特集 意外な中毒、思わぬ依存、知っておきたい副作用—一般外来で!OTCも処方薬も!
【OTC薬剤による中毒症・依存症】
ブロム中毒、依存症
小林 正宜
1
1葛西医院
キーワード:
高クロール血症
,
ウット®
,
ブロムワレリル尿素
,
ナロンエース®
,
奥田脳神経薬®
Keyword:
高クロール血症
,
ウット®
,
ブロムワレリル尿素
,
ナロンエース®
,
奥田脳神経薬®
pp.135-139
発行日 2019年2月15日
Published Date 2019/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201885
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Case
友人からもらった薬によって発症したブロム中毒の1例
患者:31歳、韓国人女性(ある程度は日本語での会話が可能)。
主訴:ふらつき、呂律困難。
既往歴:不眠症、慢性頭痛。
常用薬:韓国で処方された頭痛薬と睡眠薬。
現病歴:韓国在住であったが、日本で仕事をするために来日した。その後常用薬がなくなったことにより不眠が続くため、友人にもらった市販薬を内服すると、なんとか眠れるようになった。約1カ月前からふらつきを自覚し、時に呂律困難や意識障害が数回あったが、数時間で改善したため病院を受診しなかった。しかし、症状を繰り返すこと、今回の症状が著明であったことから、救急車を要請し搬送となった。
患者は市販薬内服を否定したが、小脳症状を呈すること、血中クロールの値が124mEq/Lと高値であることから、ブロム中毒を疑った。
後日、血中ブロム濃度61.9mg/dL(正常:0.5mg/dL未満)と、慢性中毒をきたす中毒域まで達しており、「ブロム中毒」と確定診断した。
後に、友人からもらっていた薬が市販薬の「ウット®」というブロムワレリル尿素を含む薬剤であったことが判明した。内服中止後は症状を認めていない。
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