看護管理 30巻2号 (2020年2月)

特集 人を生かし自分を活かす 意思決定支援とACP 話し合いの手引き

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尊厳死や安楽死が世間の注目を浴びるようになり,多くの国民はどのように生き,どのように最期を迎えるか,少しずつ考え始めるようになりました。

医療の現場で生命を守る医療専門職は,患者の物語から患者が大切にしていることを把握し,それを医療やケアに活かすための話し合いの術を身につけているでしょうか。患者の声を聴くことに今ひとつ自信が持てない医療者は少なくありません。

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2018年3月,「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」が厚生労働省から発表された。これは,高齢多死社会の進展に伴い,地域包括ケアの構築に対応する必要があることや,欧米でアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の概念を踏まえた研究・取組が普及してきていることなどを踏まえ,前版のガイドラインを11年ぶりに改訂したものである。

特集でACP支援を考察するに当たり,本稿では最新のガイドラインの概要とそれに基づく意思決定支援のプロセスを解説する。

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前稿では,2018年3月に改訂された「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」について解説し,5つのステップからなるガイドラインに基づく意思決定支援の概要を述べた。本稿ではアドバンス・ケア・プランニング(ACP)について,その総論を述べる。

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近年,国際的にアドバンス・ケア・プラニング(ACP)に関する実践や,研究,教育が推進されている。本稿では,これまで行われてきたさまざまな介入や研究の成果から,西洋およびアジアにおけるACPのエビデンスを読み解き,その内容を概説する。

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ACPにまつわる倫理的ジレンマなどの課題を最小限にしながら,病と共に生きる人々が,最後までありのままに生き,これでよかったと思える人生を支える「ACP支援」の手がかりを得るために米国で開発された,「重篤な病気を持つ患者へのケアのプログラム」(SICP)。本稿では,このプログラムを紹介し,SICPの臨床研究におけるエビデンスとその意義を確認した上で,日本におけるACPの今後の課題について考える。

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本稿では,先に紹介した「患者との話し合いの手引き(SICG)」に基づき,日本の医療風土に即した事項を織り交ぜながら,ACPの話し合いの留意点や手順を説明する。

話し合う際の指針や留意点に触れた後に,患者に難しい決断を迫るのではなく,患者が大切にしたいこと,残された時間にしておきたいこと,気がかりなことなどについて,状況に応じて何度も話し合う方法について詳細に示す。

領域別「意思決定支援とACP」実践例

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 重篤な病気を持つ患者や家族へのACPの話し合いを支援することの重要性を認識し,臨床現場における実践を意識し始めると,その話し合いに,「だれが,いつ,どのように」関わればよいのかと,多くの医療専門職が戸惑います。

 本特集ではここまで,ACPの概念やエビデンス,ACPの話し合いに活用できるツールや,話し合いの留意点と手順等を説明してきました。ここまで読み進めてくださった読者の皆様は,基本的知識を習得され,ご自身の臨床で学びを活用する方法について具体例を通してイメージを強めたいという欲求や,難しい事例への対応方法,さらには,専門家の高度なスキルや思考の背景を知りたいなど,さらなる意欲や関心が生まれてきているのではないでしょうか。

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ゲノム解析技術は進歩し,がん医療においても,個人ごとのエビデンスが治療に生かされるプレシジョン・メディシンが実装されつつある。このような時代において,医療者は患者の変化に応じて,どのようなタイミングでACPを行っていけばよいのだろうか。腫瘍内科医と進行胃がん患者との対話を例に,その実際を共有する。

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非がん疾患では一般的に生命予後の予測が難しい。糖尿病性腎症では,第5期(透析療法期)に透析を中止せざるを得なくなった状況や,第4期(腎不全期)で透析を選択しない場合には,死が差し迫った状態となる。本稿では,透析の開始を見合わせた事例と,透析の継続を見合わせた事例を紹介し,「維持血液透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言」に基づきながら,糖尿病性腎症を持つ人とその家族の「透析の見合わせ」に関する意思決定支援を検討する。

意思決定支援のタイミングを逃さないためには,患者の病気・人生・生活の文脈を捉えて患者や家族の大事にしていることは何かを知ることが重要である。そのためには医師や看護師など医療者に患者と関わる十分な時間と学習が必要である。病いと共に生きる生活に疲れることのないように医療やセルフマネジメント支援の方法開発が求められる。

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乳がん患者は病期が長いことから,長い経過の節目節目での意思決定支援が求められる。博愛会相良病院は女性医療分野の先駆的施設として,がん患者への意思決定支援に長く取り組んできた。今般,遺伝性乳がんに対する新たな分子標的薬の開発に伴い,新たな取り組みが求められるようになった。本稿では,乳がん患者に対する段階を踏まえた意思決定支援(話し合い)の実際を,具体的対話例を交えて紹介する。

巻頭シリーズ 【石垣靖子氏 対話シリーズ】看護と倫理 尊厳を護るケアの担い手として・2

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 東札幌病院は,北海道で初めてのホスピス緩和ケアを提供する病院として,1983年に札幌市白石区に創設されました。以来,進行・再発・末期のがん患者に医療を提供する専門病院として運営してきました。現在は札幌市のがんによる死亡者の約2割の看取りを行っているほか,訪問診療・看護をはじめとする地域包括ケアも手掛けています。

 私は1986年に東札幌病院に看護部長として採用していただき,以来,石谷先生と多くの職員たちと共に人間尊重の医療を志向しました。同院では約40年前から,尊厳を護る(相手を人間として遇する)ケア,多職種によるチーム・アプローチ,病院運営や患者ケアの要としてナースを位置づけるなど,先駆的な実践がなされてきました。

 2回にわたり,同院の開設者で現在は理事長を務める石谷邦彦先生と東札幌病院の軌跡を振り返ります。後編では,臨床倫理への取り組みを中心にお話を進めます(石垣靖子)。

巻頭シリーズ アートとケア アール・ブリュットから受けとるもの・2

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 生の芸術アール・ブリュットと私の出会いは2012年に遡る。その後,国内外でアール・ブリュットの発信を続ける介護・福祉関係者を通じて理解を深め,欧州5か国を旅して専門家や作品にも出会った。最近では欧州だけでなくアジアでも,日本のアール・ブリュットの高い評価は確立している。

 また,国内的には2018年に,世界にも例のない障害者文化芸術活動推進法が制定され,「専門的な教育に基づかずに人々が本来有する創造性が発揮された作品が高い評価を受け,その中心が障害者の作品であること等を踏まえ,障害者による芸術上価値が高い作品等の創造への支援を強化すること」が明記された。

連載 看護の可視化 量と質の両面から適切な評価を考える・25

クリニカルラダー・6 秋山 智弥
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前回は,医療機関や訪問看護ステーション等,個々の組織の枠組みを超え,地域全体でジェネラリスト看護師を評価し,育成しようと試みた「京都府看護職連携キャリア支援事業」の導入経過を解説しました。今回は,この事業を通して見えてきた中堅看護師のジェネラリストとしての学びの特徴について考えます。

連載 ラーニング・エイド 大学院ドタバタ留学記 in NY・5

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 ニューヨークに来て早くも半年が経つ。少しは慣れたかと思いきや,相変わらずドタバタと毎日が過ぎていく。12月に秋学期が終わり,束の間の一時帰国を楽しんだかと思えば,慌ただしく春学期の始まりである。

 先日,大学院主催の留学生向けセミナーに参加した。テーマは「留学生として文化的,心理的なチャレンジを乗り越える」というもの。かつて同じく留学生としてアメリカに留学した4名の教授がパネリストとして経験談を共有してくれた。

連載 患者エクスペリエンス もしも患者の内なる声が聞こえたら・2

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この連載では,医療に関する患者による主観的評価である患者エクスペリエンス(PX)が,医療の質のさらなる向上に貢献する可能性について考察していきます。米国で利用されているPXの実践を支えるツールやエクササイズを紹介することで,読者の皆さんが日本のPX実践の先駆者となって活躍されることをお手伝いしたいと願っています。

今回は,米国の医療機関がどのような体制でPXの実践を運営管理しているかを紹介するとともに,看護師主導のPX実践のゴールドスタンダードとも言える「目的的毎時回診」について紹介します。

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本連載は,組織の問題やマネジメントの問題,倫理的な問題,キャリアの問題など看護管理者の悩みを取り上げ,アドラー心理学のエッセンスを取り入れながら,現場で活きるコーチングの実践をリアルに伝えていきます。コーチングは,「対話によって相手の自己実現や目標達成を手助けする」ことで,身につければ看護管理者にとっても,さまざまな場面で活用できます。その前に,コーチングを受けると,どんなふうにひらかれるのかを誌面上で体験してみましょう。

第2回は,最近仕事への満足感が感じられなくなったという相談から,主体的な行動を促すための関わりについて見ていきます。

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次号予告・編集後記 小齋 石塚

基本情報

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看護管理
30巻2号 (2020年2月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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