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はじめに
Point-of-Care超音波の出番なのです!
急性腹症で尿路結石(尿管結石)が疑われた時には、ベッドサイドで超音波を使って水腎症の評価が行われる場合が多いことでしょう。この時、病院では検査室に超音波を依頼することは少ないかもしれません。多くの患者さんは典型的な病歴を呈しますので、検査前確率は高く、超音波で水腎症が見つかれば、「ほら、やっぱり」となりますね。多くは病歴で診断がつきますので、初期診療では身体所見を確認し、画像診断を省略して、適切な鎮痛さえ行えばよい場合も多いです。
『尿路結石症診療ガイドライン第2版』(2013年度版)1)によると、「急性腹症で尿路結石が疑われる場合、はじめに超音波検査を行うことが推奨される(推奨グレードB)」とあります。誰が施行すべきかについての記載はありませんが、ガイドラインですから、施行者は「標準的な」尿路系の超音波診断を行うことができる医療従事者を念頭に置いているはずです。また、「尿路結石の確定診断には、単純CTが推奨される(推奨グレードA)」と併記されています。皆さんご存じのように、尿路結石の診断においてCTの精度は非常に高く、低線量であっても感度・特異度ともに95%前後で2)、鑑別疾患の特定にも有用です3)。そのような背景から、施設や診療科にもよりますが、尿路結石の初期診療では、CT施行件数が急増したと言われています4)。しかしながら尿路結石は再発しやすく、繰り返しの撮像による放射線被ばくを考慮しなければなりません。またCTを行うことで診断精度は向上しますが、患者ケアそのものが直接改善することを明らかにした臨床研究はないようです。多施設無作為割り付け試験によると、最初にPoint-of-Care 超音波を行うことで、リスクを上昇させることなく、放射線被ばくを減じることが示されています4)。CT全盛のなかにあっても、尿路結石の診療において、Point-of-Care超音波の出番なのです!
*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2019年6月30日まで)。
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