総合診療 27巻7号 (2017年7月)

特集 感染症を病歴と診察だけで診断する!Part 3 カリスマ編

志水 太郎 , 忽那 賢志
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本特集は、System1(直観的思考)とSystem2(分析的思考)、それぞれの視点からみた感染症の「診断」についての症例集である。

2014年8月号でPart1を、2015年10月号でPart2を企画し、検査以前の「病歴聴取」と「身体診察」が鍵となった症例を、若手を中心とする執筆陣にご紹介いただいた。

「病歴聴取」と「身体診察」は基本的手技ではあるが、その奥は深く、熟達するには質の高い経験と学びを要する。

そこで、記念すべき最終章となるPart3では、感染症診療や総合診療のエキスパートである先生方の胸をお借りし、その智慧に学ぶ。

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本問題集は、今月の特集のご執筆者に、執筆テーマに関連して「総合診療専門医なら知っておいてほしい!」「自分ならこんな試験問題をつくりたい!」という内容を自由に作成していただいたものです。力試し問題に、チャレンジしてみてください。

【総論】

System 1の鍛え方とその後 志水 太郎
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「診断」というexpertise

 医師や医学教育者にとって、「診断」は臨床の訓練の中核をなす能力の1つである。これは、訓練の過程で後天的に習得されるもので、またキャリア全般を通して鍛えられるべき技術であると思う。

System 2の磨き方 忽那 賢志
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 『総合診療』をお読みになっているみなさまは、「System 2の磨き方」について知り尽くしており、今さら学ぶ必要はないのではないでしょうか。したがいまして、本稿は基本的に医学生や初期研修医に向けて書かれたものと、ご理解いただいたうえでお読みください。私も初期研修医に語りかける体で書きますので、そこんとこ、よろしくお願いいたします。

【各論】 System1|電光石火の感染症snap diagnosis

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Case

1カ月続く微熱で初診し、いったん帰宅となった高齢女性

患者:76歳、女性。生来健康。

現病歴:1カ月前から37〜38℃程度の発熱と頭痛が持続。近医で抗菌薬が処方されるも軽快せず。初診時の身体診察では異常所見を認めなかったが、念のために採取した血液培養2セットが後日陽性と判明し、急きょ入院となった。

 入院後、担当医が診察を行ったが、微熱はあるものの、身体診察上の異常所見を見出すことはできなかった。上級医が呼ばれて診察すると、視診と触診の両方で立ち上がりの速い大きな頸動脈拍動が認められ、胸骨左縁第3〜4肋間に高調な拡張早期雑音を聴取した。心臓超音波検査にて大動脈弁に疣贅と逆流があり、翌日、血液培養からαレンサ球菌が同定され、「感染性心内膜炎」の診断に至った。

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Case

患者:16歳、女性。生来健康で、予防接種歴は完全。

主訴:発熱と咳。

現病歴:3日前から、発熱および乾性咳嗽あり。痰はほとんどなし。呼吸困難、胸痛はなし。軽度の咽頭痛と鼻汁、関節痛、食欲不振を訴えた。

 咳がひどいので、近くの総合病院を受診した。外来でのパルスオキシメーター測定では、室内気で99%であったという。呼吸数測定はされなかったらしい。診察のあと、ウイルス性急性上気道炎、いわゆる「かぜ」の診断で、抗ヒスタミン薬と鎮咳薬を処方され帰宅した。

 自宅に戻り、母親(元看護師)が血圧と心拍数、体温をチェックすると、血圧120/60mmHg、心拍数90回/分、体温39.2℃であった。高熱と咳がひどいので心配になり、医師である父親(母親の夫)に電話をかけた。ちょうど秋田に出かけていた父親は電話で病歴を聴き、まず「呼吸数」を数えるように助言を与えた。呼吸数は25回/分であった。

その耳鼻科医の熱は 岩田 健太郎
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Case

熱が出る耳鼻科医

患者:50歳台、男性。A病院耳鼻科部長。

既往歴:特になし。

現病歴:2週間前から発熱・頭痛があり、自己判断でクラリスロマイシンを飲むもよくならず、レボフロキサシンに変えるもよくならず、テビペネム・ピボキシルに変更するももちろんよくならず、そうこうしているうちに出血性の下痢症も出現した。同院消化器内科に入院するも診断がつかず、同院感染症内科医Kにコンサルトされることになった。Kは、感染管理看護師(ICN)のMとともに、患者をみにいくことにした。

※患者のプライバシーに配慮し、デフォルメしています。

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Case

半日でショック状態になって受診した敗血症の一例

患者:67歳、男性。ADL自立。

家族歴:特になし。

現病歴:前日19時まで、普段どおりの仕事(豚の骨を砕いて、飼料や豚骨スープの原料にする)をしていた。20時に夕食をとり、普段どおり22時に就寝した。1時頃に中途覚醒し、2回嘔吐して再度就寝。5時頃に起床したが、こたつの中で「寒気がする」と言って震えており、顔面が紅潮していた。6時に救急外来へ搬送された。

 身体所見は、体温40℃、血圧60/30mmHg、脈拍数126回/分、呼吸数24回/分、SpO2 80〜90%(室内気)。顔面に紫斑あり、粘膜浮腫や出血なし、右肺野にcracklesあり。

検査所見:病歴からoverwhelming sepsisが疑われたが、CT検査では脾臓は正常、末梢血目視でもHowell-Jolly小体はなかった。肝硬変の病歴も身体所見も乏しく、血液検査では免疫グロブリンの産生低下や補体(C3、C4、CH50)の低下もなかった。

診断・治療:当初、重症敗血症との判断でメロペネムが投与されたが、血液培養からレンサ球菌が検出されて「toxic shock like syndrome(毒素性ショック様症候群)」が疑われ、抗菌薬をセフトリアキソン+クリンダマイシンに変更した。のちに培養結果からStreptococcus suisであるとわかり、アンピシリン+クリンダマイシンにて治療し、2週間後に回復した。

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電話口にて

 ある日の外来でのこと。近隣の内科から、同僚に電話がかかってきた。紹介先の先生と話している同僚のメモを見ると……。50歳代の基礎疾患のない生来健康な男性に、微熱と乾性咳嗽が1カ月続き、胸部X線写真上はすりガラス陰影が全肺野に広がっている。「間質性肺炎」が疑われるが、SpO2は96%(室内気)あり、バイタルサインは安定しているとのことであった。その内容を簡潔にまとめると、図1のようになる。

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 以下、読者対象を設定しないとメッセージとして伝わりにくいので、初期・後期研修医の先生に向けて本稿を書こうと思います。

【各論】 System2|理詰めで追い詰める感染症

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Case

患者:16歳の女子高校生。1カ月半前からの発熱で、当院に紹介となった。微熱のため学校は休んでいるとのこと。

既往歴:周産期に問題なく、成長発達に問題なし。

現病歴:1カ月半前に、発熱38℃、咽頭痛あり。近医を受診し、アジスロマイシンを処方された。しかし微熱が持続するため再診、経口ガレノキサシン(ジェニナック®)を処方された。

検査:紹介元の近医受診時の胸部単純X線では、はっきりした浸潤影を認めず。胸部CTも施行されたが、空洞性病変・結節性病変ともなし、縦郭にも異常はなかった。また、甲状腺の超音波検査でも異常はなかった。

高い代償 山中 克郎
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 研修医が、こんな症例をカンファレンスで提示してくれた。どんな疾患を想起すればよいだろうか? 効率よく理論的に鑑別診断を絞り込む方法を考えていきたい。

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Case

患者:74歳、男性。

主訴:発熱、胸やけ。

既往歴:68歳;直腸癌(腹腔鏡下直腸切断術・人工肛門造設術施行)。70歳;前立腺癌(経尿道的前立腺切除術施行後、一時的にビカルタミドを内服したが、現在は終了)。

高血圧あり(内服治療なし)、糖尿病・脂質異常症なし。

生活歴:職業;塾講師。喫煙;20本/日×30年(60歳で禁煙)。ペット;ネコのみ。海外渡航歴・温泉旅行歴なし。最近の性交渉歴なし。

内服歴:なし(ステロイド剤内服・軟膏の使用なし。抗菌薬内服も現在はなし)。

現病歴:1カ月前頃より発熱・頭痛・睾丸痛あり、近医の泌尿器科クリニックを受診。レボフロキサシンを処方され帰宅となった。その後、睾丸痛は改善したが解熱せず、同クリニックを再受診するも、再度レボフロキサシンとアセトアミノフェンが処方された。やはり、その後も解熱しないため、5日前に当院泌尿器科などを受診するが、いずれも「問題なし」と判断された。その結果、発熱は改善しないため、総合内科の外来受診となり、“不明熱”の精査目的で入院となった。

身体所見:意識清明(GCS:E4V5M6)、体温37.2℃、脈拍数60回/分、血圧115/74mmHg、呼吸数12回/分、SpO2 98%(室内気)。

●頸部;項部硬直(-)、jolt accentuation(-)、後頸部圧痛(-)、頸部リンパ節腫脹(-)、甲状腺圧痛(-)。

●結膜;貧血(±)、黄染(-)。

●副鼻腔圧痛(-)。

●口腔内;咽頭発赤(-)、扁桃腫大(-)、白苔(-)。

●心音;整、雑音(-)。呼吸音;清、喘鳴・ラ音聴取せず。

●腹部;やや膨満・軟。圧痛(-)、反跳痛(-)、McBurney圧痛(-)、肝叩打痛(-)、CVA(肋骨脊柱角)叩打痛左右ともに(-)。ストマ周辺に異常なし。

●関節;腫脹・発赤なし。皮膚;皮疹なし。体幹;脊柱の圧痛・叩打痛ともになし。

検査所見:

●血液検査;WBC 12,900/μL(Neut 72.7%、Lym 19.2%、Mono 5.9%、Eos 1.9%)、RBC 356×104/μL、Hb 10.6g/dL、Ht 32.3%、MCV 90.7fL、MCH 29.8pg、MCHC 32.8%、Plt 48.2×104/μL、PT 13.3秒、PT% 86.3%、APTT 35.2秒 。

●血液生化学検査;TP 6.84g/dL、Alb 2.16g/dL、ALT 26IU/L、LDH 197IU/L、BUN 13.6mg/dL、Cr 0.82mg/dL、CK 86IU/L、Glu 102mg/dL、Na 139mEq/L、K 4.3mEq/L、Cl 100mEq/L、CRP 26.09mg/dL、PSA<0.2mg/dL、HBs抗原(-)、HCV抗体(-)。

●尿検査;潜血(1+)、蛋白(1+)、糖(-)、ケトン体(-)、白血球定性(-)、亜硝酸塩(-)。尿沈渣;RBC 10〜19個/HPF、WBC 1〜4個/HPF、細菌(-) 。

●血液培養(2セット)・尿培養;いずれも陰性(後日判明)。

●胸部単純X線;特記すべき所見なし(図1)。

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Case

挿入される側のアナルセックスの2日後に出現した肛門痛

患者:20歳代、男性。MSM(men who have sex with men)。

主訴:肛門痛、しぶり腹、肛門からの膿性分泌物。

既往歴:5年前に急性HIV感染症。

家族歴:特記すべきことなし。

現病歴:5年前より抗HIV療法を導入。以降、良好な経過であった。直近のCD4値は350/μL、HIVウイルス量は検出限界値未満。

 コンドームを使った挿入される側(receptive)のアナルセックスを経験した2日後、肛門痛が出現し、次第に増強。排便時痛、しぶり腹あり。便周囲の白色の付着物に気づいた。立位で疼痛増強。1週間後に来院した。

 肛門鏡検査を実施したところ、直腸内に黄白色の分泌物を認め(図1)、Gram染色にて多核白血球および白血球に貪食されたグラム陰性双球菌を認めた(図2)。「淋菌性直腸炎」を疑い、同日セフトリアキソン1gを点滴静注。

 膿汁の淋菌SDA(strand displacement amplification:核酸増幅検査)陽性、クラミジア・トラコマチスSDA陰性。培養検査は常在菌のみ、淋菌陰性。

 受診5日後の再診では、症状の改善が得られていた。

システムエラー 亀井 三博
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 日日是好日。患者さんに向き合い、話を聴き、診察をし、判断する。それを繰り返す日々である。繰り返しても尚、とうてい“達人の域”には到達していない。そして、今日も、また、私を“罠”が待ち受けていた。

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Case

患者:75歳、男性。膀胱癌にて他施設入院予定で、2型糖尿病・慢性心房細動・胃潰瘍で近医にてフォローされている当院初診の方。

主訴:発熱、意識障害。

現病歴:意識障害のため、本人からの病歴聴取は困難。前日までは普段どおりの生活を送っていた様子。入院当日の朝、家族との受け答えがおかしく、左半身麻痺を認めたため近医に相談。脳卒中疑いにて当院紹介受診。受診後、発熱していることに救急スタッフが気づいたが、発熱や悪寒戦慄のエピソードは聴取できず。

服薬歴:グリクラジド50mg、ワルファリン2mg、ラベプラゾール10mg、アテノロール25mg。

生活歴:喫煙;20本/日×50年、飲酒;ビール5〜6缶/日。

身体所見(来院時):

●バイタルサイン;血圧167/95mmHg、脈拍数112回/分・不整、SpO2 94%(室内気)、呼吸回数上昇、体温39.7℃。

●貧血なし、黄疸なし。呼吸音;清。心音;不整、収縮期雑音なし。体幹;網状皮斑あり。末梢:冷感あり、浮腫なし。

●神経学的所見;GCS(Glasgow Coma Scale)E4V1M6。瞳孔3mm/3mm、対光反射あり。左半身に不全麻痺あり。

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 もはや「人工知能」(artificial intelligence:AI)という言葉を聞かない日はない。医療におけるAI活用への期待も高まるなか、武田氏は“エキスパートの「暗黙知」を学ぶAI”を開発し、すでに医療やヘルスケア領域でも一部実用にこぎつけた。精神科やがん診療における「診断支援」への応用にも着手している。

 はたしてAIは、全領域にまたがる“総合診療の診断”においても、その威力を発揮するのか?一方、「AIが医師の仕事を奪うのではないか?」という懸念の声もあるが……。『診断戦略』1)を著し、「診断」のエキスパートというべき志水氏が、業種の“フレーム”を越えて語り合い、「総合診療」におけるAI活用の可能性を探った。

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病歴

患者:50歳、男性。

主訴:発熱、全身倦怠感、食思不振。

現病歴:X-1年から持続する湿性咳嗽が出現した。X年2月から食事量が半減し、全身倦怠感が出現した。X年5月、食事量の著明な減少、37℃台の発熱の持続、1カ月で7kgの体重減少を認め、当院救急外来を受診した。即日入院を提案したものの家庭の事情で拒否され、しばらくの間、外来フォローとなった。その間も発熱、食思不振、体重減少(2カ月で20kg)が進行し、労作時呼吸困難も出現、数歩歩くだけで倦怠感を認めた。X年6月に精査・加療のため入院となった。

既往歴:虫垂炎(手術後)、肺炎(数年前)。

アレルギー歴:なし。

薬剤歴:サプリメント(詳細不明)。

喫煙歴:40本/日×25年(5年前に禁煙)。

飲酒歴:ビール350mL+焼酎1〜2杯/日。

職業歴:電気工事(アスベスト曝露の可能性あり)。

家族歴:祖父・父が胃癌、娘がアトピー。

社会歴:X年2月より失業中。入院時は離婚調停中。X年4月まで元妻と同居、その後独居。

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本特集では、Part 1から「直観的」「分析的」の2軸の思考で感染症の診断を整理するというコンセプトが貫かれています。Part 3では、ベテラン医師たちの思考法を実症例を通して学ぶことをねらいとし、総合診療・感染症診療における日本の“レジェンド”である諸先輩方にご登場いただきました。一例一例が臨床的パールに満ちているのみならず、各先生方の教育的なご姿勢、教育の仕方・伝え方などの多様性も拝見でき、教育に携わっていく後輩学年としても非常に勉強になる内容と思います(先生方、お忙しいなか本当にありがとうございました)。

 また総論では、診断の「生涯教育」に焦点を絞り(p.864・869)、さらに「人工知能(AI)」のスペシャリストとの対談(p843)など、診断学のこれからを意識した工夫を施しました。総じて、本シリーズのひとまずの最終章となるこのPart3では、よりアドバンスドな症例の考え方、そして生涯教育や“未来の総合診療”にもつながるメッセージが込められています。

I LOVE Urinalysis|シンプルだけどディープな尿検査の世界・4

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Case

患者:21歳、男性。

現病歴:真夏の建築現場で作業中に、両下腿・大腿の筋痙攣をきたした。

        尿定性

比重      1.030

pH       7.5

蛋白      ±

糖       -

ケトン体    -

潜血      3+

ウロビリノゲン 正常

ビリルビン   -

白血球     -

亜硝酸塩    -

赤血球     5〜9個/HPF

オール沖縄!カンファレンス・7

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CASE

患者:30代、男性。

主訴:10日前から持続する発熱と咽頭痛。

現病歴:来院10日前に発熱・咽頭痛を主訴に近医受診。「急性咽頭炎」と診断され、経口抗菌薬(セフカペンピボキシル)を処方された。抗菌薬4日目に胸部に皮疹が出現したため、内服を中止した。その後も発熱・咽頭痛が持続したため、当院救急外来を受診。この時咳嗽はなく、胸部の皮疹は消失していた。家族・友人・同僚に、同様の症状を呈している者はいないとのことだった。

既往歴:14年前に下肢の骨腫瘍(詳細不明)の手術を受けた際、術前検査で梅毒血清抗体「陽性」を指摘された(治療歴は不明)。その後の受診歴なし。

薬剤歴:経口セフカペンピボキシル(近医より処方)。その他の内服薬なし。サプリメントの常用もなし。

家族歴:特記事項なし。

生活歴:これまで喫煙歴なし。飲酒はビール6〜7杯/週1程度。独身。

職業歴:福祉関連の仕事に従事。職場環境からの曝露因子はないとのこと。

渡航歴:最近5年間はなし。

動物接触歴:猫との接触や、ヤギの刺身・馬刺しの摂取なし。

性交渉歴:最近1年間は交渉歴はなし。

西伊豆発!画像読影道場|これくらい読めてもいいんでナイカイ?・7

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 冒頭のX線写真の診断は、「化膿性脊椎炎」です。後述しますが、L3/4椎間板と、L3とL4の椎体辺縁が破壊されていることに注目してください。

 「腰が痛い」と訴える患者は、内科でも少なくないと思います。今回は、内科で役立つ「脊椎X線」の読み方として、「化膿性脊椎炎」と「癌脊椎転移」、「変形性脊椎症」と「vacuum phenomenon(髄核の変性)」の見極め、また「骨粗鬆症」の判定について、その“目のつけどころ”を学びます。

こんなときオスラー|超訳『平静の心』・7

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 オスラー先生は50歳の時に、母校のカナダ・マギル大学で医学生・教職員のために「二十五年後に」という講演を行った。これはオスラー先生が当時25歳の若さでマギル大学の講師として教壇に立ち、そして25年経過した時点で医学教育のあり方を説いた演説で、自身のこの25年間の教育活動を振り返り、教師に必要な資質と指導方法について述べたものである。

 さて、医師は少人数の勉強会から大きな講演会まで、誰しも「教えながら学ぶ」ということを経験をするだろう。本稿ではオスラー先生の教えと共に、医師が研修医に、医学生に、看護師に行う教育のあり方について考えてみよう。

診察で使える!|急性期Point-of-Care超音波ベーシックス・4

尿路結石を疑った時 亀田 徹
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はじめに

Point-of-Care超音波の出番なのです!

 急性腹症で尿路結石(尿管結石)が疑われた時には、ベッドサイドで超音波を使って水腎症の評価が行われる場合が多いことでしょう。この時、病院では検査室に超音波を依頼することは少ないかもしれません。多くの患者さんは典型的な病歴を呈しますので、検査前確率は高く、超音波で水腎症が見つかれば、「ほら、やっぱり」となりますね。多くは病歴で診断がつきますので、初期診療では身体所見を確認し、画像診断を省略して、適切な鎮痛さえ行えばよい場合も多いです。

 『尿路結石症診療ガイドライン第2版』(2013年度版)1)によると、「急性腹症で尿路結石が疑われる場合、はじめに超音波検査を行うことが推奨される(推奨グレードB)」とあります。誰が施行すべきかについての記載はありませんが、ガイドラインですから、施行者は「標準的な」尿路系の超音波診断を行うことができる医療従事者を念頭に置いているはずです。また、「尿路結石の確定診断には、単純CTが推奨される(推奨グレードA)」と併記されています。皆さんご存じのように、尿路結石の診断においてCTの精度は非常に高く、低線量であっても感度・特異度ともに95%前後で2)、鑑別疾患の特定にも有用です3)。そのような背景から、施設や診療科にもよりますが、尿路結石の初期診療では、CT施行件数が急増したと言われています4)。しかしながら尿路結石は再発しやすく、繰り返しの撮像による放射線被ばくを考慮しなければなりません。またCTを行うことで診断精度は向上しますが、患者ケアそのものが直接改善することを明らかにした臨床研究はないようです。多施設無作為割り付け試験によると、最初にPoint-of-Care 超音波を行うことで、リスクを上昇させることなく、放射線被ばくを減じることが示されています4)。CT全盛のなかにあっても、尿路結石の診療において、Point-of-Care超音波の出番なのです!

*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2019年6月30日まで)。

みるトレ Special・7

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CASE 7

症例:60歳代、男性。

主訴:右下肢の腫脹・発赤・疼痛。

生活歴:ADL自立で、ゴルフもできる。海外渡航歴、不特定多数との性交渉歴などなし。

既往歴:コントロール不良の気管支喘息、好酸球性中耳炎、Burger病、両下肢静脈血栓症などの既往あり。ここ1年以内の抗菌薬使用歴や入院歴はない。

薬剤歴:プレドニゾロン10mg/日、モンテルカスト10mg/日、テオフィリン400mg/日、カルボシステイン1,500mg/日、サルメテロール・フルチカゾン合剤500mg 2回/日吸入、エドキサバン60mg/日、アルファカルシドール0.5μg/日

現病歴:受診3週間前、ゴルフのラウンド中に他人が打ったボールが右膝にぶつかった。膝関節下部に出血と腫脹を伴ったが、痛みもそこまではなかったため、自己判断で洗浄のみ行っていた。発赤と腫脹は、3週間横ばいの状態だった。

 受診2日前に同部位をドアでぶつけて再出血し、腫脹が増悪した。同日から右下肢全体に発赤・熱感・疼痛が増悪し、前日には悪寒戦慄もあったため当院救急外来を受診。採血をしたうえで、セファレキシン1,500mg/日内服を処方され、いったん帰宅した。翌日も悪寒戦慄があったため救急外来を再診し、入院対応となった。右下肢症状は、2日前と大きな変化なし。

身体所見:血圧106/60mmHg、脈拍数104回/分、呼吸数20回/分、体温38.0℃、GCS(Glasgow Coma Scale)E4V5M6。胸腹部に明らかな所見なし、呼吸音も正常。

右下肢は膝下から足背に至るまで腫脹・発赤・疼痛あり、右膝蓋部は膿汁と痂皮を伴うが症状の急な進展はない(図1)。

血液検査:WBC 10,800/μL、Hb 12.8g/dL、Plt 24×104/μL、Alb 3.3g/dL、肝逸脱酵素上昇なし、 BUN 11mg/dL、Cr 0.82mg/dL、Na 140mEq/L、K 3.69mEq/L、Cl 107mEq/L、CRP 7.08mg/dL

国試にたずねよ・7

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 数年前の話になるが、私が医師国家試験問題の作成に携わっていた頃は、5月から9月にかけて毎月2〜3日間、試験委員のコアメンバー30名ほどが厚生労働省の会議室に集まり、問題の吟味を繰り返していた。試験問題を1問ずつ音読し、問題の妥当性についての検討を行うのである。

 問題の漏洩を防ぐため、会議室の中では携帯電話やパソコンによるインターネット接続はできない。省庁の室温設定は28℃と決められているので、夏は非常に蒸し暑かった。汗を拭きうちわであおぎながらの長時間作業が、朝9時から夜8時まで続く。これほどの時間と労力を使って、毎年の国試はつくられているのである。

総合診療専門医(仮)セルフトレーニング問題・4

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セッティング

郊外にある200床の総合病院。各科専門医が常勤で少人数ずついるが、内科系の入院・救急外来は、主に総合診療科が担当している。

Case

田川くん(仮名)という17歳の高校生が、あなたの時間外外来に呼吸苦で受診した。受診当日、給食で食パンを食べた後、午後の体育の授業中に胸腹部のかゆみ、その後に呼吸苦が出現したとのことで、教員に連れられて受診。診察時、意識清明だったが、血圧86/46mmHg、脈拍数114回/分・整、呼吸数22回/分、やや努力様。全肺野でwheeze、頸部でstridorが聴取された。既往歴なし、定期通院なし、常用薬なし。

アレルギー歴:不詳。

苦手克服|野獣のリアル勉強法・7

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 私は今年度で11年目となる医師で、専門は家庭医療です。横須賀市立うわまち病院で初期研修を、諏訪中央病院で家庭医療後期研修プログラムを修了後、循環器科に勤務し、2015年4月から宮城県石巻市に赴任しました。石巻に来たのは、東日本大震災時に諏訪中央病院からの長期派遣で働いたことがあり、出身である東北地方でジェネラルな診療と教育がしたいという思いがあったからです。

55歳からの家庭医療|明日から地域で働く技術とエビデンス・7

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Family Therapyは危険か

 「家族療法(Family Therapy)」は従来、心理療法における特殊な専門領域としてとらえられてきたため、家庭医には非常に敷居が高いと感じると思います。たしかに家族療法家には、摂食障害や家庭内暴力などの難しいケースに取り組む専門家というイメージがありました。「ヘタに手を出すと危険」ということも、よく言われます。たしかに、摂食障害や家庭内暴力などの従来家族療法の対象とされてきた問題群には、家庭医が取り組むには相当困難で“危険”なものもあると思いますが、「一般的に家族療法には手を出さないほうがよい」とは言えないと、私は思っています。

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 ニッチなディジーズ……要するに稀な疾患のことである。私もこれまでに「本邦初の○○」といった感染症をいくつか診断している“ゼブラハンター”なのだが、そんな私を「あいつはシマウマ探しばかりしてるだけだ」などと揶揄する人もいるという。しかし、稀な疾患の診断というのは、医師にとって、まさに國松淳和氏の言うとおり「僥倖」なのである。

 近い将来、AI(人工知能)の技術が医師の仕事を奪っていくことになるだろう。内視鏡検査、超音波検査、そして外科手術まで……。しかし、そうしたなかで一番AIに取って代わられにくい領域はどこか? 2017年4月に開催されたあるシンポジウムでのそんな質問に対して、AI技術の専門科である医療CGプロデューサー瀬尾拡史氏とメディアアーティストの落合陽一氏は、「超珍しい病気の診断はAIにはできないだろう」と答えていた。話している内容が難しすぎて半分くらいしか理解できなかったが、要するに“超珍しい疾患”だと統計的な処理ができずAIには向かないとのことであった。すなわち、“ニッチなディジーズ”を診断することは、医師に残された最後の聖域とも言える。

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読者アンケート

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 2015年、1991年に創刊した弊誌は、下記の「編集方針」を掲げて、『JIM』より『総合診療』に誌名を変更いたしました。以来、この2年間のうちにも高齢化はさらに進み、社会構造や価値観、さらなる科学技術の進歩など、日本の医療を取り巻く状況は刻々と変化し続けています。地域医療の真価が問われ、ジェネラルに診ることがいっそう求められる時代となり、ますます「総合診療」への期待が高まってきました。これまで以上に多岐にわたる知識・技術、そして思想・価値観の共有が必要とされます。そこで弊誌は、さらなる誌面の充実を図るべく、リニューアルいたしました。本誌は、今後も既存の価値にとらわれることなく、また診療現場からの要請に応え、読者ならびに執筆者のみなさまとともに、日本の総合診療の新たな未来を切り拓いていく所存です。

2017年1月  『総合診療』編集委員会

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次号予告

基本情報

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総合診療
27巻7号 (2017年7月)
電子版ISSN:2188-806X 印刷版ISSN:2188-8051 医学書院

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