国試にたずねよ・4
乾癬&関節炎の攻めるH&P
山中 克郎
1
1諏訪中央病院総合内科
pp.516-518
発行日 2017年4月15日
Published Date 2017/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200883
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数年前、私が医師国家試験(以下、国試)の試験問題作成委員を務めていた頃は、春に100名程度の委員がそれぞれ問題を作成し持ち寄っていた。それらオリジナルな問題以外に、過去の問題や一般公募による問題も含まれていて、合計1,000以上の問題が集まる。これらから妥当でない問題を選別して800問程度に絞り、最終的には500問の問題をつくっていくわけだ。
最近は、救急やプライマリ・ケア領域における基本的な診療を問う問題が多くみられる。当院に見学に来る医学生に聞くと、6年生になると国試予備校の講義や資料を活用する大学が多いようだ。何か違和感を覚える。医学部には教官がたくさんいるはずなのに、研究ばかりしていて臨床医として必要な知識や診察手技を教える自信がないのだろうか。
国試に合格することが、医学部卒業の最終目標となっているのは寂しい。大学は、議論を戦わせながら自由に思考を磨く、高等教育の場であってほしい。答えがない問題に対して、どのようにアプローチするかを学ぶところである。授業の出欠を毎回とり、答えが決まっている問題を短時間で解く練習を繰り返させても、独創性のない画一的な医師や研究者しか育たないだろう。
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