徹底分析シリーズ 局所麻酔薬
局所麻酔薬の作用メカニズム—よく使うからこそ押さえておきたい基本的事項
天谷 文昌
1
Fumimasa AMAYA
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科 麻酔科学教室
pp.542-547
発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200291
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局所麻酔薬は芳香環とアミンが中間鎖で結合された構造をとり,その多くは生体内でイオン化型または塩基型として存在する。一般に,局所麻酔薬は塩基型で細胞膜を通過し,イオン化型で電位依存性ナトリウムイオンチャネルと結合する。局所麻酔薬がどの程度イオン化型として存在するかは,pKaで表される局所麻酔薬の特性と周囲のpH環境により決定する。pHが上昇し周囲がアルカリとなると塩基型が増加し作用発現が早くなる。局所麻酔薬は,ゲートが閉じたチャネルよりも開いたチャネルに対して親和性が高いため,神経細胞が繰り返し刺激を受けると,より多くの局所麻酔薬がチャネルに結合し,その効果は増大する。この効果はphasic blockと呼ばれている。構造生物学の進歩によって,電位依存性ナトリウムイオンチャネルと局所麻酔薬の相互関係が三次元的に解析されつつある。
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