Japanese
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特集 大腸の炎症を内視鏡で診る
[IBD以外の大腸の炎症性疾患の内視鏡診療]
放射線性直腸炎
Radiation proctitis
馬場 重樹
1
,
大野 将司
2
,
河野 直明
3
Shigeki Bamba
1
,
Masashi Ohno
2
,
Naoaki Kono
3
1滋賀医科大学医学部基礎看護学講座(生化学・薬理学・栄養学)
2滋賀医科大学医学部消化器内科
3滋賀医科大学医学部放射線医学講座
キーワード:
アルゴンプラズマ凝固療法
,
小線源治療
,
前立腺癌
Keyword:
アルゴンプラズマ凝固療法
,
小線源治療
,
前立腺癌
pp.1566-1570
発行日 2024年11月25日
Published Date 2024/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001752
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はじめに
骨盤内悪性腫瘍を標的とした放射線治療の合併症として放射線性直腸炎がある。放射線性直腸炎の発症頻度は1.5〜15.0%程度とされ,60Gyを超えると発症率は急増する1, 2)。Toddはその発生時期から,照射後3カ月以内に発症する早期障害と照射後半年から1年以上経過してから発症する晩期障害に分類している3)。前者は一過性の粘膜傷害が主体であるが,後者は非可逆的な変化となる場合がある。近年,照射方法や照射線量が改良され傷害程度は軽減されているが,晩期有害事象のうち出血は発生頻度が72.7%と高く,臨床上も血便や貧血などが問題になることが多い4)。保存的に軽快しない場合,患者のQOLやperformance status(PS)を大きく低下させる。晩期障害における病態は血管内皮の肥厚や血栓形成による腸管壁内の微小循環障害が主因で,毛細血管拡張・粘膜の脆弱化・潰瘍・狭窄をきたし,不可逆性の経過をたどり瘻孔を形成することもある5)。特に前立腺癌の新規罹患患者数は著増しており,今後,出血性放射線性直腸炎に遭遇する機会は増加すると思われる。
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