リレーエッセイ こちらがん看護スペシャリスト奮闘中! ~新たな敵と対峙してがん医療を前進させる~ 【2】
がん治療が招く感染リスクに挑む
がん治療 移行期の患者さんを支え続けるために
中村 千里
1
Chisato Kyomori NAKAMURA
1
1聖マリアンナ医科大学病院緩和ケアセンター/がん看護専門看護師・がん化学療法看護認定看護師
pp.250-251
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_250
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自己紹介
私は,母や祖母,叔母が看護師であったため,小さな頃から“母のような看護師になる”と,この職業以外を考えたことがない幼少期でした.看護学生となり国家試験の勉強をしていた時期に母の卵巣がんがわかり,私たち家族は約5年の月日を闘病する母とともに“がん”と向き合ってきました.なかでもがん薬物療法を受けている時期は,コントロールできない吐き気や倦怠感に悩まされ,効果的な対処方法を行えないまま,ただ我慢する母を看ることしかできない日々が続きました.そのときの不甲斐ない自分への戒めや後悔を糧に,がん治療期の患者さんを支えたいと思い,母を看取った直後,看護師6年目でがん化学療法看護認定看護師の資格を取得しました.認定看護師としての実践を重ねる中で,治療期から終末期へ移行する中で残された時間をすべて治療に費やし,最期を迎える患者さんを看てゆくなかで,本当にこれでよかったのだろうか? ご家族は患者との別れをどう感じているのだろうか? ご家族のこれからはどうなるんだろうか? と,治療期における医療者のかかわりを自問するようになりました.医療チームのかかわりによって,最期の時間の過ごし方や,残された家族の将来が変わってくるのではないかと思うようになりACPのあり方が重要であると再認識しました.上記を機に専門看護師(CNS)を志し,2019年にがん看護CNSを取得しました.私は現在,緩和ケアセンターに所属し,院内の緩和ケアチームの専従として2年目,がん看護CNSとしては1年目の新米看護師です.
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