患者背景の複雑な問題にも直面することが多く,経験豊富な看護師であってもジレンマや疲弊感を感じると思います.

 本特集では,進行・再発がん患者にかかわる看護師が知っておくべき基礎知識とともに,臨床でよく出合うケアに難渋するようなケースの紹介,および昨今話題のがんゲノム医療,アドバンスケアプランニングに関して,臨床でのがん看護実践者が安心して積極的にケアに取り組むことができる情報を,がん医療・がん看護のスペシャリストの最新知見も含めて解説します.また,体験者の生の声からがん患者の不安や生活への影響を学び,患者・家族のニーズを理解し,つらい状況に寄り添いながら質の高い看護実践ができる力をもち,社会や医療の動向に即したがん医療の現場で活躍できる一助となることを期待します.

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 進行がんや,治療後のがんの再発の告知は,患者にとって,がんを完全に治す治療ではなく,がんと付き合っていく治療のスタート地点に立つことを意味する.また,治療効果が得られなくなったとき,生命や生活に影響を及ぼす症状が出現したとき,有害事象がつらくなったとき,社会生活に支障をきたしたときなど,急な状況の変化の中,むずかしい意思決定を迫られる.昨今がん治療の場は外来が中心になってきており,重要な局面の説明や意思決定が外来で行われることが多く,医師の説明や説明後のサポートに十分時間を取ることがむずかしいことが多い.

 進行・再発がん患者の看護に携わる看護師は,それぞれの重要な局面で,強い不安を抱える衝撃の渦中にある患者や家族の伴走者となり,気持ちに寄り添いながらサポートできる力を備えておくことが求められる.

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疫学(図1, 図2

 がんの死亡数と罹患数はともに増加し続けているが,人口の高齢化の影響を除いた年齢調整率で見ると,がんの死亡は1990年代半ばをピークに減少,罹患は1980年代以降増加している1,2).2018年にがんで死亡した人は373,584人,2017年に新たに診断されたがん(全国がん登録)は977,393人と報告されている.死亡数の多いがんは順に,男性で肺がん,胃がん,大腸がん,女性では大腸がん,肺がん,膵がんである.一方,罹患数の多いがんは,男性は前立腺がん,胃がん,大腸がん,女性は乳がん,大腸がん,肺がんである.

メカニズム

 がんの発生には,①がん遺伝子の活性化や,②がん抑制遺伝子の失活,遺伝子変異の蓄積による,③多段階発がんなどのメカニズムが知られている.

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はじめに

 がん治療の進歩は目覚ましく5年生存率は年々上昇しているが,進行・再発固形がんの多くは治癒困難である.治癒困難であり,いずれはこの病いで生命を失うという厳しい病状・治療説明のほとんどは現在外来で行われている.外来診療の時間制約の中で,医師は厳しい病状と治療の見通しを伝え,患者と家族は理解し,受け止め,意思決定をしなければならない.外来に勤務するがん看護専門看護師として,進行・再発がん患者への病状・治療説明に同席することも多く,本稿ではとくに外来における進行・再発がん患者のこころのケアついて述べる.

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 がん治療の大きな進化にもかかわらず,がんと診断された患者の不安は今も昔も大きく変わるところはない.一般的には,がん患者はがんの告知や再発,進行など,ストレスの大きい説明などを受けた際に,否認,怒り,取引,抑うつ,受容という段階を経るとされているが,個々のがん患者が常に一般的な経過をたどるわけではなく,ときに悲しみ,ときに受け入れ,ときにエンカレッジされるという過程,すなわちあたかも波のように移り変わる心的な状態を経験しながら,がん治療を受けている

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はじめに

 転移性脳腫瘍は,がん患者の約10%程度に生じると報告されている1)

 脳の特性上,腫瘍の増大に伴い,浸潤されている領域の脱落症状が起こるため,人間のあらゆる活動にさまざまな影響を及ぼす.とくに,意思疎通がむずかしくなると,ケアを行う上で困難さを生じることが多くなる.

 ケアを行う上での困難さの具体としては,治療への協力が得られづらい,危険行動を起こしやすく,患者の安全を守るための対応に時間を割かれるなどがある.加えて,本人の意思の把握がむずかしく,ケアや医療に患者の意向を反映しづらい.また,ケアや医療の方針に関する意思決定が必要な状況になった場合に,患者本人が意思決定できる状況かを判断することや実際にどのようにサポートを行えばよいか迷うことも多く経験する.

 今回,脳転移による症状により,意思決定がむずかしい患者のサポートに必要な考え方や支援について概説する.

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骨転移患者の特徴,病状進行に伴う生活の支障

 近年,骨転移は,すべてのがん腫で出現する可能性があり,骨転移があれば,臨床病期Ⅳ期の進行がんとなる.その背景には,がん治療の進歩によるがん患者の生存期間の延長,がん罹患率の上昇,画像診断技術の発達などがある.骨転移の頻度はがん腫によって異なる.骨転移の多い順でがん腫をみると,①乳がん,②前立腺がん,③甲状腺がん,④肺がん,⑤膀胱がん,⑥腎がん1)である.また,骨転移は血行性に生じる場合が多いと考えられており,転移が起こる部位は,①腰椎,②胸椎,③頸椎,④仙骨の順に多く,四肢骨,とくに末梢骨への転移はきわめてまれ1)である.

 骨転移の初期では,無症状の場合も多い.骨転移の症状は,一般的に,疼痛,病的骨折,脊髄圧迫,高カルシウム血症などがあり1),病的骨折,脊髄圧迫,高カルシウム血症では,緊急的対処が必要となる.それらの骨転移の症状が1つでも生じると,患者の日常生活動作(ADL)に多大な支障をきたし,患者のQOLが著しく低下する.とくに,脊髄圧迫に伴う上肢または下肢の麻痺や膀胱直腸障害が出現した場合,緊急的対処が間に合わなければ,麻痺や膀胱直腸障害は改善しない.突然の麻痺や膀胱直腸障害の出現により,これまでなんの支障もなく生活していた日常が一変するため,患者の衝撃は計り知れない.

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はじめに

 がん患者における呼吸困難の頻度は46~59%1)とされ,死亡1ヵ月前から急激に増加する2).呼吸困難は,わが国で鎮静の標的症状として報告された症状のうち,せん妄と並んで33%3)にのぼるコントロールに難渋する症状であり,全人的な苦痛で見守る者もつらさを感じる.

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腹部膨満感のある患者の特徴

腹部膨満感とは

 腹部膨満感は「おなかがはる」「おなかが重苦しい」という自覚症状であり,進行がん患者においては,腹水貯留,消化管閉塞や便秘による腸内ガス貯留,腹腔内腫瘍の増大などのさまざまな病態により起こりうる.原因によって対処法が異なってくるため,医師の診断をふまえて,身体所見や臨床症状,検査結果に基づいてアセスメントすることが重要である.

 ここでは腹部膨満感の主要な原因となる腹水貯留と消化管通過障害を取り上げる.

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はじめに

 がんゲノム医療は,がん遺伝子パネル検査が2019年6月に保険収載されたことで,薬物療法における薬剤選択のための検査として全国に実装された.

 がん遺伝子パネル検査は,がん診療連携拠点病院等の専門部署で扱われていることが多い.そのため,患者が検査を決める前後にかかわる医療者は限られており,がんゲノム医療によって,患者の治療状況がどう変化し,患者の意思決定や療養選択にどう影響しているのか,理解しづらくなっている.

 本稿では,がん遺伝子パネル検査と,結果に基づく薬剤選択のしくみや,検査の不確実性と限界について説明する.そして,実際に検査を受ける患者の背景や思いについて理解を深め,患者に必要なアセスメントのあり方や看護を見出す一助としたい.

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はじめに

 近年のがん治療開発,適応拡大などは目覚ましく,医療者でさえ情報の理解が追いつかないこともある.そのような中,進行・再発がん患者が予後や悪化のプロセスをふまえて今後の治療やケア,療養場所を意思決定するには多くの困難があると考える.2018(平成30)年に改訂された「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」1)では,心身の状態の変化などに応じて,本人の意思は変化しうるものであり,医療・ケアの方針や,どのような生き方を望むかなどを,日ごろからくりかえし話し合うこと(ACPの取り組み)の重要性が強調されている.今後,進行・再発がん患者のACPの支援に,診断期から終末期までがんのプロセス全般にかかわる機会のある看護師に期待される役割は大きいといえる.ここでは,日ごろの看護実践の中でどのようにACPへの支援を進めていったらよいのか,筆者らの行った研究の結果などをふまえて考えてみたい.

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はじめに

 生きることと引き換えに,手術,放射線治療,薬物療法などの侵襲的な治療が積極的に行われるがん治療においては,瘢痕や脱毛,皮膚障害など,さまざまな外見の変化が生じる.これらの治療に伴う外見の変化は,人種や性別を問わず,患者に大きな苦痛を与える1).そこで近年は,医療においても外見の問題に取り組み,患者を支援しようとする流れが生じてきた.本稿では,とりわけ,わが国における医療現場でのアピアランスケア注1のあゆみを振り返りつつ,今後の課題を明らかにする.

連載 My Favorite Medicine!! 私が注目している抗がん薬を紹介します 【13】

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どんな薬?

 アルブミン懸濁型パクリタキセルは,人血清アルブミンとパクリタキセルを結合させてナノ粒子化したパクリタキセル製剤です.一般的にnab-パクリタキセルと呼ばれていて,過敏症などによりパクリタキセルを使用できない,あるいは前投薬で使用するステロイド薬をためらう患者などに使用できます.

 パクリタキセルは,水にきわめて溶けにくいという性質があるため,溶媒としてポリオキシエチレンヒマシ油(クレモホール®EL)および無水エタノールが使用されています.これらの溶媒によって過敏症などの副反応が出現するため,前投薬や投与時間の調整などの対応を行っています.ポリオキシエチレンヒマシ油はアレルギー反応(瘙痒感,呼吸困難感,血圧低下など)を高頻度で起こすため,予防的にステロイド薬と抗ヒスタミン薬の前投薬を行います.また,無水エタノールは3週間に1回投与するレジメンの場合,ビール500 mLに相当するアルコールが含まれているため,治療後に車を運転すると飲酒運転と判断されます.さらに,アルコール過敏症の患者に使用した場合,「顔がほてる」「赤くなる」「かゆい」「頭が痛い」などの症状を訴えられます.こういった,過敏症やアルコール反応のためにパクリタキセルを使用できない患者への投与,あるいは点滴時間の短縮,前投薬なしで使用できるというのがnab-パクリタキセルです.

 nab-パクリタキセルは米国のAbraxis BioScience社が開発した薬で,パクリタキセルを人血清アルブミン存在下で処理するとナノ粒子が得られることを見出した結果,ポリオキシエチレンヒマシ油や無水エタノールがない状態でもアルブミンで安定化されたパクリタキセル製剤をつくることができました.このことによってnab-パクリタキセル使用時は,前投薬不要,点滴時間の短縮,1回投与量を増やすことも可能になりました.しかし,投与量が従来のパクリタキセル製剤に比べ多く使用できることから末梢神経障害などの頻度が高くなることと,人血清アルブミンを使用していることから,特定生物由来製品に該当するため,投与時には医薬品名,製造番号または製造記号,使用年月日,患者の氏名,住所などを記録し,少なくとも20年間保存することが決められています.

連載 がんも身のうち ~患者と看護教員 一人二役 リアルレクチャー~ 【7】

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プロフィール&メッセージ

 生まれ落ちた星座はcancer.その後小児がん看護に携わり,後進の指導にあたっていた私はがん歴12年のベテラン患者.今は再発乳がんと共存中です.とことんがんに縁があるならば,教科書にはない患者・看護教員として感じたリアルな実体験を,看護者そして患者さんと分かち合っていけたらなと思います.

 私は今までがん以外の疾患も含め,7ヵ所の病院に,合計350日ほどの入院経験があります.今回は趣向を変えて看護師の知らない病室の世界について,お話しさせていただきます.ちょっとドキッとするかも…….

連載 子宮頸がん 私自身,そして子どものことも考える ~HPVワクチンと子宮頸がん予防の正しい知識~ 【6】

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子宮頸がん撲滅のために

 2018年5月,WHO事務局長は,「子宮頸がんの排除は,全世界的な公衆衛生上の問題である」と,世界に子宮頸がんの排除のための行動をよびかけた.描きたい未来は,2090年までの排除.今の学童期の子どもたちが,おじいさんやおばあさんになったとき,「昔は,子宮頸がんって病気があってね……」と昔話になっている世界である.そのころ,私たちは,この世にはいないかもしれないけれど,子宮頸がんで苦しむ女性がいなくなる,そんな未来をつくるために,今,なにをすればよいか? WHOでは,2030年までに達成したい目標を3つ挙げている1).一つ目は,9割の15歳女子がHPVワクチンを接種すること(一次予防),二つ目は7割の女性が,35歳と45歳のときに確実性の高い子宮頸がん検診を受けること(二次予防),3つ目は検診で異常を指摘された女性の9割が治療とケアを受けること.日本の現状は程遠い注1

 連載の第6回目は,その目標の二つ目,子宮頸がん検診について概観する.

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はじめに

菅野かおり  

 

 2020年は新型コロナウイルス感染症のパンデミックを受け,日常生活はもとより,医療現場の環境が大きく変化した.医療材料の不足,患者の受診制限(外来・がん検診),発熱や咳嗽,倦怠感などの症状を示す患者への特別な対応方法など,感染症病棟のみならず各分野での医療体制に大きな影響をもたらしている.

 がん薬物療法を実施している現場においても,免疫抑制のある患者に対して感染予防を含めどのように対応していくか,医療材料が不足している状況でどのような曝露対策を行っていくのかなど,多くの工夫を凝らして看護にあたっている.そこで,本稿ではいわゆる新型コロナウイルス感染症蔓延第1波のときに,どのような影響があり,どう対応したのかを4名のがん化学療法看護認定看護師に報告してもらう.すでに各施設で十分な対応をされていると思うが,他施設の状況を知って今後の対応見直しや準備などに活用していもらいたい.

連載 対話に学ぶコミュニケーション ~第二の患者である家族とのかかわりかた~ 【1】

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事例紹介

 患者はスキルス性胃がんのため3ヵ月前に胃全摘術+リンパ節郭清術を行った80代後半の一人暮らしの女性(相談に見えた娘との対話の中で得た情報).

 毎日患者の様子を見に行き,食事のお世話をしているという娘が,「手術してから3ヵ月も経つが,何も食べてくれず,どうしてあげたらいいのか悩んでいる」と,がん相談支援センターに見えた.「何から話せばいいのかわからなくて,相談していいものかどうか」と不安そうに話していたので,看護師が面談をすることになった.

リレーエッセイ こちらがん看護スペシャリスト奮闘中! ~新たな敵と対峙してがん医療を前進させる~ 【2】

がん治療が招く感染リスクに挑む

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自己紹介

 私は2006年にがん化学療法看護認定看護師,2011年にがん看護専門看護師の認定を受けた後は,通院化学療法室でスタッフナースとして3年間の経験を経て,同部署でプレイングマネージャーとして5年間,スタッフとともに奮闘してきました.がん薬物療法を受ける患者に必発する副作用を予防緩和していくための体制強化やスタッフ教育,他部門との調整役割に励む一方で,「どうすれば患者が本来もっている力を引き出すことができ,さらに高めることができるか」ということを念頭に,データの集積やICT(情報通信技術)の活用などを通じて,患者のセルフマネジメント力を高めるための支援を強化するべく模索してきました.

 現在は,新設された教育部の看護師長として,年間教育計画の立案や倫理教育プログラムの構築,看護研究活動への支援,スタッフのメンタルヘルス支援,がん診療連携拠点病院事業など,多岐にわたる活動を通して多職種・他部門のスタッフとかかわりつつ,自他ともに成長する喜びをかみしめながら自己研鑽に励んでいます.

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自己紹介

 私は三重県北部にある桑名市総合医療センターのがん相談支援センターで勤務しています.当院は400床を有し,がんや脳卒中,循環器疾患の治療に力を入れている中核病院です.新型コロナウイルス感染症患者等入院医療機関として指定を受け,現在も新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)の検査や治療を行っています.

 私が専門看護師(以下,CNS)を目指したきっかけは,臨床の中でがん患者さんとかかわることが多く,その人らしく生きることを支えたいと考えてきたことです.大学院では,「がんという命を脅かす疾患に罹患し,治療やケアを受けておられる中で,患者さんがもっている力を引き出し,ご自身の生活を調整できるよう支援していくことの大切さ」を学びました.2013年にCNSの資格を取得し,その後は,病棟や外来化学療法室,緩和ケアチームなどで活動してきました.

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自己紹介

 私は,母や祖母,叔母が看護師であったため,小さな頃から“母のような看護師になる”と,この職業以外を考えたことがない幼少期でした.看護学生となり国家試験の勉強をしていた時期に母の卵巣がんがわかり,私たち家族は約5年の月日を闘病する母とともに“がん”と向き合ってきました.なかでもがん薬物療法を受けている時期は,コントロールできない吐き気や倦怠感に悩まされ,効果的な対処方法を行えないまま,ただ我慢する母を看ることしかできない日々が続きました.そのときの不甲斐ない自分への戒めや後悔を糧に,がん治療期の患者さんを支えたいと思い,母を看取った直後,看護師6年目でがん化学療法看護認定看護師の資格を取得しました.認定看護師としての実践を重ねる中で,治療期から終末期へ移行する中で残された時間をすべて治療に費やし,最期を迎える患者さんを看てゆくなかで,本当にこれでよかったのだろうか? ご家族は患者との別れをどう感じているのだろうか? ご家族のこれからはどうなるんだろうか? と,治療期における医療者のかかわりを自問するようになりました.医療チームのかかわりによって,最期の時間の過ごし方や,残された家族の将来が変わってくるのではないかと思うようになりACPのあり方が重要であると再認識しました.上記を機に専門看護師(CNS)を志し,2019年にがん看護CNSを取得しました.私は現在,緩和ケアセンターに所属し,院内の緩和ケアチームの専従として2年目,がん看護CNSとしては1年目の新米看護師です.

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 若年性乳がん患者への看護は,その世代の特有な発達課題や心理社会的問題等の取り組むべき課題が山積されているが,具体的な解決策については研究途上である.

 本研究では,わが国における若年性乳がん患者への看護の現状と病期別課題を明らかにすることを目的に国内外の文献を検索して,国内7件と国外24件の文献を抽出した.5つの病期(予防期・診断期・治療期・継続期・終末期)の視点から内容を分析・検討した結果,「終末期」を除く,各病期において7点の看護課題(乳がんリスクマネジメント,遺伝情報に関する支援,意思決定支援,緩和ケア,セクシュアリティ・妊孕性の支援,家族支援,QOL向上への支援)のいずれかが見出された.

 今後,日本において,若年性乳がん患者が病期ごとに直面しうる看護課題を念頭に看護実践や研究を発展させていく必要がある.

基本情報

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がん看護
26巻3号 (2021年3月)
電子版ISSN:2432-8723 印刷版ISSN:1342-0569 南江堂

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