#総合診療
#書評:『感染対策40の鉄則』
青木 眞
pp.486
発行日 2017年4月15日
Published Date 2017/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429200875
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おそらく感染管理ほど日本の医療文化の病理・弱点を端的に象徴する領域はない。日本環境感染学会が大変な賑わいをみせる一方で、行政からの通達は実効性を欠き、各医療機関の感染管理担当者が抱く不全感は消えることがない。その理由は、感染管理という仕事が、問題を定義し、その解決に必要な要素を決定、対策の効果を測定する……といった疫学的な業務に加えて、臨床各科や看護部、病院管理部など利害を異にする各部門間の調整をする……といった日本人が最も苦手なことを要求することにある。1人の患者の血圧を外来で目標値に移行させるといった作業とは、およそ対照的であり、どこか「巨大な軍隊組織の運用」対「一兵卒の射撃訓練」の対比に似る。前者には冷徹な数理・統計的な素養と人間関係の機微に対する洞察が求められるが、後者は基本的に個人が「匠の技で一生懸命やる」ものである(*感染症専門医に感染管理も期待するといった混乱も、このあたりの整理が不十分であることに起因している)。
内容は極めて密度が濃く、参考文献もほとんどが過去数年以内の新しいものであり、著者の地道な努力を物語っている。「鉄則」を一部ご紹介すると……。
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