看護管理 30巻7号 (2020年7月)

特集 「重症度,医療・看護必要度」を俯瞰する 実態を把握し,マネジメントや質評価の鍵を探ろう!

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看護必要度は,看護師の業務負荷量を計測するために開発されたツールで,2006年度から診療報酬の入院基本料の施設基準に組み込まれた。さまざまな改定を経て,現在は「重症度,医療・看護必要度」(以下,看護必要度)として,診療報酬上の病棟評価に使われている。

そのため,看護必要度は病院経営上,優先度の高い事項として位置付けられ,診療報酬請求のためにデータを入力している施設も少なくない実情がある。

2016年度の診療報酬改定から,看護必要度はDPCデータのHファイルとして集積されるようになり,大規模データの1つとなった。これにより,多施設のデータを集約し概観することが可能になった。今こそ,本来の開発目的に立ち返り,病棟/病院マネジメントに活用するべきではないだろうか。

では,日々,現場で入力している看護必要度は,我が国全体としてどういった傾向を示しているのだろうか。今特集では,看護必要度という評価項目を通して急性期医療の患者像を概観し,この大規模データベースをマネジメントに活用するための一助になる情報提供をしたいと考える。自施設の置かれた状況を確認するとともに,看護必要度の活用について再考する機会にしていただければ幸いである。

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もともと看護サービス提供量を予測するための指標として開発された「重症度,医療・看護必要度」は,現在,診療報酬上の急性期の入院医療を評価する指標としても活用されている。2018年度の診療報酬改定では医療職による評価法に加えDPCデータを用いた評価法も加わり現場にインパクトを与えた。

本稿では,現在,より適切な評価法の研究開発に携わる立場から,診療報酬評価上の看護必要度の変化を振り返るとともに,今後,看護管理者がどのように看護必要度データの利活用に取り組むべきかを述べる。

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DPCデータのHファイルが,2016年度診療報酬改定で重症度,医療・看護必要度の様式として共通化された。本稿では初めて1年を通した分析が可能になった2017年度のHファイルデータを用いて,全国規模(約1100の医療機関)の看護必要度の実態(入院患者像)を分析し,解説する。

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2018年度診療報酬改定において,入院医療体系は「基本的な医療の評価部分」と「診療実績に応じた段階的な評価部分」を組み合わせた新たな評価体系で評価するよう再編・統合された。その中で,急性期入院医療における「診療実績に応じた段階的な評価部分」については,重症度,医療・看護必要度で評価されることになった。

看護必要度の観点から退院マネジメントを実施する場合,疾患の特異性を考慮する必要があることから,本稿では,DPC別に入院相対日から見る看護必要度該当患者割合の実態について紹介する。

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2018年度の診療報酬改定において,「重症度,医療・看護必要度」の評価法として,従来の「評価法Ⅰ」に加えて,診療実績データ(DPCデータのEFファイル)を基にした「評価法Ⅱ」が新たに追加された。2020年度の診療報酬改定では,400床以上の医療機関や特定機能病院で評価法Ⅱでの評価が必須となった。本稿では,2つの評価法間で生じる差異を,「看護必要度基準の充足」「施設規模(病床)別」の観点から分析し解説する。なお次節では1病院における2つの評価法間に生じた差異を取り上げる。

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2018年度の診療報酬改定から「重症度,医療・看護必要度」の評価法に,診療実績データ(DPCのEFファイル)を基にした評価法Ⅱが追加された。前節では急性期医療機関750施設における2つの評価法の差異を紹介した。本節では1病院における2つの評価法間に生じた差異を紹介するとともにその原因と解決策を考察する。

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2020年度診療報酬改定において,重症度,医療・看護必要度の判定に関わる項目や判定基準の要件が変更された。今回の変更を機に入院基本料の算定変更を迫られるケースも予測される。本稿では,2018年と2020年の判定項目・基準においてどのような差異が生まれるのかを分析し,今改定が各施設に及ぼす影響を解説する。

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わが国において「重症度,医療・看護必要度データ」を用いて,全国や個別の施設における医療・看護の質評価・改善に携わってきた三氏による座談会。本誌昨年7月号に続く企画となる。

今回は前回の視点をさらに深め,本特集で紹介した内容,特に図表を参照しながら,看護必要度をマネジメントや質評価に活かすためのデータの読み方,その具体的方法を紹介する。特に看護管理者のB項目との向き合い方を示す。また,冒頭では2020年度診療報酬改定における看護必要度関連の変更について概観する。

巻頭 あしたのマネジメントを考えるヒント, このひとに聞く・12

宇田川元一氏 宇田川 元一
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組織の実践力を上げることに,「ナラティヴ・アプローチ」がどのように機能するのか,教えてください

昨今,組織における「対話」の重要性が盛んに指摘されていますが,対話自体が目的化している場合も少なくないようです。

そのような中,他者とは完全にはわかりあえないことを前提に,相手のナラティヴ(解釈の枠組み)をよく観察し,お互いの溝に橋を架ける対話のプロセスを通じて,現場や経営上の課題を乗り越えていく糸口を提示したのが,埼玉大学経済経営系大学院 宇田川元一准教授です。この組織論と対話,ナラティヴ・アプローチを融合させた実践的な課題解決の手法についてお話を伺いました。

巻頭シリーズ アートとケア アール・ブリュットから受けとるもの・7

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 アール・ブリュット作品の前に立つとき私たちは,自身の内なる“美”の秩序が揺すぶられるのを感じます。

 芸術が追求する“美しさ”は,感性的であるよりは理知的なものであること。それは,西洋では芸術と哲学を同じものに向かう2つのやり方としてきたことにも表れます。アール・ブリュット作品は,そのような西洋的“美”における,“理性”という強力な秩序に闘争を挑んでもいます。

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2020年度の診療報酬改定が実施された。介護報酬との同時改定で2025年へ向かう方向性が示された前改定(2018年)と比べ変化が少ないとされているが,本号の特集で取り上げた「重症度,医療・看護必要度」をはじめ,病院看護部の運営に関わる変更がなされた。

本稿は,2020年3月28日に医学書院がオンラインで開催した「看護管理者のための診療報酬改定セミナー」における長英一郎氏の講演「2020年診療報酬改定への対応—患者・地域から選ばれるための具体的選択」の内容を再構成したものである。

連載 患者エクスペリエンス もしも患者の内なる声が聞こえたら・7

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この連載では,医療に関する患者による主観的評価である患者エクスペリエンス(PX)が,医療の質のさらなる向上に貢献する可能性について考察していきます。米国で利用されているPXの実践を支えるツールやエクササイズを,読者の皆さんが,日本の臨床現場で試験的に導入できるような形で紹介し,読者の皆さんが日本のPX実践の先駆者となって活躍されることをお手伝いしたいと願っています。

今回は,「患者の内なる声」を医療のプロセスやアウトカムの向上に活かすための方法の1つとして,医療機関のスタッフ会議という舞台裏に,患者や患者の家族を招いて「内なる声」を活かそうとする患者・家族アドバイザー委員会と呼ばれる試みについて紹介します。

連載 進化するチーム医療への旅 今求められるレジリエンスとは?・26【最終回】

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この連載では,これからの医療現場に必要な「進化するチーム医療」「理想のチーム・組織」のありようについて,主にシステム思考や対話・ダイアローグを軸にしながら,読者の皆さんとともに追い求めていきます。今回は,マルチステークホルダー・ダイアローグについての後半。いよいよ収束・結晶化のフェーズとなります。

連載 ラーニング・エイド 大学院ドタバタ留学記 in NY・10

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 小学生時代の定番の夏休みの宿題といえば日記と読書感想文だ。たまりにたまって新学期前に泣く泣く書いていた人も多いだろう。子どもの頃はあんなにも嫌だった日記や読書感想文も,おとなになると日常的にそれに近いことを行っている。沸き起こった感情をSNSでつぶやき,その日あった出来事をブログや手帳に書き,映画や本のレビューを書く。「書く」ことが日常の中に溶け込んでいるのはなぜか。私なりの答えは,おとなは「書く」ことで経験から意味づけを行い,リフレクションを行っているからだ。

 春学期に履修していた「アクションラーニング」という授業では,5人のチームで「現実の問題を解決しながら同時に学ぶ」という手法を経験した。クライアントから課題を提示され,データ収集・分析をチームで行い,解決策を提示するという2か月にわたるプロジェクトだった。この手法の大きな特徴は,問題解決のみに焦点を当てるのではなく,リフレクションを通じて学びを得るという点である。

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コーチングは,「対話によって相手の自己実現や目標達成を手助けする」ことで,身につければ看護管理者にとっても,さまざまな場面で活用できます。

本連載では,組織の問題やマネジメントの問題,倫理的な問題,キャリアの問題など看護管理者の現場での悩みを取り上げ,アドラー心理学のエッセンスを取り入れながら,現場で活きるコーチングの実践をリアルに伝えていきます。

第7回は,新型コロナウイルス感染症患者を受け入れ,不安やつらさを感じながら看護を行っている看護師長の相談をもとに,不安に向き合い,困難な状況の中でも自分の大切にしているものは何かを考えるコーチングを紹介します。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・167

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 大都市であれ地方の町であれ,人々が,特に用事がない限り外出を控えなければならない。ショッピングや食事をすることも,映画館や美術館に出かけることも,公園で子どもと遊ぶこともできない。

 コロナ禍が広がる中で,大人も子どもも,家で何をしてよいかわからず,パソコンやスマホでゲームにふけるばかりだったり,テレビをずっと見続けて過ごしていたりするうちに,うつに陥ったり,家庭内で暴力を振るったりする例が少なくないという。

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「プログラムデザインマンダラ」に魅せられて。

初めてのオンライン両親学級

 私は産婦人科の両親学級講師をしています。2月以降,新型コロナウィルスの感染拡大防止のために,レギュラー講師を務めている産院の学級も,保健センターや自治体から依頼されていた講座も全て中止になりました。それでも妊娠は待ったなしですから,マタニティのご夫婦たちは,突然両親学級受講の道が絶たれてとても不安な思いをされたことと思います。

 そこで,自宅のパソコンやスマホから受講できるオンライン両親学級を運営することにしました。初めての試みでしたが,すぐに満席になり,全国に同時にオンライン上でファシリテートするという貴重な経験をさせていただきました。

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次号予告・編集後記 小齋 石塚

基本情報

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看護管理
30巻7号 (2020年7月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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