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院内急変は,最も安全であるべき病院での出来事であり,迅速かつ適切な処置が確実に実施されなければならないことはいうまでもない。
「院内急変対応」体制を作れといわれて,まず検討すべきことは何か。例えば,発動・参集について一番に思いつくのは,「緊急一斉全館放送」(Code blueやstat callなど)だが,これには欠点もある。一番の問題は,放送は一方的で対応者の確認がされないことである。コールを耳にしても,手が空いていないと「誰かが行くだろう」と聞き流される,逆に多く集まりすぎて誰が指揮者かわからない,つまり“連帯責任は無責任”状態が起こり得る。また,就寝時間帯の全館放送はほかの多くの患者に不安を与え,迷惑である。
特定の場所(医師控室や当直室)に電話する方法は,そこに不在なら空振りとなる。指定担当者(当直医)にコールするのも,担当者が対応できる状況になければ行き詰まる。そもそも,時間帯や日によってコール先や方法が変わると「マニュアルを見なければ」呼べないことになる。これでは呼ぶ側の負担になり,緊急時体制として欠陥である。院内急変は,「予期しない場所,状況で起きる突然かつ重大な事態」だからこそ,対応体制は「シンプルで明瞭」でなければならない。つまり,院内急変対応は災害時対応と同じ,そのミニ版である。
そう考えると,院内急変体制は頭でっかちに形だけまねて外から導入するのではなく,施設の環境,規模,機能,人的状況,設備などによって個別に検討し,実経験を重ねて練り上げて行くものであろう。だから「これでなければならない」という定型雛形は存在しないが,武蔵野赤十字病院(以下,当院)での体制を以下に紹介し,参考に供したい。
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