総合診療 27巻4号 (2017年4月)

特集 病歴と診察で診断できない発熱!—その謎の賢い解き方を伝授します。

徳田 安春
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 総合診療医は発熱患者を担当することが多い。まずは感染症などを考えて病歴(問診)と診察を行う。本誌でも「感染症を病歴と診察だけで診断する!」という特集を企画した(24巻8号と25巻10号)。スナップ診断で原因がわかれば、それに越したことはない。しかしながら、世の中そんなに甘くない!病歴と診察、そして基本的な検査を行っても、「原因不明の発熱患者群」というのは、よく登場するのである。

 原因不明の発熱が続く時は、患者も担当医も不安に包まれる。大きなプレッシャーを感じる医師も多いだろう。本特集は、そのような現場で苦悩する読者を助けるために、この診断困難群への現実的アプローチについて、発熱診療のエキスパートによる「診断を確定するためのヒント」を提供したい(本特集では、3週間未満の原因不明の発熱も対象とするので、いわゆる「不明熱」までいっていないケースも含む内容としたい)。

 発熱患者を単に病歴と身体所見のみで診断できなかった場合、本特集が示す具体的な道順を辿っていけば、きっとそのプレッシャーも軽くなることであろう。

【総論】とはいえ、基本は病歴と身体所見!

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Case

患者:64歳、男性。

現病歴:3週間前から38℃近い発熱あり。近医を受診して「風邪」と言われ、セフカペンピボキシル、総合感冒薬、ロキソプロフェンなど処方されるも、発熱が持続したため再度受診したところ、抗菌薬がレボフロキサシンに変更となった。その後全身に紅斑を認めたため薬疹が疑われたが、発熱も認めたため、近くの総合病院に紹介入院となった。

 入院後、レボフロキサシンを中止しメロペネムを開始するも、解熱を認めずロキソプロフェン定期内服としていたが、解熱は認めず。バンコマイシンとミカファンギンも併用としたが、熱源不明のまま腹痛・下痢を認め、腎機能も悪化したため、ステロイドパルス療法を開始したうえで2日目に当院総合診療科へ転院となった。

 来院時、全身に色素沈着を認める皮疹が残存し、血液検査でも腎障害に加えて肝障害も認めた。また、Glu 600mg/dLと著明な高血糖を認め血液検査をしたところ、HbA1cが9.0%あり、バイタルサインは安定していたため、ひとまず血糖コントロール以外のすべての治療を中止し、仕切り直すこととした。

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 こんな患者が紹介されてきた。

Case

5年前から発熱を繰り返す患者

患者:68歳、男性。

現病歴:5年前から周期的な発熱がある。2年前まで数カ月に1度、3日程度続く発熱があった。しかし、自然に軽快した。1年前から毎月熱が出るようになった。最近2〜3カ月は、月に2〜3回発熱する。1回あたりの有熱期間は2〜16日(3日前後が多い)。熱とともに小円形の紅斑を伴う皮疹が出現する。下肢に力が入りにくい。1年間で7kgの体重減少がある。寝汗はない。

既往歴:高血圧、高尿酸血症、膀胱癌(2年前に経尿道的膀胱腫瘍切除術)。

内服薬:NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)。

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「原因不明」は誰にとって原因不明か?

 総合診療外来で『「不明熱」の患者です。よろしくお願いします』と書かれた紹介状をもった患者を診察することはよくあると思うが、ほとんどが数日以内の熱源不明の発熱患者であり、いわゆる「不明熱」であるかは、診療する医師の方針次第だったりする。原因が判明すれば、それは熱源不明の発熱ではなくなるため、つまり「原因不明」は医師の力量によることも少なくはない。原因がわからないと、とりあえず全身のCT検査が行われるご時世に、本稿では“身体診察はCT検査を超えられるのか?”という視点で、原因不明の発熱患者の身体診察を考えてみる。

 筆者自身の反省すべき経験から、丁寧な身体診察への挑戦は始まった。長期入院中の40代の精神疾患患者で、2週間以上38℃を超える高熱がみられ、問診・診察では明らかな異常が指摘できず、造影CTでも原因がわからず、「不明熱」と考え、その原因は「詐熱・ミュンヒハウゼン症候群」ではないかと疑っていた。途方に暮れていたある日、看護師から「肛門らしきものが2つあるのですが」と意味不明のコールを受け、診察すると、なんと! 2つの穴の原因は、痔瘻だった。CTをよくよく見直しても、異常と指摘するのは困難な病変だった。切開排膿すると、あっという間に解熱した。直腸診を省略し、患者の精神状態を疑った自分を、ものすごく反省した。同じようなことは不定愁訴にも共通し、「多岐にわたる患者の訴えがある疾患」に収束するのか、「病的意義をなさない不定愁訴」になるのか、「熱源不明の発熱がある疾患」に収束するのか、それとも「不明熱」になるのかは、医師の技量に左右される。

【各論】さて、この検査をしよう!

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Case

ひどい腰痛にて早朝に救急室を受診した1例(実際の症例を個人情報に配慮して一部改変)

患者:68歳、男性。

既往歴:僧帽弁閉鎖不全により人工弁置換術を5年前に施行されている。

現業歴:急性発症の腰部痛にて早朝3時に救急室受診。腰痛は右から左に移動した後、背中全体に広がり、動作で増悪し、安静で軽快せず、寝返りは打てない。悪寒戦慄認めず。

来院時のバイタルサイン:血圧130/80mmHg、体温36.1℃、心拍数96回/分、呼吸数18回/分、SpO2 96%(室内気)。

臨床経過:解離性大動脈瘤、尿路結石症を疑い、造影CTでは異常を認めず。病歴より感染性心内膜炎が想起され、血液培養3セットを採取し、帰宅となった。翌日、血液培養3セットすべての好気・嫌気ボトルより、連鎖状のグラム陽性球菌が検出され、患者は呼び出され入院となった。経胸壁心臓超音波検査にて、人工弁である僧帽弁に疣贅の所見があり、「人工弁の感染性心内膜炎」の診断となった。血液培養結果は、Streptococcus sanguinisであった。

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Case

患者:93歳、女性。

現病歴:今朝からなんとなく元気がないことに、介護老人保健施設の職員が気づいた。体温を測定したところ38.3℃であったため、救急外来を受診した。初療に対応した初期研修医が行った来院時の血液検査では、WBC 6,800/μL、CRP(C反応性蛋白)0.04mg/dL、ESR (赤血球沈降速度)34mm/hr、プロカルシトニン0.02ng/mLであった。「緊急性はない」と説明して帰宅としたが、翌日、念のために採取していた血液培養から、腸内細菌様のグラム陰性桿菌が検出され、ただちに病院に来院するように指示した。再受診時に行った尿検査では、膿尿および細菌尿が見られ、尿グラム染色でもグラム陰性桿菌が観察された。患者は「腎盂腎炎」と診断され、入院のうえで、抗菌薬加療が行われた。

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Case

患者:不明熱の39歳、女性。

現病歴:X月Y日、37.8℃の発熱に気づく。Y+3日後、近医受診し、上気道炎疑いでアセトアミノフェンの投与を受ける。アセトアミノフェンを服用してしばらくは解熱するが、すぐ38℃台に発熱し、改善が見られないため、Y+7日後、当院救急外来を受診。当直医がバイタルサイン、採血などをみて緊急性がないと判断し、ロキソニン®を処方して帰宅となる。しかし発熱とふしぶしの痛みが続くため、Y+12日後、当院総合内科を受診する。

 診察では、バイタルサインなど異常なし。体温37.6℃。全身リンパ節腫脹なし。皮疹なし。心音・呼吸音に異常なし。両手関節に熱感と腫脹、他動痛と関節腔の圧痛を認める。同様の関節炎を示唆する所見が両肘関節、両肩関節に認められた。胸部X線異常なし。一般採血では、末梢血白血球数異常なし。白血球分画異常なし。ESR(赤沈)67mm/hr、CRP(C反応性蛋白)4.5mg/dL、その 他の生化学的検査異常なし。発熱と急性多関節炎として精査を開始した。

 まず採血にて抗核抗体、RF(リウマチ因子)、抗CCP抗体などを外注でオーダーした。1週間後(Y+19日)の外来でそれらが陰性、SLE(全身性エリテマトーデス)なども陰性であることを確認した。前回の外来以後、38℃を超える発熱は連日続き、関節炎症状もあるため、皮膚色、熱型、脈拍などの確認、血液培養採取のため入院を提案したが、家庭の都合で断られた。行き詰まった主治医は、抗RNP抗体、P-ANCA(抗好中球細胞質抗体)、C-ANCA、クリオグロブリンなど、陽性であれば確定診断に近づく、特異度の高い検査を含めたあらゆる免疫生化学検査を、絨毯爆撃的に外注でオーダーした。

 その1週間後(Y+26日)、それら特異的検査はすべて陰性であった。困り果てて上級医に相談したところ、偶然、貧血があったために、何も考えずにオーダーした、“ある検査”が異常高値であることを指摘された。患者に皮膚の色調の変化の有無を改めて確認したところ、「発熱時に皮膚がピンク色になるような気がする、でもお風呂に入ったらそんなもんではないですか」と答えられた。そこで、ある診断に辿り着いた。患者は診断の遅れに怒りを見せながらも、治療を開始することには同意してくださった。

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Case

発熱・後頸部痛で発症した石灰沈着性頸長筋腱炎の1例

患者:50歳台、男性。

既往歴:特記事項なし。

現病歴:来院2日前より急激な左後頸部痛が出現し悪化してきたため、当院へ紹介され受診した。来院時の体温は37.9℃であり、インフルエンザ抗原迅速検査は陰性であった。血液検査で白血球11,700/μL、好中球77.2%、CRP(C反応性蛋白)4.7mg/dLと、炎症反応の上昇を認めた。MRIのSTIR矢状断像で椎前間隙から咽頭後間隙に腫脹がみられ(図1A)、CTで左頸長筋に一致する石灰化を認めた(図1BC)。

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Case

患者:10カ月前に痙攣を契機に診断された、神経膠芽腫の77歳、男性。

現病歴:開頭術後に経口でテモゾロミド(75mg/m2)を1コース行い、プレドニゾロン (10mg/day)を8カ月内服し、今回2回目の化学療法目的で入院した(day1)。Performance statusは3であり、ここ8カ月間、痙攣に対してゾニサミド(200mg/day)、ニューモシスチス肺炎(PCP)予防のためST合剤1錠/day、心房細動のためアピキサバン(10mg/day)と、pilsicainide hydrochloride hydrate(75mg/day)を内服中である。Day15に1度39℃の発熱があったが、自然に解熱したため、2コース目の経口テモゾロミド(100mg/m2)をday17〜21まで内服した。その後day33に高熱が再燃し、胸部X線および胸部CTで異常陰影が指摘され(図1AB)、day37にすりガラス陰影となり(図1CD)1)、同日から呼吸不全も認めたことから、呼吸器内科にコンサルトとなった。

▶コンサルト時のバイタルサインと身体所見

バイタルサイン:意識清明。体温39.5℃、脈拍数101回/分、血圧126/70mmHg、呼吸数27回/分、SpO2 93%(経鼻カヌラ2L/分)。

頸部:明らかなリンパ節腫大なし。

胸部:両側肺野にcoarse cracklesあり。心雑音なし。

その他:特記すべき異常所見なし。

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Case1

赤痢アメーバ症の1剖検例

患者:80歳、日本人男性。海外渡航歴なし。

既往歴:糖尿病(内服療法中。HbA1cは6〜7%。合併症なし)。

現病歴および経過:入院6〜4日前に国内旅行をし、刺身を食べたが生肉は食べてない。入院4日前から腹痛と下痢があった。入院当日トイレから立てない状態でいるのを発見され、救急車で搬送された。来院時、意識清明、血圧96/61mmHg、脈拍数133回/分、体温39.2℃。腹部全体に圧痛を認めたが、反跳痛はみられなかった。検査では高血糖(753mg/dL)と低Alb血症(1.2g/dL)が著明であり、便潜血が陽性を示した。WBC 11,000/μL、Hb 12.2g/dL、Ht 37.0%、Plt 28.5×104/μL。血液ガスは室内空気でpH 7.4、pO2 80.7mmHg、pCO2 26.7mmHg、HCO3- 16.3mmol/Lであった。「感染性腸炎」と診断し、輸液、インスリン療法、アルブミン静注、抗菌薬投与(セフメタゾール→メロペネム)を行ったが、病状は改善せず、第13病日に永眠された。便培養・血液培養はいずれも陰性であった。

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Case

発熱24時間で受診し、検査データから早期に悪性リンパ腫の診断に至った1例

患者:50代、男性。既往なし。

現病歴:2日前まで問題なし。前日の夕方から微熱があり、来院当日38℃台になったということで夜間救急外来を受診された。発熱以外の症状はなく、sick感はない。身体所見で下肢にわずかに点状出血があったので気になり、採血を行ったところ、LDH(乳酸脱水素酵素)550IU/L、CRP(C反応性蛋白) 7.1mg/dLと上昇あり、軽度の血小板低下(Plt 9.1×104/μL)がみられた。胸部X線、腹部エコー、尿検査で異常なく、明らかな細菌感染のフォーカスは見つからなかった。未治療で翌朝受診してもらい、再検でLDHは705IU/Lとさらに上昇。造影CTでは軽度の脾腫のみで、明らかなリンパ節腫大はなく、熱源は不明であった。血液悪性腫瘍を疑い、週末はナプロキセンを投与して様子を見たところ1日で解熱。週明けに骨髄検査を行い、「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」の診断となった。

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Case1

患者:32歳、女性。

主訴:3年前からの動悸・頭痛・下痢・疲労感・微熱・肩こりなどの反復。

既往歴:片頭痛。

家族歴:特記すべき事項なし。

現病歴:20歳過ぎから頭痛があり、近医で「片頭痛」と診断され、鎮痛薬を適宜使用していた。しかし3年前から頭痛が悪化するようになり、総合病院で精査されたが異常なし。頭痛だけでなく、動悸・下痢・疲労感・微熱・肩こりといった多彩な症状で悩むようになり、心療内科受診を勧められたこともあった。ここ1年ほど頭痛のたびに動悸がし、吐き気も伴い、片頭痛治療については頭痛外来に通院していた。しかし疲労感はつのり、また2年間で5kgほどではあるが体重減少がみられている。頭痛は拍動性のことが多い。日ごとに体調が変わる感じであり、「パニック障害」と言われたこともあった。いくつかの病院を転々としたが、「HbA1c 6.9%ほどの耐糖能異常以外は、大きな異常はない」とされたという。今回も上記主訴について症状が改善しないため、当院総合診療科を受診したもの。特に、「ずっと微熱があり、何か熱が出る病気が隠れていないか」を心配しての受診であった。

身体所見:身長157cm、体重44.0kg。血圧154/102mmHg、体温37.0℃、心拍数72回/分、SpO2 99%(室内気)。胸部聴診:特記すべき異常なし。腹部診察:特記すべき異常なし。眼球突出なし、リンパ節腫大なし、甲状腺腫大なし、明らかな異常皮膚所見を認めない。

当院来院時検査所見:WBC 11,060/μL, Hb 13.2g/dL、Ht 40.1%、Plt 29.3×104/μL、Alb 4.4g/dL、T-Bil 0.9mg/dL、ALT 18IU/L, AST 16IU/L、BUN 6.0mg/dL、Cr 0.52mg/dL、CRP 0.01mg/dL、HbA1c 7.1%

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徳田 今日は全国から、発熱診療のエキスパートにお越しいただきました。今日はこの4人の先生方に「こんな原因もあった!本当は怖い発熱」をテーマに、「貴重な体験物語」を語っていただきたいと思います。

 では早速、「レア原因」と「大どんでん返し」Caseのシェアをお願いいたします。

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本問題集は、今月の特集のご執筆者に、執筆テーマに関連して「総合診療専門医なら知っておいてほしい!」「自分ならこんな試験問題をつくりたい!」という内容を自由に作成していただいたものです。力試し問題に、チャレンジしてみてください。

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 「病歴と診察で診断できない発熱」ケースについての対応の仕方が、本特集のテーマである。とはいえショットガンアプローチ的に「検査をガンガンやりなさい」、と言いたいわけではない。検査ではショットガンではなく、やはり“ピストルアプローチ”をおすすめしたい。

 過剰な検査は結果として時にミスリードする。コストもかかる。なので、まずは病歴と診察を「ちゃんととる」ことが必要となる。

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病歴

患者:69歳、女性。

主訴:左後頭部痛、発熱。

現病歴:3カ月前頃から、左後頭部・耳介後部に、押さえるとズキッと痛みが走る感覚を自覚した。うつむくと左前額部が痛い感じがすることも自覚していた。20日前頃に、発熱と咳嗽が出現して近医を受診。感冒としてクラリス®などを処方されたが改善せず、クラビット®が処方された。5日前に近医を再診した時には、発熱や咳嗽は落ち着いていたが、CRP(C反応性蛋白)が高値であったため、他院を紹介されて受診。頭部の違和感が持続していることを伝えたところ、頭部CTが施行されたが、異常所見は指摘されなかった。

 「原因不明」ということでクラビット®は中止するように指示され、当院総合内科を紹介された。当科受診時には、頭部違和感はまだ継続しており、左側頭部、左耳介後部にピリピリとした痛みがある。押さえなければ痛くはないが、押さえるとズキッとした痛みがある。視力障害や皮疹はない。左肩甲骨や左乳房の下部にも痛みがあり、ズキッとした痛みで、咳をすると響く感じがするとのこと。発熱は38℃を超えることはなく、36〜37℃台で推移している。

職業:書道講師。

生活習慣:ADL自立。

嗜好品:喫煙なし、飲酒なし。

渡航歴:海外旅行歴なし。3カ月前に沖縄への旅行歴あり(結核曝露歴なし)。

家族歴:特記すべきことなし。

既往歴:28歳で帯状疱疹。48歳で子宮内膜症・卵巣囊腫にて手術歴あり。左滲出性中耳炎を指摘されたことあり(詳細不明)。高血圧・脂質異常症・糖尿病なし。

内服薬:アセトアミノフェン頓服(5日前からクラビット®とロキソプロフェンは中止)

I LOVE Urinalysis|シンプルだけどディープな尿検査の世界・1【新連載】

慢性腎臓病(CKD)の検出 上田 剛士
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Case

患者:62歳、男性。

現病歴:突然発症の胸背部痛にて救急車を要請した。疼痛は体動で増悪せず。冷汗あり。

既往歴:特記すべき既往なし。検診で「脂質異常症」以外の異常は指摘されたことがない。

服薬歴:なし。

喫煙歴:20本/日×40年。飲酒歴:ビール500mL/日

バイタルサイン:血圧 133/75mmHg(右上肢)、120/71mmHg(左上肢)、心拍数 93 回/分、呼吸数20回/分、SpO2 98%(室内気)、体温 36.1℃。

心電図:正常範囲。胸部単純X線写真:縦隔拡大あり。心臓超音波検査:左室収縮能良好。大動脈に解離腔は描出せず。

 尿定性

比重      1.015

pH       6.5

尿蛋白     ‐

尿糖      ‐

ケトン体    ‐

尿潜血     ‐

ウロビリノゲン ±

ビリルビン   ‐

白血球     ‐

亜硝酸塩    ‐

総合診療専門医(仮)セルフトレーニング問題・1【新連載】

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セッティング

大都市郊外の無床診療所。あなたは医師3人体制で診療をしている。診療所では尿検査(定性のみ)、X線、心電図などはすぐに結果がわかるが、血液検査はすべて外注している。CT、MRI、上部消化管内視鏡などの検査および入院は、車で30分の総合病院に依頼している。

Case

木村さんという34歳の女性が、「禁煙治療」を希望してあなたの外来を受診した。22歳で一般企業に就職して以来、1日15本程度の喫煙を続けている。近々結婚する予定があり、子どももほしいので、これを機会に禁煙したいと考えている。

既往歴:特記事項なし。

家族歴:特記事項なし。

社会歴:事務職、未経妊、喫煙上記、機会飲酒。

常用薬:なし。

アレルギー:既知のものなし。

ヘルスメンテナンス:年1回の会社の健診のみ(血液、尿、胸部X線)。

診察で使える!|急性期Point-of-Care超音波ベーシックス・1【新連載】

急性胆囊炎を疑った時 亀田 徹
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 「Point-of-Care超音波」とは、画像診断を専門にしない診療医が、ベッドサイドで自ら行う超音波(エコー)です。通常は病歴・バイタルサイン・身体所見による診断推論に基づき、ポイントを絞って行われます。Point-of-Care超音波が取りうる範囲は、診療医が一定のトレーニングで習得でき、日常臨床で技量の維持ができるものでなければなりません。この領域については急性期を中心に、海外で多くの臨床研究が行われ、エビデンスが示されてきましたが、本連載では一定のコンセンサスが得られている、もしくは今後その可能性がある疾患や病態にスポットを当て、❶Point-of-Care超音波のレベルでの走査法のコツ、❷キーとなる所見、❸身体所見との対比、❹エビデンスについて、エッセンスを提示していきたいと思います。紙面の関係上限られた内容しかお示しできませんので、興味を持たれた方には、教科書や文献にあたっていただくことをお薦めいたします。

 急性期診療に従事される総合診療医や内科医、さらには研修医の皆様に、Point-of-Care超音波を日常診療に役立てていただけるよう、少しでもそのお手伝いができましたら幸いです。

*本論文中、[▶動画]マークにつきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2019年3月31日まで)。

西伊豆発!画像読影道場|これくらい読めてもいいんでナイカイ?・4

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 今回は、手のX線の勉強です。特に診療所で役立つポイントをまとめました1)

 冒頭の設問の答えは、手の「変形性関節症(osteoarthritis:OA)」です。手のOAには、好発部位があります。これを知っておくと、「関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)」との鑑別診断の役に立ちます。

みるトレ Special・4

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CASE 4

患者:20歳、男性。ADL自立。既往歴・薬剤歴(サプリメント・漢方含む)とも特記事項なし。

主訴:左眼の疼痛。頭痛、発熱。

現病歴:2日前から左眼の疼痛・腫脹が出現し、開眼が困難になってきた。

1日前から悪寒戦慄と頭痛が出現し、受診当日から動けなくなったため救急搬送。

視力低下や複視の自覚はない。

身体所見:血圧130/83mmHg、脈拍数110回/分、呼吸数20回/分、体温39.2℃

GCS(Glasgow Coma Scale)E4V5M6

左上下眼瞼の発赤・腫脹・疼痛・熱感あり、左眼で開眼困難あり(図1)。

項部硬直なし、Kernig/Brudzinski徴候なし。jolt accentuationあり。

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CASE

患者:自宅で生活を営む80代、女性。

主訴:発熱と倦怠感。

既往歴:数年来の高血圧症に対して内服加療中。

内服歴:アムロジピンベシル酸塩5mg 1錠分1。

ワクチン接種歴:1年前に23価多糖体肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス®NP)接種。

家族歴:特記事項なし。

生活歴:喫煙歴・飲酒歴なし。娘夫婦と同居。

現病歴:来院前日まではデイサービスに出かけ、体調は良く、いつもと変わらない日常生活を過ごしていた。しかし、来院当日朝からの悪寒戦慄(shaking chills)を伴う40℃を超す発熱と倦怠感を主訴に、当院救急センターを受診した。

国試にたずねよ・4

乾癬&関節炎の攻めるH&P 山中 克郎
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 数年前、私が医師国家試験(以下、国試)の試験問題作成委員を務めていた頃は、春に100名程度の委員がそれぞれ問題を作成し持ち寄っていた。それらオリジナルな問題以外に、過去の問題や一般公募による問題も含まれていて、合計1,000以上の問題が集まる。これらから妥当でない問題を選別して800問程度に絞り、最終的には500問の問題をつくっていくわけだ。

 最近は、救急やプライマリ・ケア領域における基本的な診療を問う問題が多くみられる。当院に見学に来る医学生に聞くと、6年生になると国試予備校の講義や資料を活用する大学が多いようだ。何か違和感を覚える。医学部には教官がたくさんいるはずなのに、研究ばかりしていて臨床医として必要な知識や診察手技を教える自信がないのだろうか。

 国試に合格することが、医学部卒業の最終目標となっているのは寂しい。大学は、議論を戦わせながら自由に思考を磨く、高等教育の場であってほしい。答えがない問題に対して、どのようにアプローチするかを学ぶところである。授業の出欠を毎回とり、答えが決まっている問題を短時間で解く練習を繰り返させても、独創性のない画一的な医師や研究者しか育たないだろう。

こんなときオスラー|超訳『平静の心』・4

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CASE

Q.あなたはこの状況をどう考えますか?

あなたは総合診療外来で、「手掌の発疹」と「胸痛」を訴える患者を診察していました。

患者「胸の真ん中が痛くなって、なんだか腫れてきたんです。同時に手のひらにブツブツができて……」

あなた(あれ? これはどこかで聞いたような……この前の講演会で確か“SAPHO症候群”という病気があったな……)

「では、検査をしましょう。1週間後、結果を聞きに来てください」

〜そして1週間後〜

患者「先生、“さふぉー”って、何ですか? どのような病気なのですか?」

あなた「えっと、これは……(汗)。専門の先生に相談しようと思っています」

苦手克服|野獣のリアル勉強法・4

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総合診療医なのに、なぜ「運動器」を?

 学生時代、私は解剖学の試験は60点ギリギリ合格で、決してもとから運動器診療が得意だったわけではありません。

55歳からの家庭医療|明日から地域で働く技術とエビデンス・4

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 前回まで述べたように、外来の診察時間は、患者さんの「複雑度」によって、そして必要な「タスク」によって短かったり長かったりするのですが、“典型的な外来診療”の流れ・組み立て方を知っておくことは有用です。

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 今回われわれは2016年11月6〜8日にかけて、米国ロサンゼルスで行われた「Diagnostic Error in Medicine 9th International Conference」(以下、DEM)に参加したので報告する。DEMは、「Society to Improve Diagnosis in Medicine」という、診断エラー G1 や診断プロセスの改善を議論する学会の分科会である。

 診断エラーは、米国医学研究所(IOM:Institute of Medicine、現在はNational Academy of Medicine)の定義では、「健康問題について正確で適時な解釈がなされないこと、またその解釈が患者に伝えられないこと」と提議されている。

#総合診療

#今月の特集関連本❶

#今月の特集関連本❷

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 評者自身は成人の感染症を専門としているが、修練の過程で、そして感染症医となってからも3〜4歳以上の小児の感染症診療にはコンサルテーションを通じて時折かかわってきた。しかし、評者は小児感染症の全体像を学んでいるわけではなく、本物の小児感染症医の先生方とは知識も経験も比較しようもない。本来この書籍はポケットに入れて日常診療のなかで日々役立てるものだが、このような評者の背景もあるため、評者自身は本書を「小児感染症を知るための手引き」として読ませていただいた。

 本書全体に一貫しているのは、現在わかっているエビデンスと、エビデンスのない領域を徹底して意識し、それを指針にきちんと反映している点である。特に参考となるエビデンスのない事項に関しては、それを明確にコメントとして示している。たとえば、マイコプラズマによる下気道感染の項目では、「小児における前向きのよくコントロールされたマイコプラズマ肺炎の治療のデータには限りがある」との記載がある(本書p.83)。マイコプラズマ肺炎の治療薬を丸暗記することは誰でもできるが、このような記載には編集された先生方の臨床医としての良心的な姿勢を感じる。また、多くの感染症の治療期間は慣習的に定まってきたものでエビデンスに欠けるが、これもきちんと書いてある。治療期間の設定についてのマニュアルの書きぶりがあまりに断定的であれば、教条的になってしまう。読者がその記載に盲目的に従ってしまえば、診療に悪影響を及ぼす。「定まっていない」ことが明確に書かれていれば、最終的にはやはり全体像を踏まえての医師の判断が必要であることを意識できる。

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 おそらく感染管理ほど日本の医療文化の病理・弱点を端的に象徴する領域はない。日本環境感染学会が大変な賑わいをみせる一方で、行政からの通達は実効性を欠き、各医療機関の感染管理担当者が抱く不全感は消えることがない。その理由は、感染管理という仕事が、問題を定義し、その解決に必要な要素を決定、対策の効果を測定する……といった疫学的な業務に加えて、臨床各科や看護部、病院管理部など利害を異にする各部門間の調整をする……といった日本人が最も苦手なことを要求することにある。1人の患者の血圧を外来で目標値に移行させるといった作業とは、およそ対照的であり、どこか「巨大な軍隊組織の運用」対「一兵卒の射撃訓練」の対比に似る。前者には冷徹な数理・統計的な素養と人間関係の機微に対する洞察が求められるが、後者は基本的に個人が「匠の技で一生懸命やる」ものである(*感染症専門医に感染管理も期待するといった混乱も、このあたりの整理が不十分であることに起因している)。

 内容は極めて密度が濃く、参考文献もほとんどが過去数年以内の新しいものであり、著者の地道な努力を物語っている。「鉄則」を一部ご紹介すると……。

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 2015年、1991年に創刊した弊誌は、下記の「編集方針」を掲げて、『JIM』より『総合診療』に誌名を変更いたしました。以来、この2年間のうちにも高齢化はさらに進み、社会構造や価値観、さらなる科学技術の進歩など、日本の医療を取り巻く状況は刻々と変化し続けています。地域医療の真価が問われ、ジェネラルに診ることがいっそう求められる時代となり、ますます「総合診療」への期待が高まってきました。これまで以上に多岐にわたる知識・技術、そして思想・価値観の共有が必要とされます。そこで弊誌は、さらなる誌面の充実を図るべく、リニューアルいたしました。本誌は、今後も既存の価値にとらわれることなく、また診療現場からの要請に応え、読者ならびに執筆者のみなさまとともに、日本の総合診療の新たな未来を切り拓いていく所存です。

2017年1月  『総合診療』編集委員会

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総合診療
27巻4号 (2017年4月)
電子版ISSN:2188-806X 印刷版ISSN:2188-8051 医学書院

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