当世 問はずがたり
アドルフが告ぐ
石黒 達昌
pp.655
発行日 2015年6月1日
Published Date 2015/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200319
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- 文献概要
長男が漫画に夢中で困っています。もっとも,挿絵入りの本しかなければそれも夢中で読んでいるので,結局,どんなものでもよいようなのですが……。それにしても最近は,漫画を読みふけっている子供を注意しにくくなるほどに,漫画の評価がうなぎのぼりです。クールジャパンの旗手として,輸出産業としての役割さえ期待されていることに,当の漫画オタクと呼ばれる人々さえ困惑しているようで,今までアンダーグラウンドだったのが突然主役扱いされても…といったコメントが新聞に載っていました。
私が子供の頃,漫画は誰はばかることなく,有害図書と一括されていました。漫画ばかり読んでいると馬鹿になってしまう,と教師からも親からも叱責されたものです。長じて,大学受験で出題される現代文も,漫画は子供の想像力を阻害してしまうといった趣旨のものが定番でした。でも,サラリーマンが電車の中で漫画雑誌を広げているのが話題になり,手塚治虫が漫画の神様であることが一般にも認知され始めると,そんな文章は新聞でもとんと見かけなくなりました。あれを書いた人たちには先見の明がなかったのでしょうか。
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