特集 患者の思いを引き出して支え,力を高める意思決定支援
意思決定支援の基本知識と支援のポイント
小澤 桂子
1
Keiko OZAWA
1
1国立がん研究センター がん対策研究所サバイバーシップ研究部,中央病院がん相談支援センター/がん看護専門看護師
pp.118-124
発行日 2025年3月1日
Published Date 2025/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango30_118
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意思決定支援とは
がん医療における意思決定支援の重要性
意思決定とは,ある状況において特定の目標を達成するために,複数の選択肢から最善のものを導きだそうとする行為のことである.医療の現場では,療養生活の中などでの比較的小さなものから,治療やこれからの療養の場の決定など大きなものまで,意思決定は毎日のように行われている.日本がん看護学会会員を対象に2022年に行われた調査1)において,「意思決定支援」「治療選択に関する意思決定」「療養の場の移行に関する意思決定支援」は,がん看護実践およびがん看護研究における重要課題のそれぞれ第5位までに入っており,がん看護において,看護師が意思決定支援をいかに重要と認識しているかがわかる.なぜこのように意思決定支援が重要と認識されているかというと,意思決定の主体が患者であることが広く認識されるようになってきたことや,高齢化に伴う認知症のあるがん患者の増加をはじめとして,ほかにも精神疾患や知的障害のある人,小児期やAYA世代でがんに罹患する人など,意思決定支援が必要な患者の存在がクローズアップされてきたことなどが考えられる.
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