看護管理 30巻8号 (2020年8月)

特集 データを用いた現場の可視化で,組織の質を高める! 北里大学病院の情報マネジメント

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病院看護部を取り巻くさまざまな環境,いわば「混沌」とした環境をマネジメントするためには,現場が持つデータ・情報を活かせる組織づくりが不可欠である。

北里大学病院では,2009年に別府千恵氏が看護部長に就任して以来,情報管理とそのシステム開発に戦略的に取り組み,看護の質管理や職員のキャリア開発,就労環境の改善に活かしてきた。

本特集では,同院における10年以上にわたる取り組みの全体像およびテーマ別・病棟別の実践と成果を,別府氏をはじめとする看護管理者と情報担当看護師がまとめる。同時に,看護部内に情報担当者を育成する価値についても考える。

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2009年の看護部長就任以来進めてきた,データによる看護現場の可視化と,そのための情報マネジメントについて,経緯とその成果を振り返る。特に,「情報システム担当看護師」の配置や看護管理者の情報リテラシーの向上など,変革の原動力となった取り組みと,その背景となった考え方について述べる。また,情報マネジメントによりもたらされた「看護管理者への権限移譲」や「横断型組織の構築」などの効果も紹介する。

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医療現場における情報システムの活用においては,スタッフと情報システムを橋渡しする存在が必要とされる。病院全体を俯瞰しつつ各部署のニーズを満たすため,最適なデータ活用方法を組み立てるのが情報システム担当看護師である。本稿では,北里大学病院の情報担当看護師としてデータ活用を担う清水氏に,その役割が求められた背景や必要とされる視座,そして実際のデータ活用の概要をご紹介いただく。

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北里大学病院では,看護管理者が現場の混沌を制するため,データ活用を支援する仕組みを情報担当看護師が中心となって構築してきた。その基礎となるのは,看護部共通の評価指標として定義するインディケータである。導入当初は各部署の看護師長が各自でデータを入力することから始め,現在では情報担当看護師が抽出した指標をイントラネットの専用サイトに公開している。そして,これらの指標を各部署の目標管理で有効に活用できるように目標管理フォーマットを改訂し,互いの計画や評価を共有できる仕組みを整えている。看護師長の負担を軽減しつつ,目標達成を促す仕組みの詳細を紹介する。

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北里大学病院の看護師長による全体師長会では,自主企画としてテーマごとにグループに分かれて活動している。本稿では「人材育成グループ」が提案し活用を開始した「ローテーション支援ツール」を紹介するとともに,「効果的なキャリアローテーション」の組織全体での推進について考察する。

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北里大学病院では2019年4月に,重症度,医療・看護必要度の評価方法を「重症度,医療・看護必要度Ⅱ」に移行した。本稿では,データを活用した必要度Ⅱへの移行対応や,2020年に行った病棟再編の取り組み,2020年度診療報酬改定への対応を紹介する。また,経営判断への看護必要度データの活用について考察する。

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北里大学病院の消化器外科病棟では,欠員に伴い看護補助者の有給休暇取得が困難になり,労働環境が悪化しかねない状況に陥った。本稿では「勤務時間簡易計算表」を用いて課題を分析,病棟を越えて看護補助者を活用し,危機を乗り越えた事例を紹介する。

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手術室では,看護師の配置基準が制度上明確になっておらず人員配置が各施設に委ねられている。一方,手術や医療機器の高度化に伴い,求められる看護技術や医療安全への配慮の水準も高まり,過密な労働環境となっている。筆者は手術室の看護係長として,労務環境の改善を目指し,データによる現場の労働実態の「見える化」に取り組むとともに,得られたデータを基に,有給休暇取得の推進をはじめとする労働環境の改善を行った。本稿ではそのプロセスと成果を報告する。

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労働環境改善・働き方改革がうたわれる中,看護管理者には労務管理に直結する業務改善が迫られている。

本稿では,血液浄化センターの看護師長として行った,時間外勤務の削減につながるデータを活用した業務改善を紹介する。

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2020年6月27日(土),「石垣靖子先生オンラインレクチャー&対話会」を,オンライン会議アプリケーションZoomを用いて開催しました。石垣靖子先生(北海道医療大学)を講師に,高屋敷麻理子先生(岩手県立大学)を司会にお迎えしました。看護管理者,訪問看護師を中心に,全国から約100名の方にご参加いただきました。本稿では,その模様をレポートします。

なお,本レクチャーで行われた石垣靖子先生の講演内容は,次号以降に,巻頭シリーズ「看護と倫理—尊厳を護るケアの担い手として」の中でご紹介する予定です。

巻頭シリーズ アートとケア アール・ブリュットから受けとるもの・8

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 閉塞感漂う世界。私たちは喜怒哀楽と問題意識を自由に表現することを忘れている。表現する舞台だったはずのマスメディアは,はるか昔にそのミッションから逃げ,期待されたデジタルメディアは虚飾に満ちている。

 働く世界では「アートシンキング」なる言葉が宙を舞うが,実際は組織の決定プロセスが,パッションあるビジネスパーソンの表現の芽を摘む。悔しい。

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界中に広がり,看護職に甚大な影響を及ぼしている。筆者らは,宮城県内の全病院138施設を対象として,新型コロナウイルス感染症が看護職に与える心理的影響について緊急の実態調査を実施した。本稿では,その調査結果を紹介する。

連載 患者エクスペリエンス もしも患者の内なる声が聞こえたら・8

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この連載では,医療に関する患者による主観的評価である患者エクスペリエンス(PX)が,医療の質のさらなる向上に貢献する可能性について考察していきます。米国で利用されているPXの実践を支えるツールやエクササイズを,読者の皆さんが,日本の臨床現場で試験的に導入できるような形で紹介し,読者の皆さんが日本のPX実践の先駆者となって活躍されることをお手伝いしたいと願っています。

今回は,PXの観点から,患者が休養しやすい時空間を設計するために米国の医療現場でなされている試みを紹介します。ノイズ(騒音や雑音など耳障りな音)に対する配慮やクワイエット・タイム(静かな時間)を取り入れるなど,患者の休養支援という観点からケアの1つひとつを吟味して,できる限り統合して提供する工夫について考察していきます。

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コーチングは,「対話によって相手の自己実現や目標達成を手助けする」ことで,身につければ看護管理者にとっても,さまざまな場面で活用できます。

本連載では,組織の問題やマネジメントの問題,倫理的な問題,キャリアの問題など看護管理者の現場での悩みを取り上げ,アドラー心理学のエッセンスを取り入れながら,現場で活きるコーチングの実践をリアルに伝えていきます。

第8回は,大学院への進学を検討している看護師長の相談をもとに,判断の軸となる「目的」,つまり“ビジョン”と“価値観”を引き出すコーチングを紹介していきます。

連載 ラーニング・エイド 大学院ドタバタ留学記 in NY・11

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 5月25日,アフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイド氏が警察官によって殺害され,世界を震撼させた。全米で社会運動が日中から深夜まで行われ,行き過ぎた暴動へと発展し外出禁止令が出るほどにまでなった。ニューヨークでもブランド店からの略奪が過激化していた。テレビやネット上での報道でしか情報を得ることができなかったが,市民の激しい怒りが集積しているのが「Black Lives Matter」とスローガンを掲げるプラカードからひしひしと伝わる。

 初めての一人旅でニューヨークを訪れたとき,きらびやかな街並みに心を躍らせたのはもちろんだが,何よりも感動したのは街を歩く人々の多様性だ。髪の色,肌の色,聞こえてくる言語,ファッション,全てが1人ひとり異なっていることへの衝撃はあまりにも大きかった。チャンスを掴むため,あるいは自分探しをするため,世界中からニューヨークに人が集まり,多様性が生まれる。あの刺激的な空気感が忘れられず,一瞬で虜になったのだ。今回のような悲惨な出来事からあの空気感が崩壊してしまうと思うと,胸が張り裂けそうになる。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・168

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 子どもは,自分で親を選んで生まれてきたのではない。子どもは,自分でまちや村,あるいは人種や国を選んで生まれてきたのではない。

 裕福な家庭に生まれるのか,貧困家庭に生まれるのか。あるいは,経済的にも教育・文化的にも高い水準の国に生まれるのか,それとも暴虐や戦火の絶えない国に生まれるのか。それは,偶然と考えようと神の采配と解しようと,子どもにとっては,逃れようのない現実が眼前にあるだけのこと。

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次号予告・編集後記 小齋 石塚

基本情報

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看護管理
30巻8号 (2020年8月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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