総合診療 29巻2号 (2019年2月)

特集 意外な中毒、思わぬ依存、知っておきたい副作用—一般外来で!OTCも処方薬も!

高岸 勝繁
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 薬物中毒や薬物依存症は救急外来で診療する機会が多いですが、一般外来でも重要な鑑別疾患です。しかしながら「一般外来にやってくる中毒症や依存症」と聞いて、何を連想するでしょうか? ベンゾジアゼピン依存症や、さまざまな薬剤の副作用、などといった程度ではないでしょうか?

 OTC(over the counter)薬剤でも実にさまざまな中毒症状や依存症を呈し, 慢性経過で外来を受診するような中毒症状もあります。また、一酸化炭素中毒でも外来を受診することがあります。

 本特集では救急のみではなく、一般外来を受診するような、あるいは、してもおかしくないような中毒症について解説するとともに、使用頻度の高い薬剤の中毒症や依存症、また今後処方が増加するであろう薬剤の副作用についても、併せて、その知識とスキルを深めることを目的に企画しました。

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本問題集は、今月の特集のご執筆者に、執筆テーマに関連して「総合診療専門医なら知っておいてほしい!」「自分ならこんな試験問題をつくりたい!」という内容を自由に作成していただいたものです。力試し問題に、チャレンジしてみてください。

【OTC薬剤による中毒症・依存症】

ジフェンヒドラミン中毒症 島 惇
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Case

ジフェンヒドラミン中毒により眼球クローヌスを呈した1例

患者:34歳、女性。

現病歴:生来健康。患者から自殺をほのめかす電話があったことを心配した家族が自宅を訪れたところ、ベットの上で意識がなくなっているのを発見し、救急要請して来院。患者の自宅内では薬包は確認できなかった。

身体所見:意識GCS(Glasgow Coma Scale):E1V1M4、体温37.8℃、血圧116/62mmHg、脈拍数137回/分(整)、呼吸数24回/分、SpO2 98%(室内気)。瞳孔6/6mm(対光反射+/+)。眼球クローヌス(図1)を認め、口腔内・皮膚は乾燥し、腸蠕動音は減弱。トライエージ®陰性。気管挿管のうえ、胃管を挿入し、活性炭と下剤を投与した。入院第2病日に意識清明となったため抜管し、本人へ病歴を聴取したところ、市販の睡眠導入剤(ジフェンヒドラミン換算:1,800mg)を過量内服していたことが判明した。

ブロム中毒、依存症 小林 正宜
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Case

友人からもらった薬によって発症したブロム中毒の1例

患者:31歳、韓国人女性(ある程度は日本語での会話が可能)。

主訴:ふらつき、呂律困難。

既往歴:不眠症、慢性頭痛。

常用薬:韓国で処方された頭痛薬と睡眠薬。

現病歴:韓国在住であったが、日本で仕事をするために来日した。その後常用薬がなくなったことにより不眠が続くため、友人にもらった市販薬を内服すると、なんとか眠れるようになった。約1カ月前からふらつきを自覚し、時に呂律困難や意識障害が数回あったが、数時間で改善したため病院を受診しなかった。しかし、症状を繰り返すこと、今回の症状が著明であったことから、救急車を要請し搬送となった。

 患者は市販薬内服を否定したが、小脳症状を呈すること、血中クロールの値が124mEq/Lと高値であることから、ブロム中毒を疑った。

 後日、血中ブロム濃度61.9mg/dL(正常:0.5mg/dL未満)と、慢性中毒をきたす中毒域まで達しており、「ブロム中毒」と確定診断した。

 後に、友人からもらっていた薬が市販薬の「ウット®」というブロムワレリル尿素を含む薬剤であったことが判明した。内服中止後は症状を認めていない。

ブロン依存症 高岸 勝繁
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Case

患者:50代、男性。悪寒と発熱で受診。

現病歴:もともとアルコール依存症であったが、6年前に禁酒し、以後禁酒継続できていた。また、1〜2年前よりうつ病と診断され精神科を受診していたが、自己中断している。

 来院1カ月前に抑うつ症状が増悪。活動性が低下していた。3週間前より疲労感・倦怠感があり、徐々に食欲低下も進行。2日前に尿失禁し、やや興奮気味となり、来院の前日より悪寒を伴う発熱を認め、救急要請された。

既往歴:うつ病、アルコール依存症。

内服:現在はなし。

身体所見:意識清明だが、軽度興奮・多弁。体温40.2℃、血圧156/89mmHg、心拍数140回/分(整)、呼吸数26回/分、SpO2 99%(室内気)。

 眼球運動正常、瞳孔は4/4mm、対光反射は軽度鈍い。流涙や唾液分泌の亢進なし。顔面・皮膚紅潮なし。発汗あり。腹部腸管蠕動音はやや亢進。

 胸部・腹部・四肢の診察にて、明らかな感染を示唆する所見は認められず。

検査所見:WBC 16,940/μL(好中球88%)、Hb 16.1g/dL、Plt 23.5×104/μL、AST 263IU/L、ALT 66IU/L、LDH 1,125IU/L、ALP 241IU/L、γ-GTP 58IU/L、CPK 12,661IU/L、BUN 21.6mg/dL、Cr 1.4mg/dL、Na 132mEq/L、K 3.9mEq/L、Cl 94mEq/L、CRP 3.4mg/dL。

 胸部X線、胸腹部CTでは、明らかな発熱のフォーカスとなる異常は認められない。

 血液培養検査は陰性。

初診時のアセスメントとその後の経過:フォーカス不明の発熱、興奮症状、頻脈、高熱、CPK上昇などより、何かしらの薬物、離脱症状の可能性を考慮した。アルコール摂取歴を再度確認するも、使用した形跡は認められなかった。家人に自宅内で薬物を探すように指示したところ、患者の上着ポケットからパブロンゴールドA®が複数発見された。

 ベンゾジアゼピンを使用し経過をフォローしたところ、徐々に症状、検査所見は改善を認め、第5病日には症状の消失が得られた。

 改善後にパブロンゴールドA®を見せつつ、薬物歴を本人から詳細に聴取した結果、以下の経過が判明した。

●〜6年前:アルコール依存で入院。以後禁酒継続。

●3年前:アルコールの代わりにパブロンゴールドA®やその類似薬を常用し始めた。連日1〜2袋、咳止め液として2本程度使用していた。

●1〜2年前より無気力感や抑うつ症状が出現し、精神科にてうつ病と診断。投薬も受けたが、すぐに自己中断した。

●1カ月前よりさらに無気力感が強くなり、咳止め液を1日に4本使用し始めた。さすがに使用に対して不安感があり、来院の3日前からは使用しなかった。

 以上の経過より、最終的に「ブロン依存症、ブロン離脱症」と診断した。

カフェイン中毒、依存症 北村 淳
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Case

眠気予防薬の多量内服によるカフェイン中毒の1例

患者:32歳、男性。

現病歴:自殺目的に眠気予防薬を140錠(無水カフェイン14g)内服し、その後、気分不良を自覚した。嘔気・嘔吐が出現したため、内服4時間後に当院へ救急搬送された。既往歴、内服歴は特になかった。

 来院時の意識は清明であったが、嘔吐を繰り返していた。血圧90/50mmHg、脈拍数200回/分、体温36.2℃、SpO2 98%(room air)であった。身体所見上は明らかな異常を認めなかった。致死量のカフェインを内服しており、挿管、人工呼吸管理とし、活性炭・下剤を投与後、カフェインの除去を目的として血液灌流・血液吸着、血液透析を施行したところ、頻脈は改善した。その後抜管し、後遺症なく退院した。後日判明した入院時の血清カフェイン濃度は111mg/Lであった。

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Case

抗てんかん薬、アセトアミノフェン常用内服中患者におけるアセトアミノフェン多量内服の1例

患者:26歳、女性。

既往歴:てんかん、解離性障害、不安神経症、線維筋痛症。

内服歴:カルバマゼピン、フルニトラゼパム、トラムセット配合錠など。

現病歴:上記既往で、近医精神科に通院中であった。来院当日に母親と口論になった後、抑うつ気分が増悪した。来院2時間前に、自殺目的に、普段常用しているトラムセット配合錠を24錠内服し、気分不良が生じたため、救急搬送となった。トラムセット配合錠やカルバマゼピンの内服歴から、アセトアミノフェン中毒のリスクが高いと判断し、N-アセチルシステインを経鼻胃管から投与した。後日判明した血中アセトアミノフェン濃度は、治療域以下であった。

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Case1

患者:60歳台、女性。

主訴:頭痛、発熱、意識障害。

 2週前に運動後に腰痛を自覚し、市販薬であるイブA®(イブプロフェン)を使用し始めた。1週間前より頭痛を自覚。また37℃台の発熱が認められた。頭痛に対してイブA®を継続していたが、徐々に頭痛は増悪。受診当日朝に、呼びかけに対して反応が乏しくなり、38℃台の発熱を認めたため、救急搬送となった。

 診察では体幹に紅斑と項部硬直が認められた。血液検査では、WBC 12,500/μL(Eos 6.9%、Neut 74%)、CRP 6.8mg/dL、BUN 43mg/dL、Cr 2.6mg/dLと炎症反応増多、また好酸球の増加、腎不全が認められ、尿検査では無菌性膿尿、蛋白尿、尿糖陽性、尿中好酸球2%が認められた。髄液検査では細胞数280/μL、多核球60%、単核球40%、蛋白75mg/dL、糖54mg/dL(Glu 80mg/dL)と、髄膜炎所見が認められた。髄液グラム染色は陰性、後に判明した髄液培養や髄液単純ヘルペスPCRも陰性であった。

 薬剤による間質性腎炎、無菌性髄膜炎を考慮して、イブプロフェンを中止し、保存的加療を行ったところ、発熱、皮疹、頭痛、意識障害は3〜4日かけて徐々に改善を認めた。改善後にDLST(薬剤によるリンパ球刺激試験)を行ったところ、イブプロフェンで陽性であった。

【知っておきたい&深めておきたい中毒症・依存症】

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 救急外来において、最も多い中毒は急性アルコール中毒です。特に夜間や土日に多く、「当直中に避けては通れない疾患」とも言えます。一方で、あまりにコモンであるがゆえに、系統的に学ぶ機会が少ない一面もあります。本稿では、急性アルコール中毒について学術的に深めましょう。

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Case

患者:18歳、女性。

主訴:頭痛。

現病歴:1月のある日、特記すべき既往のない18歳女性が、頭痛を主訴に午後の内科外来を受診した。朝から頭痛と吐き気あり。周囲ではインフルエンザが流行中。バイタルに異常はみられず、診察上も特記すべき異常はなし。診察した研修医は、「インフルエンザの初期症状かもしれない」と思ったが、上級医と相談し、一緒に来ていた家族からも病歴聴取を行った。

追加病歴:

●朝、「頭が痛い」と叫んでいた。意味不明な言動が一時的にみられた。

●両親と13歳の弟にも、朝から頭痛がある。

●弟は朝、失禁しており、意味不明な言動がみられた。

●昨晩、七輪を使って屋内でバーベキューをしたが、火を消し忘れた。

●最初は換気扇を回していたが、途中から寒くて、換気扇を止めてしまった。

●部屋は、寝室とキッチンがすべて一部屋につながった構造だった。

➡血液ガスを測定し、COHbが7.7%と上昇を認めたため、「急性一酸化炭素中毒」と診断した。

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Case

エチゾラムをやめたがらない不定愁訴の高齢女性

患者:78歳、女性。

病歴:15年以上前まで当院にかかりつけだった患者が、他院クリニックに逆紹介となり10年間そのクリニックに通院していた。この度クリニックが閉院となり、患者が望んで再度当院に通院を希望し受診してきた。その際の紹介状には、病名として「高血圧、高脂血症、狭心症、不眠症、不安神経症、骨粗鬆症」と記載されていた。処方薬剤はトータル11にも及び、また、これ以外にも別の整形外科クリニックと耳鼻科クリニックにも通院中で、それぞれ処方があるという。患者は基本的に多訴で、見かけは若々しいが、筋肉痛、関節痛、腰痛、背部痛、手足の痺れ、頭痛、だるさ、息苦しさ、喉や口の渇き、頻尿、熟眠困難など、とにかく諸症状を無差別に訴える。処方のなかに「エチゾラム(0.5mg)2錠、1日3回」とあり、これを減薬しようとしたところ、患者から「それはやめないでくれ」と懇願された。

【今後増えるであろう処方薬の副作用】

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 日本では、オピオイド依存症はアメリカに比べてまだ問題になっていないようだが、非がん慢性疼痛に対して使用されるようになると、乱用や依存症患者が増加することが危惧される。依存症のケアや予防法について、精神科などの専門科だけでなく、一般臨床医が広く深い知識を持って、早期からケアしていく必要がある。

オピオイドの急性中毒 野木 真将
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 “opioid crisis(危機)”と表現されるように、米国でのオピオイドによる中毒死は増加の一途をたどっている。2016年の統計では、薬物過量服用による死亡件数は前年度より21.5%増えて63,632件であった1)。そのうち、オピオイドによるものは42,249件で、66.4%を占めていた2)。処方された麻薬による中毒死は40%を占め、1999年から2016年にかけて5倍に増加していることがわかる。1日あたり46人が処方麻薬で死亡している計算になる3)。特に東海岸を中心に25〜54歳の男性での増加傾向があり、相当な数の不法薬剤(ヘロイン、コカインなど)も含まれるが、当該地域のオピオイド処方の改善に注目が集まっている4)

 私の勤務するハワイ州でも導入されているが、Prescription Drug Monitoring Program (PDMP)という州規模での管理薬剤のデータベースが新設され、患者が誰から何の処方を受け、どこの薬局で受け取ったかの情報をすぐに検索できるようになっており、救急医療現場などでの有用性も報告されている5)

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 2018年にPD-1を発見した本庶佑先生(京都大特別教授)がノーベル医学生理学賞を受賞したことと併せて、免疫チェックポイントにはますますの注目が集まっている1)

 そこで本稿では、キーワードである腫瘍免疫応答、共刺激シグナル、免疫チェックポイント分子の復習をしつつ、免疫チェックポイント阻害薬の副作用(irAEs:immune-related adverse events)についてまとめさせていただいた。

【コラム】

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 本特集では、OTC薬剤による中毒症やカフェイン中毒、アルコール中毒など身近にある薬物による中毒症をテーマとしていますが、自然毒による中毒症の知識も重要です。

 日本国内で1989〜2010年に発生した自然毒による食中毒で最も多いのは、キノコ毒、次いでフグ毒でした(死亡率が高いのはフグ中毒で、3.4%)1)

銀杏で痙攣? 高岸 勝繁
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 ある秋の午後の救急外来に、特に既往のない70歳台男性が、全身強直性痙攣で搬送されて来ました。ジアゼパム5mgを投与し、痙攣は消失。血液検査、頭部画像検査では、原因となる異常は認められませんでした。

 家人より、最終食事摂取を聴取したところ、

孫「そういえばおじいちゃん、午後、銀杏をずっと食べてたわ」

娘「あー、たくさん食べとったね。好きなんよ、あの人」

との情報がありました。その時はあまり気に留めていませんでしたが、その後、何かその言葉が引っかかり、「銀杏」「痙攣」で検索をかけたところ、なんと銀杏中毒で、「痙攣発作」の報告があるではないですか!

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 ある日の当直中に、小児科の先生から呼び止められました。「12歳の男の子で、変な症状があるので相談に乗ってもらえませんか?」とのこと。

 外来に行くと、体を捻るような体勢でベッドで横になり、痛がっている男の子がいました。全身の痛みを訴えていましたが、顔を見ると、笑っているような、一方でしかめっ面のような、そんな表情をしていました。

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 医学が進歩し、今まで解明されなかった病態が明らかになり、新薬も続々と開発されています。それに伴い薬剤の副作用や中毒症も増えています。目新しいものとしては、免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象(irAEs)(本特集内、名取・陶山論文p.183参照)でしょうか。また、最近使用頻度が増加し、今後もさらに増えると考えられるオピオイドの依存症や副作用・中毒症についても、個人的に注目しています(本特集内、鬼塚論文p.174、野木論文p.178参照)。

 そのような新薬や既存薬剤による副作用の把握や対応は、患者の薬剤歴やお薬手帳を確認することで気づくチャンスがあり、その“アンテナ”(「薬剤の副作用に注意する」という意識)がある医師ならば、見逃すことも少ないと思います。

What's your diagnosis?[194]

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病歴

患者:59歳、独身女性。

主訴:腹部膨満。

現病歴:もと大酒家で、遅くとも7年前にはアルコール性慢性膵炎があり、6年前よりアルコール性認知障害(HDS-R=22/30)のため当院精神科にて無投薬でフォロー中。ここ2年はグループホームに入所中で、アルコールも煙草も断っており、嘱託医からメトホルミン、シタグリプチン(HbA1c=5.8%)、ロラタジン、ケトチフェン点眼液を処方されている。

 いつからかは定かでない(>月単位)が、腹痛・嘔吐、食欲・便通の変化、尿量変化、発熱・寝汗、体重減少は伴わずに、徐々に腹満が進行していた。同時に左乳房に長径10cmあまりの巨大な無痛性腫瘤が認められたため、6週間前に当院乳腺外科を紹介受診し、胸腹部CT(図1)と左乳房腫瘤の針生検を受け、病理組織検査(図2)でTouton巨細胞を含む黄色肉芽腫の確定診断を受けた。腹部CT(図3)では、❶“omental cake”と表現される大網や腹膜肥厚を伴う多量腹水(胸水なし)、❷多数の粒状石灰化と著明な膵管拡張を伴う慢性膵炎、❸S字結腸の壁肥厚が指摘されたため、1カ月前に当院消化器内科に紹介され、膵癌マーカー、上腹部dynamic CT、MRCP、上部・下部消化管内視鏡、さらに17日前に腹水穿刺の各検査を受けた。その結果、肝胆膵および上下部消化管の腫瘍は否定され(胃粘膜に萎縮はあるが、ウレアーゼテスト陰性)、腹水はリンパ球優位の浸出液で、細胞診にて悪性細胞は陰性であった。6週前のCTでは、「右卵巣に囊胞の疑い」ともコメントされていたため、卵巣癌の否定のために9日前に婦人科に紹介され、内診、経腟超音波、子宮頸管細胞診、血清CA-125、骨盤部単純MRIの検査を受けた。その結果、子宮の後方に小腸の癒着、Pap;classⅡ(NILM)、血清CA-125;67.9U/mL(正常<35)、S状結腸の全周性壁肥厚を伴う大量腹水は指摘されたが、婦人科系腫瘍は否定的であったため、原発不明腹膜癌の疑いで総合内科に紹介となった。

身体所見:

●バイタルサイン:体温36.6℃、血圧109/72mmHg、脈拍数90回/分・整、呼吸数<18回/分、日付と場所につき指南力低下を認めるが意識清明で表情も落ち着いている。

●頭部:粘膜蒼白・黄染(−)

●頸部:甲状腺腫大(−)、頸静脈怒張(−)

●胸部:左乳房に弾性硬の巨大腫瘤(+)があるも、圧痛・皮膚変化(−)

●腹部:やや緊満感をもって腹水(+++)、圧痛(−)、腹壁血管拡張(−)

●上肢:腱反射は誘発できず、手掌紅斑(−)、振戦(−)

●下肢:両下腿に軽度のslow pitting edema(+)

●リンパ節:頸部・腋窩・滑車上・鼠径とも腫脹(−)

●皮膚:有意な色素沈着(−)、皮膚病変(−)

みるトレ Special・26

喀痰培養は陰性でした。 笠原 敬
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 あなたは、300床の臨床研修指定病院の総合内科の医長である。

 患者は、長期療養施設入所中の80歳代男性で、数日前に食事中に嘔吐し、その後元気がなかったが、食事を一切受けつけなくなり、SpO2も80%台に低下しているとのことで来院した。来院時の胸部X線で肺炎像を認めたため、喀痰を採取後、抗菌薬を開始した。

 本日、喀痰の培養結果が判明し、研修医が「先生、喀痰の培養結果が出ましたけど、陰性でした」と報告してきた。喀痰の一般細菌検査結果を図1に示す。

I LOVE Urinalysis|シンプルだけどディープな尿検査の世界・23

腹水にも尿試験紙を! 上田 剛士
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Case

患者:アルコール性肝硬変の既往がある57歳、男性。

現病歴:数日で進行する食欲低下、腹部膨満で受診した。発熱はない。腹部全体に軽度の圧痛を認める。

1.5Lの淡黄色腹水を排液したところ、腹部膨満感は消失したが、特発性細菌性腹膜炎は否定できないと考えた。

三銃士共導法・2

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 本稿では、三銃士が掲げる3つの共導法(表1)に関して、具体的に述べたいと思います。これは決して目新しいものや、突拍子のないものではありません。「なぁんだ」と思う読者もいるかもしれませんが、非常に普遍的であり、重要なポイントとなります。しかし、意外と実践・継続することは難しいと感じています。

指導医はスマホ!?|誰でも使えるIT-based Medicine講座・2

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 時は20XX年、IGSコーポレーションでは、研修医ロボットを開発した! その名も、成長するAI搭載型ロボット「森川くん2号」。

 森川くん2号と一緒に、ITを活用して自分をヴァージョンアップしよう!!

もやもや処方の処方箋・10

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今月の処方箋

A診療所より

•ノルバスク®(アムロジピン)5mg

 1回1錠 1日1回 朝食後

•ミコンビ®配合錠BP(テルミサルタン80mg+ヒドロクロロチアジド12.5mg)

 1回1錠 1日1回 朝食後

•アマリール®(グリメピリド)1mg

 1回1錠 1日1回 朝食後

•タケプロン®(ランソプラゾール)OD15mg

 1回1錠 1日1回 朝食後

•エディロール®(エルデカルシトール)0.75μg

 1回カプセル 1日1回 朝食後

•アロプリノール(後発品)100mg

 1回1錠 1日1回 朝食後

•ニフェジピンCR(後発品)40mg

 1回1錠 1日2回 朝夕食後

•アーガメイト®(ポリスチレンスルホン酸カルシウム)20%ゼリー

 1回1個(25g)1日3回 毎食後

•クレメジン®(球形吸着炭)細粒分包2g

 1回1包 1日3回 毎食間

•ハルシオン®(トリアゾラム)0.25mg

 1回1錠 1日1回 眠前

•センノシド(後発品)12mg

 1回2錠 1日1回 眠前

•ミルセラ®(エポエチン ベータ ペゴル)注75μg

 毎月1回 皮下注射

B整形外科より

•トラムセット®配合錠

(トラマドール37.5mg+アセトアミノフェン325mg)

 1回1錠 1日3回 朝夕食後+眠前

•ボルタレン®サポ®(ジクロフェナクナトリウム)50mg

 1回1個 腰痛時

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・26

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CASE

患者:54歳、女性。飲食店勤務。

主訴:頸を動かしたり、つばを飲み込むと、頸部が痛い。

現病歴:咽後膿瘍の既往がある。来院前日の仕事中に頸部の運動時痛を自覚、夕方にかけて徐々に増悪し、帰宅する頃には激痛となり、頸部の運動困難となった。特に回旋時の疼痛が高度で、車の運転が困難な程だった。来院当日の朝も症状の改善なく、朝食時に右側頸部から後頸部に放散する強い疼痛が持続したため、近医整形外科を受診した。頸部単純X線側面像で骨軟部組織肥厚を認め、咽後膿瘍の再発も疑われたため、精査目的で当院ERに紹介受診となった。

既往歴:

#咽後膿瘍;詳細不明だが、30代で1カ月近く入院し、耳鼻科にて抗菌薬加療歴あり。

#子宮外妊娠;30代に卵管摘出術施行。

#右耳下腺炎:来院2カ月前。

健診受診は5年以上なし、アレルギー歴なし。

内服:ダイエットのサプリメントのみ。

家族歴:心疾患・リウマチ膠原病・免疫不全・若年死を含め、特記事項なし。

生活歴:機会飲酒。20歳から1pack/日の現役喫煙者。夫・子どもと3人暮らしで、家族が経営する沖縄料理店を手伝っている。

review of systems:

+:倦怠感;仕事は休み、自宅でも寝込んでいる。過多月経;来院約6カ月前に大量の正期出血があり、近医婦人科を受診。悪性腫瘍は否定的で、閉経間際の前兆と思われるので経過観察を行うよう伝えられていた。

-:寒気・悪寒戦慄、上気道症状、咳・痰、胸痛・動悸、腹痛・便秘/下痢、頻尿・排尿困難、四肢関節痛、発疹、性病罹患歴/罹患リスク行動・sick contact、沖縄離島を含む国内外旅行歴・直近の歯科受診歴、動物・山・川・森・土いじり・結核曝露歴。

身体所見:

●外観;身長157cm、体重69kg、BMI 28。

●来院時バイタルサイン:体温36.8℃、血圧142/60mmHg、脈拍数68回/分、呼吸数18回/分。

●全身状態;呼吸状態も含め安楽であり、疎通性も良好だが、やや不安そう。

●頭頸部;頸部硬直なし、口腔内衛生良好。Sniffing position・口蓋垂偏位・開口障害・流埏・舌骨圧痛・頸部軟部組織発赤なし。回旋時有意の頸部運動時痛あり、可動域制限もあり。

●呼吸音:左右差なく清。

●心音:過剰心音・心雑音なし。

●腹部:平坦でやわらかく、腸蠕動音亢進や減弱なし、圧痛なし。

●背部:CVA・脊椎殴打痛、恥骨上圧痛なし。

●四肢:大関節熱感・疼痛なし。

●皮膚:明らかな発疹を認めない。

検査所見:

●採血・尿検査所見:表1。

●心電図:洞調律。

●胸部X線:特記事項なし。

●頭頸部造影CT:頸椎前方に石灰化を認める(図1、2)。

●頸椎MRI:頸椎椎体前方に液体貯留を認める(図3)。

Problem List:

#頸部軟部組織肥厚

#頸部運動時(回旋有意)・嚥下時痛

#咽後膿瘍の既往

#鉄欠乏性貧血

投稿 GM Clinical Pictures

皮膚の色素沈着 村中 清春
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CASE

患者:70歳台、女性。

現病歴:15年前に、右膝人工関節置換術を行った。その1年後に、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌による人工関節関節炎を起こした。人工関節再置換を勧めたが本人が希望せず、内服抗菌薬によるchronic suppressionを行っていた。数年前から、患者本人が図1・2のような「色素沈着」に気づいた。

#総合診療

#今月の特集関連本❶

#今月の特集関連本❷

#今月の特集関連本❸

#今月の特集関連本❹

#今月の特集関連本❺

#今月の特集関連本❻

#今月の特集関連本

#医学書院の新刊

#編集部に届いた執筆者関連本

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 2002年の夏、那覇空港に東京から研修医が到着した。空港からバスに乗ってたどり着いた先は「沖縄米海軍病院」だった。研修医は、米軍病院の救急部門で採用を目指して、必死に実習をしていた。その際に、米国の救急医学レジデンシーを卒業したばかりの日焼けした指導医がパラパラとポケットブックをめくっていた。

 「すみません。ちょっと私にも見せてもらえませんか?」と、ポケットブックを手に取った研修医はびっくりした。手のひらサイズのポケットブックの1頁1頁にぎっしり情報が詰まっている。頭部CTの適応、頸椎画像撮影の適応から抗生物質の使い方、肺塞栓のプレディクションルールなど、まさにこれが「ERのミニマムリクワイアメントだ!」と研修医は思った。エビデンスの大事なところが見やすくコンサイスにまとまっている。しかも、日本のハンドブックにありがちな根拠文献のない“オレ流”の列挙ではない。

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 「救急」といっても、多発外傷とか心肺停止とかがひっきりなしに救急車やヘリコプターで運ばれてきて、開頭も開胸も開腹もなんでもこなしてしまうドラマに出てくるようなところばかりではありません。当直などで勤務するのは、お腹が痛かったり、めまいがしたり、なんだか普段よりボーッとしていたりといった、ごく普通の訴えの患者さんが来るような内科的な要素の強い救急外来ではないでしょうか。

 ごく普通の救急とはいっても、やっぱり当直は怖くないですか? 通常の外来とは異なり、ほとんどの患者さんはあまり情報のないまっさらな状況で来て、常に真剣勝負のようなドキドキ感がありますよね。救急デビューしたての時期はもちろん、「そろそろ慣れてきたかな」と思ってからも(むしろそういう時ほど)足元をすくわれることが少なくありません。ウォークインだからといって軽症とはかぎらず、胃腸炎だと思ったら虫垂炎だったり、かぜだと思ったら髄膜炎だったり、過換気だと思ったら肺塞栓だったり、酔っ払いだと思ったら小脳梗塞だったり、と重症患者が紛れ込んでいることもざらにあります。

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目次

『総合診療』編集方針
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 1991年に創刊した弊誌は、2015年に『JIM』より『総合診療』に誌名を変更いたしました。その後も高齢化はさらに進み、社会構造や価値観、さらなる科学技術の進歩など、日本の医療を取り巻く状況は刻々と変化し続けています。地域医療の真価が問われ、ジェネラルに診ることがいっそう求められる時代となり、ますます「総合診療」への期待が高まってきました。これまで以上に多岐にわたる知識・技術、そして思想・価値観の共有が必要とされています。そこで弊誌は、さらなる誌面の充実を図るべく、2017年にリニューアルをいたしました。本誌は、今後も下記の「編集方針」のもと、既存の価値にとらわれることなく、また診療現場からの要請に応え、読者ならびに執筆者のみなさまとともに、日本の総合診療の新たな未来を切り拓いていく所存です。

2018年1月  『総合診療』編集委員会

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総合診療
29巻2号 (2019年2月)
電子版ISSN:2188-806X 印刷版ISSN:2188-8051 医学書院

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