LiSA 22巻6号 (2015年6月)

徹底分析シリーズ 局所麻酔薬

巻頭言 櫻井 裕之
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麻酔科医にとって局所麻酔薬は,日常診療でルチーンに使用する薬物であろう。なので,「何を今更,電位依存性ナトリウムイオンチャネルか」と,うんざりされる向きもあるかもしれない。しかし本当に“わかりきっている”ことばかりなのだろうか。筆者は薬理学の講義で,局所麻酔薬の神経線維の種類による感受性を教えている。一般的に無髄神経のほうが有髄神経より,また神経線維の細いほうが太いほうより,感受性は高いとされているが,教科書には細い無髄のCファイバーより太い有髄のAδファイバーのほうがリドカインに,より感受性であると書かれている。これをどう説明したものか困っていたところ,今回,本特集の「末梢神経の解剖と神経線維への選択性」を読んで,わかっていないということが判明した。このようなことはほかにもあるはずである。

 今春の基礎医学系の学会で筆者は,イオンチャネルや輸送体の立体構造解析の講演を聴く機会が多かった。活性化リガンドや阻害薬存在下など,さまざまな条件での立体構造解析により,生理学的実験で得られていた一見説明が難しいデータが,初めて腑に落ち,事象を深いレベルで理解するには基礎に立ち戻ることが重要であることを思い知らされた。本徹底分析でも,麻酔科医が頻用する薬物について,より理解を深めてほしいとの思いで,基礎に立ち返ってメカニズムを解説してもらった。読者諸氏のこれまで腑に落ちなかった疑問が解けることを願っている。

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局所麻酔薬は芳香環とアミンが中間鎖で結合された構造をとり,その多くは生体内でイオン化型または塩基型として存在する。一般に,局所麻酔薬は塩基型で細胞膜を通過し,イオン化型で電位依存性ナトリウムイオンチャネルと結合する。局所麻酔薬がどの程度イオン化型として存在するかは,pKaで表される局所麻酔薬の特性と周囲のpH環境により決定する。pHが上昇し周囲がアルカリとなると塩基型が増加し作用発現が早くなる。局所麻酔薬は,ゲートが閉じたチャネルよりも開いたチャネルに対して親和性が高いため,神経細胞が繰り返し刺激を受けると,より多くの局所麻酔薬がチャネルに結合し,その効果は増大する。この効果はphasic blockと呼ばれている。構造生物学の進歩によって,電位依存性ナトリウムイオンチャネルと局所麻酔薬の相互関係が三次元的に解析されつつある。

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電位依存性ナトリウムイオンチャネルvoltage-gated Na channel(VGNC)は,中枢神経,末梢神経,心筋,骨格筋細胞などに発現し,活動電位の開始および伝達において重要な役割を担っている。1984年に沼博士らによって初めて遺伝子が同定されて以降,これらの構造・機能を解明すべく研究が進められてきた。近年では,神経障害性痛をはじめとした痛みの病態にも重要な役割をもつことが示唆されており,局所麻酔薬の作用部位としてだけでなく,難治性疼痛治療に対する新たなターゲットとして注目されている。

 本稿では,現在までに解明されているVGNCの基本的な構造・機能と痛みの病態への関連性について解説する。

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神経ブロックに関しては筆者よりはるかに経験・知識の多い方々がいるなかで,本稿を依頼されたのは,筆者の研究内容を交えて説明せよ,とのことと捉え,モダリティーの違う神経線維に対する局所麻酔薬の選択的遮断効果(の可能性)について,今までとはちょっと違った視点で解説したい。ただし,これらの基礎研究はすべてラットを対象としており,ヒトにそのまま当てはまるかは,これから調べる必要があることをお断りしておく。

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局所麻酔薬は,脂溶性のベンゼン環をもった芳香族と親水性の3級アミンが中間鎖で結ばれた構造を有している。その中間鎖の種類により,エステル型とアミド型に分けられる1)。エステル型にはプロカイン,テトラカイン,コカインがあるが,現在日本ではあまり使用されていない。それは,アミド型局所麻酔薬のほうが,アレルギー反応の可能性が少ないこと,薬物の安定性が優れていることなどの理由からである。一般的に日本で臨床に用いられているアミド型局所麻酔薬には,リドカイン,メピバカイン,ブピバカイン,レボブピバカイン,ロピバカインがある。本稿では,これら局所麻酔薬の硬膜外投与法を中心に説明する。

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ロピバカインやレボブピバカインなどの長時間作用性薬物の登場により,局所麻酔薬(局麻薬)の使用総量を減らすことが可能になった。一方で,近年,超音波ガイド下神経ブロックの普及により,比較的大量の局麻薬を使用する機会も増えている。麻酔科医にとって局麻薬は日常頻繁に使用する,なくてはならないアイテムであり,多くの恩恵を受けている。しかし,局麻薬にはいくつかの注意すべき合併症がある。本稿では,①脊髄くも膜下麻酔後の局麻薬神経毒性(一過性神経障害/馬尾神経障害),②局麻薬中毒,③アレルギー反応について記載する。いずれも発症頻度は低いが,日々,麻酔を行っていれば,出会う可能性がある。そんなとき,少しでも早く気づき,早期に対応ができれば,患者へのダメージは最小限に抑えられる。

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脂肪乳剤による局所麻酔薬中毒の治療効果(lipid rescue)については,さまざまな基礎研究や多くの症例報告によって,すでに確立されたといえる。一方,その機序は,脂肪による局所麻酔薬の取り込み(lipid sink)および脂肪酸代謝の改善が主なメカニズムとされてきた1)。従来の基礎研究は,in vivo whole animalを用いたものが主体であったが,近年は薬物動態学的解析や分子生物学的手法を用いた研究により,さまざまなメカニズムが関与していることが明らかにされつつある。

特集 私のコツ教えます(後編)

巻頭言
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ベテラン麻酔科医ならば,毎日行っている手技には自分なりのコツがあるだろう

そんな“私のコツ”を紹介する

まだコツがつかめていない研修医のあなたが自分なりのコツを探す参考にしてほしい

コツがつかめているあなたも,自分のコツにちょっぴりアレンジを加えられるかもしれない

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近年では多数の循環モニターが存在しているが,連続的な肺動脈圧モニタリングや圧波形から得られる情報は,肺動脈カテーテルpulmonary artery catheter(PAC)のメリットである。しかし,侵襲的な手技を伴うPACには,挿入すること自体に賛否両論があることも事実である。そんな立場にあるPAC挿入の“コツ”とは,安全性(=合併症を起こさない)である。そこで,内頸静脈からアプローチすることを前提に,安全なPACの挿入・管理のコツを中心にまとめる。

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動脈ラインが入らなくて手術の開始が遅れてしまう…誰でもそんな経験はあると思います。ただ,動脈ライン確保が上手い人と下手な人はいます。橈骨動脈穿刺を失敗してしまったとき,ほかの方法で素早く動脈ラインを確保できる人こそ,上手い人ではないでしょうか。

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本稿では,硬膜外に超音波と聞いて,本当に役に立つの?と思われた方や,どうやってやるの?と思われた方に向けて,超音波の活用について説明し,私のコツを紹介する。

脊髄くも膜下麻酔 近江 禎子
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脊髄くも膜下麻酔(以下,脊麻)では,細いペンシルポイント針での穿刺が推奨されているが,穿刺が難しいと敬遠されることがある。そこで少しでもペンシルポイント針の使用頻度が増加することを願い,ガイド針を使ったペンシルポイント針の利点と穿刺の「コツ」について述べる。そして,脊麻ならではの思いがけない高度徐脈や心停止のメカニズムについても述べる。

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分離肺換気のテクニックには,気道確保の方法,低酸素性肺血管収縮(HPV)への影響を考慮した麻酔薬の選択など,さまざまな話題がある。本稿では,分離肺換気中の低酸素血症への対応について考えてみたい。

症例検討 院内急変

巻頭言 須崎 紳一郎
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医療を取り巻く観点のなかで,今や「医療安全」は最も重視される項目の一つだろう。どこの病院でもインシデント・リポートの集約などを通じて要因分析を進め,診療手順の見直し,マニュアルの整備,チェックリスト,システムの整備を重ねることで医療事故の予防・軽減に努力とさらなる検討を重ねている(safety management)。

 しかしそれでも「事故は起こる」。どれだけ対策を行っても医療からヒューマンファクターは除けないし,もともと生体を,しかも病気を抱えた人を相手にしているのだから,たとえ医療の過程に過誤が皆無でも事故,急変は起こり得る。予期できないことも無数にある。つまり,医療におけるリスクマネジメントは「事故を起こさないこと」を目標にするだけでは到底足らず,(一定の確率で必ず起き得る)不利益事象に対して,発生後に「いかに影響を最小限化」し「致命的結果を回避すること」が,必要かつ本質的に重要である(consequence management)。もちろんそれは第一に患者を守るためであるが,同時に結果的に医療者や病院を守ることでもある。急変時にしかるべき処置が取れていたか(そしてそれが記録されているか)は,事後に重大な影響がある。

 さあ,そこで「院内急変」の出番だ。院内急変対応システムについては,それぞれの施設の状況,態勢により異なって当然であり,それぞれが工夫すべきなので,一定のやり方を強制することはなじまないだろう。

 事故や事変の原因の多くにヒューマンファクターがあるにもかかわらず,緊急時の対応の鍵も突き詰めれば「対応者の個別の即応能力」に帰してしまうのは皮肉である。瀬戸際の場面で最後に発揮されるのは,あなたの力量以外にはない。器械はアラームを発してくれても,器械が患者を助けてくれることは決してないのだから。

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院内急変は,最も安全であるべき病院での出来事であり,迅速かつ適切な処置が確実に実施されなければならないことはいうまでもない。

「院内急変対応」体制を作れといわれて,まず検討すべきことは何か。例えば,発動・参集について一番に思いつくのは,「緊急一斉全館放送」(Code blueやstat callなど)だが,これには欠点もある。一番の問題は,放送は一方的で対応者の確認がされないことである。コールを耳にしても,手が空いていないと「誰かが行くだろう」と聞き流される,逆に多く集まりすぎて誰が指揮者かわからない,つまり“連帯責任は無責任”状態が起こり得る。また,就寝時間帯の全館放送はほかの多くの患者に不安を与え,迷惑である。

 特定の場所(医師控室や当直室)に電話する方法は,そこに不在なら空振りとなる。指定担当者(当直医)にコールするのも,担当者が対応できる状況になければ行き詰まる。そもそも,時間帯や日によってコール先や方法が変わると「マニュアルを見なければ」呼べないことになる。これでは呼ぶ側の負担になり,緊急時体制として欠陥である。院内急変は,「予期しない場所,状況で起きる突然かつ重大な事態」だからこそ,対応体制は「シンプルで明瞭」でなければならない。つまり,院内急変対応は災害時対応と同じ,そのミニ版である。

 そう考えると,院内急変体制は頭でっかちに形だけまねて外から導入するのではなく,施設の環境,規模,機能,人的状況,設備などによって個別に検討し,実経験を重ねて練り上げて行くものであろう。だから「これでなければならない」という定型雛形は存在しないが,武蔵野赤十字病院(以下,当院)での体制を以下に紹介し,参考に供したい。

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症例

63歳の男性。身長175cm,体重68kg。胃癌術後3日目の22:30,病棟巡回中の看護師がベッド脇の床上に倒れている患者を発見。辛うじて応答はあるが,顔面蒼白で,脈拍微弱,腹部ドレーンより拍動性の出血があるようだ。外科医はオンコール体制で不在。

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症例

12歳の女児。頭痛と発熱を訴えて小児科外来を受診直前に,混雑した病院外来ロビーで痙攣を起こして卒倒した。呼吸・循環は未確認だが,顔色はひどく悪い。

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症例

86歳の男性,身長167cm,体重70kg。肝硬変・肝癌でラジオ波焼灼術のため入院している。連休中の昼頃,4人病室で突然の大量吐血を起こした。内科主治医は不在。たまたま家族が見舞い中だったため,目撃して騒いでいる。

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症例

70歳の男性。身長165cm,体重75kg。くも膜下出血(SAH)grade 2で前日入院。内頸動脈後交通動脈分岐部(IC-Pcom)脳動脈瘤に対し,脳神経外科医2名でinterventional radiology(IVR)として動脈塞栓術(TAE)を始めた。血管造影検査開始20分後に突然,心室細動(VF)が発現した。

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症例

69歳の男性。身長173cm,体重80kg。頸椎椎体切除前方固定術が施行され,ハローベストを装着後,術後管理目的に集中治療室(ICU)入室となった。術後3日目,喀痰排出困難を認めたため,看護師が鼻腔より吸引を試みていたところ,モニターで徐脈ののち,低酸素アラームが鳴り,心停止となった。

連載

Editorial拝見
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The New England Journal of Medicine

Editorial:

Schaff HV. Surgical ablation of atrial fibrillation-when, why, and how? N Engl J Med 2015;372:1465-7.

Article:

Gillinov AM, Gelijns AC, Parides MK, et al. Surgical ablation of atrial fibrillation during mitral-valve surgery. N Engl J Med 2015;372:1399-409.

■僧帽弁手術とメイズ手術

僧帽弁疾患患者は,心房細動の発生率が高く,心房細動の出現に伴い心不全に陥ることが多い。心房細動による血栓塞栓症も起こり得る。薬物による調律や心拍数のコントロール,抗凝固療法が行われるほか,カテーテルアブレーションも行われる。心房細動に対するメイズ手術は,1987年にJames I. Coxにより開始された。両心房を定められたパターンで切開することにより,洞調律へ復帰する率が高いことが示された。当時は,手術時間も長く,出血などの問題もあった。その後,心臓手術時の治療としては,ラジオ波や凍結アブレーションが主流となり,手術時間の延長や出血の問題はマイナーなものとなってきた。しかし,心臓手術時の外科的アブレーションに関する適応に関してはコンセンサスがない。

連載 ABCD sonography

Airway:気道エコー 田中 博志
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「気道エコー」って?

「気道エコー」といわれて違和感を覚えたとしたら,それは,超音波のことを知っている人の正しい感覚である。なぜなら,気道は“空気”に満ちているからである。超音波の世界では,空気は金属をもしのぐ,きわめて異質な存在である。一度人体に入った超音波は,空気に当たると100%反射し,その先へは絶対に進めない(表1)。そのため,今まで空気を含む臓器は超音波による評価が難しいとされてきた。しかし,この“特別な性質”を逆利用することで生まれた手法が,「気道エコー・肺エコー」である。

連載 漢方の歩き方 レーダーチャートで読み解く痛みの治療戦略:第17回

清ます その1 矢数 芳英
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荒:いよいよ6つの戦略(図1)の最後の戦略ですね。

福:確か,熱を清ますのでしたよね。

矢:そうです。漢方でいう「熱」の病態を清ましましょう。

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連載 music scene

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前回は史上最長の交響曲,マーラーの第3番を取り上げたが,彼の交響曲の始まりはどれも独特である。

 青年期に作曲された第1番は,調性も定かでない金属的な高音が鳴り続けるなか,木管がカッコウのようにさえずり始める。次作第2番では,ヴァイオリンがトレモロを奏でるところに低弦がいきなり荒々しい主題を提示する。一方,第4番はクリスマスにトナカイが引く橇が近づいてくるかのような,愛らしい鈴とフルートの序奏で始まる。第5番は,いきなりトランペット・ソロが葬送のファンファーレを吹き鳴らし,第6番は軍靴の響きを想像させる行進曲,そして第9番でハープ,チェロ,ホルンが足を引きずるように断片的に弾き始める様は,まるで心臓の期外収縮である。未完に終わった第10番を含むすべての交響曲の冒頭で,マーラーは毎回新しい趣向を凝らしたのである。

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今回は,6月5日(金)〜6日(土)に日本臨床救急医学会第18回学術集会が開かれる富山です。富山大学医学部 麻酔科学講座の伊東 久勝先生に地元住民だからこそ知る名物,お土産,観光地などの情報をご紹介いただきます。旅のお供に是非LiSAを!

Tomochen風独記

⑱運転事情 山本 知裕
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ドイツといえば,メルセデスベンツMercedes-Benz,フォルクスヴァーゲンVolkswagen,アウディAUDI,ベーエムヴェーBMWといった一流自動車メーカーの故郷です。こちらでは“国産車”だから当たり前かもしれませんが,日本では高級外車のイメージがあるこれらの車が普通に走っています。ほかにもフォードFord,フィアットFiat,サーブSAABなどの“高級外車”も走っています。日本と同じ名前だったり,違う名前だったりしますが,ホンダ,トヨタ,スズキ,スバルなどの日本車も走っています。

行った,見た,撮った

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記念碑

1978年,地図を片手にチャールトンの町にたどり着いた。町の入り口にモートンの記念碑があり,写真を撮る(図1)。2013年,今度はカーナビでチャールトンに向かった。ナビの指図したルートでは,この記念碑にはお目に掛かれず,探しはしたものの,場所はわからずじまい。写真を持参し,聞いてみるべきだった。いつ建てられたかの資料も見つかっていない。これはまたの宿題ということか。

 もう一つ,町役場と対面している公共図書館の前を走る道路の中島に彼の記念碑がある。モートン生誕100年にあたる1919年,モートン記念協会は,彼の生まれたこのチャールトンに記念碑建立の計画をたてた。そのための寄付が3,000ドル集まった。地元のT.J. McAuliffeとニューヨークのF.J. McAuliffeとの彫刻による記念碑の除幕式は1924年9月1日,モートン記念協会の主催で行われた。

 1978年のときにも簡単に見つかり,もちろん写真を撮る。2013年,再度訪問。昔のままで,なにも変化はなし。それでも写真を撮る(図2)。

知識をいかに体系化するか

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「知と行動」の問題に密接に関係する言語の問題を,さまざまな面から考察します。

当世 問はずがたり

アドルフが告ぐ 石黒 達昌
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長男が漫画に夢中で困っています。もっとも,挿絵入りの本しかなければそれも夢中で読んでいるので,結局,どんなものでもよいようなのですが……。それにしても最近は,漫画を読みふけっている子供を注意しにくくなるほどに,漫画の評価がうなぎのぼりです。クールジャパンの旗手として,輸出産業としての役割さえ期待されていることに,当の漫画オタクと呼ばれる人々さえ困惑しているようで,今までアンダーグラウンドだったのが突然主役扱いされても…といったコメントが新聞に載っていました。

 私が子供の頃,漫画は誰はばかることなく,有害図書と一括されていました。漫画ばかり読んでいると馬鹿になってしまう,と教師からも親からも叱責されたものです。長じて,大学受験で出題される現代文も,漫画は子供の想像力を阻害してしまうといった趣旨のものが定番でした。でも,サラリーマンが電車の中で漫画雑誌を広げているのが話題になり,手塚治虫が漫画の神様であることが一般にも認知され始めると,そんな文章は新聞でもとんと見かけなくなりました。あれを書いた人たちには先見の明がなかったのでしょうか。

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from LiSA

基本情報

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LiSA
22巻6号 (2015年6月)
電子版ISSN:1883-5511 印刷版ISSN:1340-8836 メディカル・サイエンス・インターナショナル

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