消化器内視鏡 36巻2号 (2024年2月発行)

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特集　基本が大切胃内視鏡診断

扉 36巻2号 , 2024年2月 , pp.159-159

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序説　温故知新榊　信廣 36巻2号 , 2024年2月 , pp.160-161

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　「基本が大切胃内視鏡診断」が，本号の特集テーマである。内視鏡診断の腕がどんなに上達しても，内視鏡治療の名人・達人になっても，新しい知識を加えながら，謙虚な気持ちで内視鏡診療に取り組まなければいけない。

［総論］

消化器症状から推察する上部消化管疾患の鑑別診断中野　弘康 36巻2号 , 2024年2月 , pp.162-170

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要旨

内科外来や救急室に消化器症状を訴えて受診する患者は多い。腹痛，黒色便，血便，下痢……など訴えはさまざまである。臨床の現場では，患者の最も困っている切実な訴えを『主訴』として，それに関連した病歴を聴取する。病歴からいくつかの診断仮説を立てて，患者の全身状態やバイタルサイン，身体所見を組み合わせて鑑別診断をあげ，診断を確定するための検査を選択する。とかく消化器領域では，形態学を重視するあまり各種画像検査を安易に行う傾向があるが，筆者はこのスタンスに警鐘を鳴らしている。患者の病歴を解釈し，病歴に応じた身体所見をとることは臨床医としての基礎であり，それは内視鏡医においても同様である。本稿を通じて，病歴と身体所見の重要性をご理解いただければ幸いである。

変化する胃粘膜時代における見落とさない内視鏡検査河合　隆 , 秋本　佳香 , 濵田　麻梨子 , 岩田　英里 , 新倉　量太 , 永田　尚義 , 杉本　光繁 , 山口　隼 , 小山　洋平 , 福澤　誠克 , 糸井　隆夫 , 松林　純 , 長尾　俊孝 36巻2号 , 2024年2月 , pp.171-180

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要旨

Helicobacter pylori（以下ピロリ）除菌治療がスタートしてから，10～20年と長期間経過している。除菌に伴う胃粘膜萎縮の回復が起こり，背景粘膜および胃癌の観察方法に変化が生じている。胃癌リスクに関連する所見は，内視鏡的胃粘膜萎縮から内視鏡的胃粘膜腸上皮化生に変わりつつある。さらにピロリ除菌不成功症例のなかに，自己免疫性胃炎が潜んでいる可能性があることを念頭におき背景粘膜を観察する必要性がある。胃癌は，表層の異型度の低下に伴い，白色光観察や色素観察による診断が困難になり，変わってNBI・BLIなどの画像強調観察，特に拡大観察の重要性が増している。また，10年以上の除菌後胃癌では，未分化型胃癌が分化型胃癌より多くなると報告されており，詳細な今後の検討が必要である。

【Note】胃内視鏡検査に臨む準備とは池原　久朝 , 草野　央 36巻2号 , 2024年2月 , pp.181-183

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はじめに

　胃内視鏡検査は消化器内科医としては習得しておくべき必須の手技である。しかし，我流で内視鏡を胃へ挿入して写真を数枚撮影してくればよいというものではない。当然ではあるが胃内視鏡検査に臨む際には基本的な撮影法，消化管病変に関する知識，内視鏡に伴う偶発症に関する知識が必要となる。また，対策型および任意型の胃がん検診で胃内視鏡検査が推奨されるようになり胃内視鏡を安全・確実に遂行することが求められている^1）。本稿では「胃内視鏡検査に臨む際に抑えておくべき準備」のポイントについて述べる。

内視鏡医が知っておくべき・病理医が内視鏡医に伝えておきたい胃病理診断河内　洋 36巻2号 , 2024年2月 , pp.184-196

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要旨

胃内視鏡診断を行う内視鏡医にとって知っておくべき病理学的事項を整理する。胃の正常組織像をよく理解し，びらん・萎縮・化生・腫瘍といった，頻繁に遭遇する所見の組織像を知ることで，内視鏡所見の成り立ちに対する理解はより深まる。病理診断には基本的なHE染色以外にも，特殊染色や免疫組織化学染色が用いられることがあるが，それらの種類や目的，注意点についても知っておくとよい。また実際に病理診断を依頼する際に病理医に伝えるべき情報は何か，逆に病理診断報告書を受け取った際に注意すべき点は何か，といった実用的側面についても理解を深めておくことが望ましく，日常診療におけるカンファレンスなどを通し，内視鏡医・病理医の信頼関係を構築することは，適切な診療のためにはきわめて重要である。病理診断は病理医により行われる専門性の高い医行為であり，病理診断結果は診療にとって重要なだけでなく，高い学術的価値を有する。学会や論文発表における病理所見や病理画像の提示の際には病理医の貢献を考慮した，適切なオーサーシップを検討すべきと考えられる。

［各論］

ピロリ胃炎と胃炎の京都分類を修得しよう！井上　和彦 36巻2号 , 2024年2月 , pp.197-208

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はじめに

　1983年に発見されたHelicobacter pylori（以下ピロリ）によって，上部消化管疾患の考え方が大きく変わった。胃潰瘍・十二指腸潰瘍の主たる原因はピロリ感染胃炎であり，除菌により再発が抑制され，本邦での4,000例を超える多施設共同研究^1）では除菌後の年間再発率は十二指腸潰瘍で1.6％，胃潰瘍で2.3％と非常に低率であったと報告されている。最近ピロリ未感染胃癌が注目され，人間ドックや胃がん検診のスクリーニングで遭遇することも稀ではないが，胃癌の多くはピロリ感染に伴う炎症や萎縮を背景として発生することに相違はない。したがって，ピロリ胃炎の内視鏡診断は非常に重要である。

【Note】Non-Helicobacter pylori Helicobacter胃炎：幽門前庭部がポイント！間部　克裕 , 井上　和彦 , 春間　賢 , 加藤　元嗣 36巻2号 , 2024年2月 , pp.209-211

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はじめに

　Helicobacter pylori（以下ピロリ）は宿主特異性が高くヒトの胃に慢性感染し胃炎，消化性潰瘍，胃癌などさまざまな胃疾患の原因となる。一方，Non-Helicobacter pylori Helicobacter（NHPH）は，動物に感染しているものがヒトの胃にも感染する人畜共通感染症で，多くはブタ由来のH. suis，次いでイヌ，ネコなどから感染するH. heilmaniiなどが知られている。ピロリ未感染者の増加により自己免疫性胃炎，好酸球性胃腸炎などH. ピロリ胃炎以外の胃炎が注目されており，NHPH胃炎もその一つである。

【Topics】PPI/P-CAB長期服用による胃粘膜変化大野　亜希子 , 宮本　尚彦 , 平塚　智也 , 久松　理一 36巻2号 , 2024年2月 , pp.212-217

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はじめに

　本邦で初のproton pump inhibitors（PPI）としてオメプラゾールが発売されたのは1991年のことである。PPIは胃粘膜の壁細胞に存在するプロトンポンプを阻害し，その強力な胃酸分泌抑制作用によって，消化性潰瘍，胃食道逆流症，Helicobacter pylori（以下ピロリ）除菌治療から，アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬服用者の潰瘍予防に至るまで広く用いられている。さらに2015年にカリウムイオン競合型アシッドブロッカー（potassium-competitive acid blocker：P-CAB）が登場し，2022年度の国内の医療用医薬品売上高では6位に位置している。

特殊胃炎にも注目！山本　貴嗣 , 本田　卓 , 丸山　喬平 , 磯野　朱里 , 青柳　仁 , 阿部　浩一郎 , 小田島　慎也 36巻2号 , 2024年2月 , pp.218-221

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はじめに

　Helicobacter pylori（以下ピロリ）と関連しない特殊胃炎は頻度は高くはないが，時に日常臨床で遭遇することがある。本稿では自己免疫性胃炎，好酸球性胃炎の概略について診断基準などをふまえながら述べる。また，collagenous gastritis，GVHD関連胃炎および免疫チェックポイント阻害薬関連胃炎についても概説する。

【Note】IBDに伴う胃病変荻野　治栄 , 伊原　栄吉 36巻2号 , 2024年2月 , pp.222-224

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はじめに

　炎症性腸疾患（inflammatory bowel disease：IBD）は，Crohn病（Crohn’s disease：CD）と潰瘍性大腸炎（ulcerative colitis：UC）の2疾患からなる原因不明の慢性炎症性腸疾患である。CDは口腔から肛門まで全消化管に非連続性の炎症や潰瘍をきたし，炎症が壁の全層性に及ぶため，しばしば狭窄や瘻孔，穿通などの消化管合併症を伴うことが特徴である。一方，UCは直腸から連続・びまん性に口側へ広がり原則的には大腸のみに炎症や潰瘍をきたすが上部消化管病変を併発することもある。ただ，炎症の首座は基本的に粘膜であるため，CDのように狭窄や瘻孔，穿通が少ないことが特徴である。本稿では，CDとUCの胃病変について，内視鏡所見や頻度，鑑別疾患，治療を中心に概説する。

忘れてはいけない感染性胃炎―Helicobacter感染症以外の感染性胃炎（Infectious gastritis）江頭　信二郎 , 蔵原　晃一 , 大城　由美 , 池上　幸治 , 白井　慎平 , 野坂　佳愛 , 水江　龍太郎 , 河内　修司 , 八板　弘樹 , 鳥巣　剛弘 36巻2号 , 2024年2月 , pp.225-229

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はじめに

　Helicobacter感染症以外の感染性胃炎として，胃結核，胃梅毒やサイトメガロウイルス（cytomegalovirus：CMV）胃炎などが知られているが，確定診断に至らず，原因不明の胃炎・潰瘍として遷延，難治化することが少なくない。

【Topics】酸分泌抑制薬内服中に症状が増悪する症例に対する検討大久保　政雄 , 高津　智弘 , 森久保　尚美 , 安積　貴年 , 足立　雅之 , 緒方　晴彦 , 斉藤　聡 36巻2号 , 2024年2月 , pp.230-233

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はじめに

　上腹部の消化器症状に対して酸分泌抑制薬が頻用される。特に，胸やけの原因として，逆流性食道炎（gastro esophageal reflux disease：GERD）や機能性胃腸症（functional disease：FD）の関与が大きく，酸分泌抑制薬（potassium-competitive acid blocker：P-CAB, proton pump inhibitors：PPI）が一般的に処方される。症状が不安定なときは，8週を超え維持療法として長期処方する例も多い。非ステロイド性抗炎症薬（non-steroidal anti-inflammatory drugs：NSAIDs）内服で酸分泌抑制薬を恒常的に内服する例も多く存在する。大多数の症例は長期処方が可能だが，膨満感を伴う心窩部痛や食後の胸やけ，不快感などの症状が増悪する症例に遭遇する。また，投与後に短期間で症状が増悪する例も遭遇する。これらに対しGERDガイドラインでは，pHモニターなどの精査を推奨しているが簡便ではない。筆者らの施設も上部消化管内視鏡（EGD）以外の精査が困難であり，増悪例に対してEGDを再検している。

まだまだ遭遇する胃潰瘍石橋　史明 , 鈴木　翔 , 持田　賢太郎 , 永井　瑞紀 , 森下　鉄夫 36巻2号 , 2024年2月 , pp.234-238

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はじめに

　胃潰瘍の2大成因はHelicobacter pylori（以下ピロリ）感染症と非ステロイド性抗炎症薬（non-steroidal anti-inflammatory drugs：NSAIDs）である。ピロリ除菌療法の普及や，プロトンポンプ阻害薬（proton pump inhibitor：PPI）やボノプラザンなどの酸分泌抑制薬の適正使用により，消化性潰瘍患者は年々減少しているとされる^1）。しかしながら，現在でも出血性ショックをきたす胃潰瘍に遭遇する機会はある。また，ピロリ関連胃潰瘍と胃癌を正確に鑑別することは患者の生命予後に直結する。さらに，比較的稀ではあるが非ピロリ・非NSAIDs胃潰瘍である特発性胃潰瘍は，酸分泌抑制薬に抵抗する難治例として臨床的に問題になることがある。本稿では，胃潰瘍の原因を広く取り上げつつ，原因ごとの内視鏡像の特徴や鑑別方法を解説する。

【Note】消化性胃潰瘍の予後予測河口　剛一郎 , 池淵　雄一郎 , 八島　一夫 , 磯本　一 36巻2号 , 2024年2月 , pp.239-241

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はじめに

　消化性胃潰瘍による上部消化管出血は，緊急内視鏡検査の原因として，現在でも最も頻度の高いものの一つである。本邦における内視鏡的止血術の治療成績は良好であるものの，重篤な基礎疾患をもつ患者や高齢者では，予後不良の転帰をたどる症例も存在する。上部消化管出血に関する国内外のガイドラインにおいて，発症早期からリスクスコアリングシステムによる治療介入の必要性や死亡リスクを評価することが推奨されている。しかし，実臨床においてはほとんど活用されていないのが現状である。

胃ポリープの復習今枝　博之 , 宮口　和也 , 松本　悠 , 塩味　里恵 , 大庫　秀樹 , 都築　義和 , 山田　健人 , 細江　直樹 36巻2号 , 2024年2月 , pp.242-249

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はじめに

　胃ポリープは胃過形成性ポリープと胃底腺ポリープが多数を占めるが，他にもさまざまなものがあり，最近ではプロトンポンプ阻害薬（proton pump inhibitor：PPI）に関連する多発胃ポリープもしばしばみられている。本稿では胃ポリープの分類を中心に解説する。

【Note】消化管ポリポーシスに併存する胃腫瘍性病変―APC関連ポリポーシス（FAP，GAPPS）を中心に― 嶋本　有策 , 鷹尾　まど佳 , 鷹尾　俊達 36巻2号 , 2024年2月 , pp.250-255

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はじめに

　消化管ポリポーシスは遺伝性と非遺伝性に分けられる。遺伝性は家族性大腸腺腫症（familial adenomatous polyposis：FAP），gastric adenocarcinoma and proximal polyposis of the stomach（GAPPS），Peutz-Jeghers症候群，若年性ポリポーシス症候群，Cowden症候群/PTEN過誤腫症候群，非遺伝性はCronkhite-Canada症候群を含む。

胃癌診断の振り返り（ピロリ関連胃癌）平澤　俊明 , 並河　健 , 渡海　義隆 , 吉水　祥一 , 堀内　裕介 , 石山　晃世志 , 由雄　敏之 , 藤崎　順子 , 多田　智裕 , 後藤田　卓志 , 河内　洋 36巻2号 , 2024年2月 , pp.256-264

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はじめに

　Helicobacter pylori（以下ピロリ）感染率の低下に伴い，ピロリ未感染胃癌が最近の学会のトピックスとなっている。しかし従来，ほとんどの胃癌がピロリ感染に起因し，本邦における胃癌の診断学はピロリに関連した胃癌に焦点を当てて発展してきた。よって，内視鏡医が胃癌を正確に診断するうえで，ピロリ関連の胃癌を理解することは基本である。本稿では，ピロリ現感染，既感染（除菌後）を背景とする胃癌診断について，特に早期胃癌（癌の浸潤が粘膜下層までにとどまるものであり，リンパ節転移の有無は問わない）を中心に概説する。

【Note】遺伝性胃癌と日本における重要性二階堂　光洋 , 山田　敦 , 中島　健 , 山田　洋介 , 妹尾　浩 36巻2号 , 2024年2月 , pp.265-267

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はじめに

　胃癌患者の10～20％程度に胃癌の家族歴があり，胃癌の家族歴がある人は胃癌の発症リスクが高く，より若年で発症しやすいことが報告されている^1）。世界的には，胃癌のうち1～3％は遺伝性であると推定されている。本邦は胃癌の発生頻度が高く，胃癌患者の約20％に胃癌の家族歴があるという報告もあるが，遺伝性胃癌の占める割合は明確ではない。遺伝的な要素以外にも，Helicobacter pylori（以下ピロリ）感染や生活様式などが胃癌の家族内集積に寄与している。

【Note】神経内分泌腫瘍（NENs）も押さえておこう！丸山　保彦 36巻2号 , 2024年2月 , pp.268-270

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NENsの疾患概念とカルチノイドの用語について

　胃の神経内分泌腫瘍（neruoendocrine neoplasms: NENs）は神経内分泌細胞への分化を示す上皮性腫瘍を包括する疾患概念で，neuroendocrine tumors（NETs）と内分泌細胞癌（neruoendocrine cell cancers：NECs）に大別される^1）。NETsの起源は粘膜深層のECL細胞などの内分泌細胞で一般に高分化型で低異型度・低増殖能の腫瘍である。一方NECsは先行する腺癌や扁平上皮癌細胞の内分泌細胞への二次的分化からの発生が主要経路と考えられ，低分化型・高悪性度の癌である。

次世代の胃癌診療～ピロリ未感染胃癌上山　浩也 , 中村　駿佑 , 上村　泰子 , 岩野　知世 , 山本　桃子 , 内田　涼太 , 宇都宮　尚典 , 阿部　大樹 , 沖　翔太朗 , 鈴木　信之 , 池田　厚 , 赤澤　陽一 , 竹田　努 , 上田　久美子 , 北條　麻理子 , 八尾　隆史 , 永原　章仁 36巻2号 , 2024年2月 , pp.271-281

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はじめに

　Helicobacter pylori（以下ピロリ）持続感染による萎縮性胃炎，腸上皮化生などの組織学的な変化が胃癌発生に関連していることは周知の事実である。ただし，本邦においてピロリ感染率は年々減少傾向であり，ピロリ感染に関連する胃癌は今後減少すると予想されている。近年，ピロリが胃癌発生に関与しないピロリ未感染胃癌の報告が増加し，施設間により差はあるがさまざまなタイプが存在することが明らかになった^1）。本稿では，現状でのピロリ未感染早期胃癌の分類，その臨床病理学的・内視鏡的特徴と診断のコツについて概説する。

【Note】食道胃接合部癌は今後増える？小池　智幸 , 齊藤　真弘 , 谷地　一真 , 皆瀨　ゆみ子 , 首藤　千博 , 八田　和久 , 宇野　要 , 浅野　直喜 , 正宗　淳 36巻2号 , 2024年2月 , pp.282-287

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はじめに

　近年，食道胃接合部癌の増加が指摘されているが，その定義や病態にはさまざまな議論がある。本稿では，その概念および病態を整理し，今後の動向についても考察したい。

疑えますか？　胃悪性リンパ腫吉田　貴史 , 小林　祥司 , 久野　徹 , 石田　剛士 , 青沼　優子 , 依田　宏貴 , 見本　雄一郎 36巻2号 , 2024年2月 , pp.288-291

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はじめに

　胃悪性リンパ腫は胃原発悪性腫瘍のなかでは3～10％と比較的稀な疾患であるが，節外性リンパ腫のなかでは30～40％を占め，最も頻度が高い。臨床的には胃癌との鑑別が困難な場合があり，その内視鏡所見の特徴や鑑別のポイント，臨床病期分類の重要性について概説する。

【Topics】MALT1遺伝子転座を伴う胃MALTリンパ腫の内視鏡診断の限界と工夫山形　拓 , 嶋田　奉広 , 藤島　史喜 , 伊藤　啓 36巻2号 , 2024年2月 , pp.292-296

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はじめに

　悪性リンパ腫には多彩な亜型があり，mucosa-associated lymphoid tissue（MALT）は胃で最も頻度が高いB細胞性の非ボジキンリンパ腫である。胃MALTリンパ腫は日常臨床でしばしば遭遇し，内視鏡診断に関する報告も多く，内視鏡医にはなじみ深い腫瘍といえる。しかし，多彩な形態をとるために内視鏡診断が難しく，低異型度腫瘍であるために小さな生検検体では病理診断が難しい症例も存在するため，決して軽視できない疾患といえる。本稿では敷石状の形態を呈し，複数回の生検で診断がつかず，ESDで得られた検体を多角的に解析することで，MALT1遺伝子転座を伴う胃MALTリンパ腫と診断した1例を提示する。本例の経験をもとに，診断が難しい症例の対処法を解説する。

どうする！　胃SMT 吉永　繁高 , 引地　拓人 36巻2号 , 2024年2月 , pp.297-303

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はじめに

　上部消化管内視鏡検査において胃の粘膜下腫瘍（submucosal tumor：SMT）は比較的遭遇する頻度が高い。本稿ではそのような胃SMTに遭遇した場合の診断や治療方針について述べる。また近年，上皮下病変（sub-epithelial lesion：SEL）と表現されることが一般的になってきたが，本稿では読者諸氏が（何よりもわれわれが）慣れ親しんできたSMTという表現を用いることとした。

連載　内視鏡ビッグデータとICTを活用する・第1回

内視鏡所見の音声入力システムの利活用牧口　茉衣 , 水口　康彦 , 斎藤　豊 36巻2号 , 2024年2月 , pp.305-309

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はじめに

　近年，音声入力の技術は進化し，医療の分野でも応用されており，内視鏡検査も例外ではない。内視鏡検査が増加するとともに，検査の質を保ちつつ，多くの業務をこなす必要がある。内視鏡検査後の所見入力は，時間を要するだけでなく，記憶に頼るため，入力ミスや入力漏れが起きやすい。そこで，内視鏡診療における業務の短縮や効率化を図るため，当院では企業と連携し，内視鏡所見の自動音声入力システムの導入を行っている。本稿では，当院での音声入力システムの実績や音声入力システムの多施設共同研究について紹介する。

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目次 36巻2号 , 2024年2月 , pp.154-155

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英文目次 36巻2号 , 2024年2月 , pp.156-157

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お詫びと訂正 36巻2号 , 2024年2月 , pp.238-238

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次号予告 36巻2号 , 2024年2月 , pp.310-310

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バックナンバー 36巻2号 , 2024年2月 , pp.310-310

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投稿規定 36巻2号 , 2024年2月 , pp.311-311

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編集後記 36巻2号 , 2024年2月 , pp.312-312

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基本情報

消化器内視鏡
36巻2号
(2024年2月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0915-3217 東京医学社

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消化器内視鏡 36巻2号 (2024年2月発行)

特集 基本が大切 胃内視鏡診断

［総論］

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連載 内視鏡ビッグデータとICTを活用する・第1回

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