看護管理 28巻6号 (2018年6月)

特集 「高齢者の治療選択」を支える 患者にとっての最善を見据えて

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超高齢者や認知機能が低下した患者の増加に伴い,急性期医療の場での治療の選択やケアのあり方が問われています。早期退院の促進に加えて,“地域における退院後の生活を想定した急性期治療の選択支援”に看護職が能動的に関与することが求められています。

この課題は,突き詰めると「患者はどのような生活を望んでいるのか」「患者にとっての最善の状態はいかなるものか」をテーマにした議論となるでしょう。

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急性期医療の場においては,本人の価値観よりも治療のための制約が優先される実情がある。しかし,できる限り最後まで住み慣れた場所で暮らすことを支援する「地域包括ケアシステム」が進展する中で,急性期看護は「治療選択の支援」から「地域生活へ戻るための支援」に視点を転換する必要があるのではないだろうか。

この問いを探求する本特集の導入として,本稿では意思決定支援を研究テーマの1つにしてきた島田氏が,読者と課題を共有する。

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筆者は高齢者専門の急性期病院で,スタッフナース,認知症看護認定看護師,病棟看護師長と経験を積んできた。その中で,急性期病院におけるエンド・オブ・ライフ・ケアのありよう,治癒の見込みがない段階での治療やケアの差し控えという選択肢について考えを深めてきた。本稿では,「身体抑制を伴う超高齢認知症患者への検査実施」の事例を紐解きながら,患者にとっての益・最善を追求する看護について考察する。

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脳卒中の合併症である誤嚥性肺炎と低栄養の発症を予防することで,早期の在宅復帰がかなえられる。東京都保健医療公社豊島病院の脳神経外科病棟では,看護師が摂食機能療法に取り組み,合併症予防と経口摂取率の向上というアウトカムを残している。

本稿では,同病棟の実践を振り返りながら,患者・家族の希望に寄り添い,在宅復帰を支えるための急性期病院の看護の役割について考察する。

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急性期病院において,医療依存度の高い患者や終末期が近づいた患者への退院支援の機会が増加している。筆者は退院支援専従の看護師として,重度の間質性肺炎患者が在宅酸素療法を導入して自宅復帰できた事例に関わった。家族や地域・在宅関係者との粘り強くきめ細やかな調整が患者の退院をかなえた本事例を報告するとともに,得られた学びを共有する。

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急性期治療から在宅療養への移行期を支える「地域包括ケア病棟」。患者が望む退院後の生活を実現するため,地域包括ケア病棟の看護師による意思決定支援と地域・在宅との調整に対する期待は大きい。本稿では,JCHO横浜保土ケ谷中央病院の取り組みから,患者が望む退院後の生活や患者にとっての最善をかなえる看護のありようを考察する。

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この座談会には,本特集の執筆者である急性期病院の看護師と,連携のパートナーである訪問看護師にお集まりいただいた。身体機能が低下し脆弱な状態にある超高齢者の急性期治療をどう考えるべきか,そして患者が望む退院後の生活,患者にとっての最善を見据えて意思決定をいかに支援していくべきかについて,それぞれの視点から語っていただいた。

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近年,超高齢者や認知機能が低下した患者の急性期病院への入院が増えている。治療優先の価値観から,苦痛を最少限に留め,退院後の地域・在宅での生活を見据えた検査・治療,ケアの選択への転換が今,求められている。その選択を支援するのは看護師にほかならない。

本稿では,急性期病院における高齢者ケアの現実を分析・共有しながら,今後の倫理的なケア・支援のありようについて具体的に提言する。

巻頭 大学院で学ぶ看護管理学 現場の実践から新たな「知」を生むために・17

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大学院および領域の特徴や魅力について,教員からご紹介いただきます。

本学および大学院のなりたち

 四国大学(以下,本学)の源流は1925年にさかのぼり,専門職業人としての女性の自立を掲げて創設した徳島洋服学校に始まります。以来,自立できる実力を備えた人材の養成に取り組み,1961年に女子短期大学を,1966年に4年制女子大学を開学,1992年に四国大学と名称を変更して共学体制となりました。2009年,「看護学部」が開設され,さらに4年後に「看護学研究科修士課程」(以下,本研究科)が開設されて,今年で6年目になります。

 看護学研究科には,看護管理学領域のほかに,成人看護学領域,老年看護学領域,小児看護学領域,地域看護学領域,精神看護学領域,助産学領域があります(助産学領域では助産師の養成を行っています)。

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クリニカルパスは患者の標準的な診療計画というだけでなく,看護の質向上や医療安全にも寄与してきた。

地域包括ケア時代を迎え,在宅との連携が求められる中で,早期からの入退院支援,それに伴うチーム医療,多職種連携の重要性が高まっている。

本稿では,多くの医療者が関わり,病院と地域との連携が求められるいまだからこその,クリニカルパスの持つ重要性や活用の実際,教育の必要性について述べる。

連載 キャリア形成に悩むあなたのためのリレーエッセイ わたしの師長時代・14

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 「どんな仕事に就いても親分を目指しなさい」という祖父の口癖が,私の中でいつの間にか,“看護師を続けていくなら絶対に看護師長になる”という目標となっていました。就職後は忙しい毎日を過ごしていましたが,経験年数を重ねるに従って,患者さんやその家族の心情に触れ,ともに泣き,ともに笑い,看護の素晴らしさ,面白さを積み重ねてきました。看護教員に進む道もあったのですが,看護師長の「あの子は臨床向きだから」という判断で,道は閉ざされたようでした。それを知ったのはずいぶん後のことになりますが,もし私に判断を求められていたなら,その後の看護人生は違うものになっていただろうと想像しています。それから10数年後の1992年4月に看護師長に昇任しました。

 昇任した時に強く考えたことは,さまざまな考えを持つスタッフの気持ちを尊重し寄り添うということでした。“あの人はこんな人だから”と決め付けることなく,自分の眼で見て確認する,与えられたチャンスは必ず伝え,相談に乗りスタッフ自らが選択できるようにということに注力しました。「チャンスはどこにでも転がっている。ただそれをつかむことができるのは常に努力している者だけだ」というチャールズ・チャップリンの名言を私の座右の銘としています。チャンスをつかむかつかまないかは当事者の判断ですが,来ているチャンスを知らせることなく上司の判断でつぶしてしまうことはあってはならないと思います。キャリア形成を図る上でも,さまざまな機会を提示し,本人の判断をサポートしながら決定していくことは,人の上に立つ人間の心得ではないかと考えます。

連載 看護の可視化 量と質の両面から適切な評価を考える・6

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本連載では,看護管理者として私自身が取り組んできた「看護の可視化」の実際について,事例と解説を通してひとつずつ紹介していきたいと思います。

第5回では,緊急入院の振り分けをテーマに「看護師充足率」を考案した背景とその運用について解説しました。第6回では,看護師充足率と有害事象について考えてみたいと思います。

連載 進化するチーム医療への旅 今求められるレジリエンスとは?・3

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この連載では,これからの医療現場に必要な「進化するチーム医療」「理想のチーム・組織」のありようについて,主にシステム思考や対話・ダイアログを軸にしながら,読書の皆さんとともに追い求めていきます。

第3回では,「理想のチーム・組織」について,皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

連載 プログラムデザインで変わるファシリテーション あなたのスキルを現場に活かそう・9

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マンダラを使って全体の構成をデザインした後は,実際のファシリテーションをイメージしながらアクティビティを確定していきます。

連載 今さら聞けないビジネスフレームワーク・6

3C分析 石井 富美
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 3C分析は,マーケティングの基本的なツールです。病院の機能分化が求められ,従来のように「来た患者さんを診る」という受動的な運営から,自院の強みと機能を明確にし,他院と差別化をして患者の確保をしていく経営戦略を取っていくためには,マーケティング戦略は欠かせません。病院内の経営会議でもマーケティング戦略という言葉が頻繁に出てくるようになったのではないでしょうか。

 3C分析の目的は,顧客(Customer),自社(Company),競合(Competitor)のそれぞれの分析から,戦略のKSF(Key Success Factor:重要成功要因)の発見につなげることです(KSFについては連載第3回を参照)。KSFを導き出し,KPI(Key Performance Indicator)を設定できれば,事業計画の成功に向けて進むべき方向性が見えるようになります。

連載 コーチングと組織の関係性システムから考えるコミュニケーション 1人ひとりがイキイキ活きるチーム創り・6

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 コーチングに関する書籍では,主に「傾聴」「承認」「質問」の3つのスキルが紹介されています。これらのうち,「傾聴」と「質問」はとても注目されやすく,コーチングの話をするときに「質問力すごいよね!」とか,「傾聴してもらえた」などの声をよく聞きます。一方,「承認」については,人によって解釈や説明が異なる場合があり,比較的理解を難しくしているように感じています。今回はこの「承認」について考えていきます。

連載 ID×課題解決 インストラクショナルデザインを活用した教育プログラム開発・6

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この連載では,インストラクショナルデザイン(ID:Instructional Design)を活用した教育プログラムを作成し現場の課題解決を行った取り組みを,実践事例を交えて紹介していきます。

第4回と第5回に引き続き,東京医科歯科大学看護キャリアパスウェイ教育研究センター第1期履修生の山下直美さんが取り組んだ,「時短勤務の看護師を対象とした,アナフィラキシーショックに対応できるためのシミュレーション研修」について解説します。

連載 人生の終わりの日々のケアを訪ねて・6

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この連載では,こころ穏やかな看取りケアの実践を訪ねてきました。今回は視点を変えて,客観的なデータで見ていきます。人生を終えた人は1年間で134万人,年々増えています1)。世界全体では5640万人だそうです2)

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・144

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 絵本ならではの表現の卓抜さ(奇抜さ?)あるいは面白さの一つは,ストーリーの結末のつけ方がおよそ常識の範囲を超えた意表を突く展開になっているところにある。常識を超えたというのは,こうすればこうなるといった因果関係あるいは論理性にとらわれている限りそんなことはあり得ない場面を,突拍子もなくいきなりポンと見せて終わりとするやり方だ。

 落語の最後の“落ち”のようでもあるが,違う。“落ち”は,言葉の綾を活かしたりしてひとひねりのある決着のつけ方をして,聞き手に,庶民の涙もろさや正義感をくすぐって,「巧い!」という満足感を与える芸だ。もちろん絵本の中には,そういう“落ち”で締めくくる愉快なものもあるし,この欄でもそういう絵本を紹介したことがある。

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次号予告・編集後記 伊藤 小齋

基本情報

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看護管理
28巻6号 (2018年6月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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