特集 感染症を病歴と診察だけで診断する!Part 3 カリスマ編
【各論】
System2|理詰めで追い詰める感染症
セックスと嘘とアノスコープ
井戸田 一朗
1
1しらかば診療所
キーワード:
直腸炎
,
性感染症
,
肛門鏡
Keyword:
直腸炎
,
性感染症
,
肛門鏡
pp.917-921
発行日 2017年7月15日
Published Date 2017/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429201008
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Case
挿入される側のアナルセックスの2日後に出現した肛門痛
患者:20歳代、男性。MSM(men who have sex with men)。
主訴:肛門痛、しぶり腹、肛門からの膿性分泌物。
既往歴:5年前に急性HIV感染症。
家族歴:特記すべきことなし。
現病歴:5年前より抗HIV療法を導入。以降、良好な経過であった。直近のCD4値は350/μL、HIVウイルス量は検出限界値未満。
コンドームを使った挿入される側(receptive)のアナルセックスを経験した2日後、肛門痛が出現し、次第に増強。排便時痛、しぶり腹あり。便周囲の白色の付着物に気づいた。立位で疼痛増強。1週間後に来院した。
肛門鏡検査を実施したところ、直腸内に黄白色の分泌物を認め(図1)、Gram染色にて多核白血球および白血球に貪食されたグラム陰性双球菌を認めた(図2)。「淋菌性直腸炎」を疑い、同日セフトリアキソン1gを点滴静注。
膿汁の淋菌SDA(strand displacement amplification:核酸増幅検査)陽性、クラミジア・トラコマチスSDA陰性。培養検査は常在菌のみ、淋菌陰性。
受診5日後の再診では、症状の改善が得られていた。
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.