特集 進行・再発がん患者へのケア
脳転移のある患者のケア ~意思決定困難な患者のサポート~
橋口 周子
1
Chikako HASHIGUCHI
1
1神戸大学医学部附属病院緩和ケアセンター/がん看護専門看護師
pp.211-213
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_211
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はじめに
転移性脳腫瘍は,がん患者の約10%程度に生じると報告されている1).
脳の特性上,腫瘍の増大に伴い,浸潤されている領域の脱落症状が起こるため,人間のあらゆる活動にさまざまな影響を及ぼす.とくに,意思疎通がむずかしくなると,ケアを行う上で困難さを生じることが多くなる.
ケアを行う上での困難さの具体としては,治療への協力が得られづらい,危険行動を起こしやすく,患者の安全を守るための対応に時間を割かれるなどがある.加えて,本人の意思の把握がむずかしく,ケアや医療に患者の意向を反映しづらい.また,ケアや医療の方針に関する意思決定が必要な状況になった場合に,患者本人が意思決定できる状況かを判断することや実際にどのようにサポートを行えばよいか迷うことも多く経験する.
今回,脳転移による症状により,意思決定がむずかしい患者のサポートに必要な考え方や支援について概説する.
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