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はじめに
わが国では,2025年のあるべき医療提供体制が示され,医療の機能分化と在宅医療の推進が図られている.がん治療を実施している医療機関の多くは高度急性期病院であり,がん薬物療法を提供する高度急性期病院では,質の高い医療を提供する体制の整備が求められている.がん治療の柱の一つであるがん薬物療法は,新薬の開発に伴い進化しつづけている.そのため近年,がん薬物療法看護に携わる看護師に対する教育の重要性がより増している.
がん薬物療法にかかわる看護師は,治療前から予防的な看護介入をすることで,症状が重症化することなく順調な経過をたどるよう,患者に支援を行う必要がある.また,治療にあたっては殺細胞性抗がん薬や分子標的治療薬だけでなく免疫チェックポイント阻害薬の特徴を理解したうえで,投与管理や緊急時対応のほか症状マネジメントを行うために,最新かつ高度な看護実践能力が求められる.
筆者は,高度急性期病院の一般病棟に所属し,がん化学療法看護認定看護師として施設のがん薬物療法看護の体制整備の役割を担っている.毎年,部署に新入職者や復職者,異動者を複数名迎えて,病院職員の構成員には多様な人材が在籍している.多様なヒストリー(複数部署の経験,社会人経験,育児・介護をしている,病気療養中など)をもつ看護師が年々増えており,この傾向は続きさらに多様化の幅は広がるのだろうと感じている.年々,多様なヒストリーをもつ看護師が増加し,高度な看護実践能力が求められる現状で,従来の看護師教育では,知識・技術の習得や評価がむずかしくなってきていたため,当院では教育の再構築が急務であった.
今回,自施設の看護師教育の紹介と筆者が行ったがん薬物療法看護の院内看護師教育への取り組み,そして取り組みからみえてきた課題について情報提供をしたい.
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