特集 進行・再発がん患者へのケア
がんの転移・再発の概要 ~メカニズム・疫学・治療の考え方~
近藤 千紘
1
Chihiro KONDOH
1
1国立がん研究センター東病院 腫瘍内科
pp.200-204
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_200
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疫学(図1, 図2)
がんの死亡数と罹患数はともに増加し続けているが,人口の高齢化の影響を除いた年齢調整率で見ると,がんの死亡は1990年代半ばをピークに減少,罹患は1980年代以降増加している1,2).2018年にがんで死亡した人は373,584人,2017年に新たに診断されたがん(全国がん登録)は977,393人と報告されている.死亡数の多いがんは順に,男性で肺がん,胃がん,大腸がん,女性では大腸がん,肺がん,膵がんである.一方,罹患数の多いがんは,男性は前立腺がん,胃がん,大腸がん,女性は乳がん,大腸がん,肺がんである.
メカニズム
がんの発生には,①がん遺伝子の活性化や,②がん抑制遺伝子の失活,遺伝子変異の蓄積による,③多段階発がんなどのメカニズムが知られている.
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