整形・災害外科 61巻10号 (2018年9月)

特集 コンピュータ支援手術の現状と課題

菅野 伸彦
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1990年代後半から臨床的に実用化されてきたナビゲーションやロボティクスをはじめとするコンピュータ技術を活用したコンピュータ支援整形外科(CAOS)システムは,コンピュータ機器やソフトの進歩で,計測や動作速度および精度が向上してきている。CAOSは術前診断,手術計画,手術シミュレーション,術中支援,術後評価などの様々な局面で臨床に役立つ技術で,手術計画の最適化,手術のばらつきの減少などをもたらし,結果として術後機能向上,合併症の低減,医療被曝の低減につながっている。

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要旨:ナビゲーション機器を用いた手術(以下,ナビゲーション手術)は,術野の三次元情報をモニター上に仮想空間として再構成することで,術野からは確認できない情報を,仮想空間上で認識し手術操作を行うことであり,いわゆるカーナビゲーションの原理を応用したものである。ナビゲーション手術は術者の第2の目,手として,現在では多くの手術分野での有用性が報告されている。脊椎手術においては,術前の手術計画プランニングに始まり,術中においては手術操作の安全性,正確性の向上1),挿入インプラントの位置確認にとどまらず,低侵襲手術への応用2)~4),さらには,患者,術者の被曝の軽減などが達成可能であり,多大の恩恵を医療現場に与えている5)。しかし,本手術にもラーニングカーブは存在し,ピットフォールを熟知し,その回避策を備えた上で手術戦略を構築することが重要である。

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要旨:近年hybrid手術室を導入している施設は増加しているが,脊椎手術への応用については発展途上の段階である。血管造影撮影装置 “Artis zeego®” とautomatic registrationが可能なナビゲーションシステム “CurveTM” を使用した脊椎手術は,難度の高い手術を容易にし,低侵襲手術の安全性を高めてくれる。当院でのhybrid手術室の導入と自験例,メタルアーチファクトの問題について概説した。複数科で使用するためのhybrid手術室は,画像条件や手術のセッティングなど順応性が高い必要がある。その多様性が脊椎手術の新しい発見や手技の工夫などにつながり,安全性を高め,脊椎手術の可視化できる教育ツールとしても発展していくものと期待している。

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要旨:大腿骨転子部骨折の骨接合術後におけるラグスクリュー・カットアウトには,骨質,骨折型,整復位,インプラントデザイン,ラグスクリュー骨頭内位置などが影響する。しかし,手術ではラグスクリュー挿入は術者がX線像を確認しながら行っており,コンピュータ支援手術は有用と考えられる。ADAPTシステム(Stryker社)はフルオロベースドナビゲーションであり,X線装置に専用disc,Gamma3ネイルターゲットディバイスに専用clipを装着するのみで,通常と同じように手術を行うことができるシステムである。その利点としては,ADAPTシステムが表示する骨頭中心がガイドワイヤー挿入の指標になり,ラグスクリュー挿入中に骨頭表面までの距離が表示されることから,至適な位置および深度にラグスクリューを挿入することが可能になることである。

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要旨:骨盤輪骨折や寛骨臼骨折を低侵襲に治療するため,骨盤輪や寛骨臼周囲のスクリュー固定にナビゲーションが応用されその有用性が報告されている。特に骨盤輪骨折に対する3D fluoroscopic navigationを用いた経皮的仙腸関節スクリュー固定は,良好な精度が報告されている。骨折部の整復が可能であり,またその整復目標が5mm以下であることから,適応範囲が広く注目されている。一方寛骨臼骨折に対するナビゲーションの応用については,関節面の整復の目標が2mm以下と厳しく,その対象症例は転位の少ない症例に限られる。一方で骨折部の整復状態の評価にナビゲーションを応用し,その有用性が報告されている。

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要旨:寛骨臼回転骨切り術において,最適な骨切りデザインと正確な手術操作を行うためにCT-basedナビゲーションを使用している。CT像をもとに行った三次元的計画をナビゲーションシステムへ取り込み,弯曲ノミの刃先の位置と接線方向および骨盤形態をシステムに認識させると,術中X線透視を使用せずにノミと骨切り計画の位置関係が立体的に視覚的に認識でき,術前計画どおりに寛骨臼を回転移動できる。CT-basedナビゲーションを併用することで,低侵襲手術,骨切り技術向上,および術者教育に寄与すると考えられる。

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要旨:CPOは骨盤内側から寛骨臼を球状に切り,至適角度に寛骨臼を回転して大腿骨頭被覆を改善する手術で,股関節を直視せず,骨盤後柱を残して骨を切るのは難しい。従来法で施行した7例のCPOの後は,全例にCTベースト・ナビゲーション支援下CPOを施行してきた。これら42股を術前後CT像と3D画像解析ソフトを用いて調査した。術後に矢状面と前額面での骨頭被覆は改善したが,骨片は予定以上に前方回転していた。骨盤骨切り専用ソフトで術前計画を立てた23股では,骨切り球の中心や回転骨片の位置は予定を必ずしも再現していなかった。現行法ではquadrilateral surface(QLS)と腸骨の骨切りのみナビゲーションで支援し,回転骨片の位置もナビゲーションで制御できない。システムの改良がない限り術前計画に忠実なCPOを再現するのは不可能と考える。

PSGを用いた股関節手術 坂井 孝司
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要旨:股関節手術における,樹脂3Dプリンティングによる手術支援ガイド(patient specific surgical guide;PSG)の適用として,人工股関節全置換術(THA)における寛骨臼コンポーネント設置を支援するガイドや,大腿骨頚部骨切り・大腿骨矯正骨切りに関するガイド,また表面置換型THAにおける大腿骨コンポーネント設置を支援するガイド,さらに骨盤骨切り術に関するガイドが報告されている。寛骨臼コンポーネント設置や表面置換型大腿骨コンポーネント設置におけるPSGについての手術精度は,PSGのタイプやデザインによって異なる。PSGを使用する際には,PSGが術前計画どおり骨表面と適合していることを確認することが重要である。

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要旨:大腿骨頭壊死症に対する大腿骨転子部骨切り術において術後の荷重部健常域の確保が骨頭再圧潰の防止に重要である。われわれはCT像とMRIを融合した三次元シミュレーションにより,術後の荷重部健常域を予測し,その手術適応を厳密にしている。また術後の荷重部健常域は骨切りデザインとその骨切り面上での骨頭の移動で決定されるため,正確な術前計画の再現が重要である。ナビゲーションは正確な骨切り面の再現と移動骨片の追跡を可能とし,術前に想定していた術後荷重部健常域を確実に再現でき有用である。

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要旨:人工股関節全置換術(THA)において,ナビゲーションシステムはインプラント設置を正確に行うためのツールであり種々の機種が存在するが,いずれも従来のアライメントガイド使用THAに比べ,設置角度,設置位置に関するoutlier(はずれ値)を少なくする効果があるとされている。THAにおいては,主にイメージレス,CTベースナビゲーションの2種類のナビゲーションが使用されており,それぞれ簡便さ,術前計画利用の可否,インプラント設置精度の面において差がある。これらは,インプラントの設置目標・設置許容誤差範囲を理解した上で,それぞれの機種の性能を認識し,正しく使いこなすことが重要である。合併症減少のために必要な論理的インプラント設置許容誤差は±5°程度と見積もられており,CTベースナビゲーションがその精度条件を満たしており,臨床成績においても中長期の合併症低減に関する有効性が示されている。

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要旨:人工股関節置換術におけるポータブルナビゲーション(HipAlign®)は,従来のナビゲーションに比し,経済的,かつ簡便,サイズも小さくその携帯性が主な特徴とされ,カップ設置精度についても一定の成績を獲得できるとの報告が散見されている。しかしながら,側臥位用HipAlign®では,側臥位骨盤固定でのズレ(冠状面,矢状面,横断面)や術中骨盤移動が影響しやすく前方開角にばらつきが出やすい。前方開角に影響する要素はプローブを体軸と平行に登録して規定される基準面のみであるため,体軸のレジストレーション時に,骨盤座標系骨盤固定器(APP lateral positioner)を使用することで,前方開角のばらつきを減らし安定したカップ設置精度が得られた。目標カップ設置角度の実現のため,HipAlign®は術者にとって非常に有用なツールとなりうる。

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要旨:ZedHipは,人工股関節全置換術(THA)専用の三次元テンプレーティングシステムのソフトウェアである。骨盤と大腿骨座標系を構築し,半自動的に三次元モデルが作成でき,カップ被覆率やステム髄腔占拠率を考慮したコンポーネントサイズ選択や設置位置などの綿密な術前計画ができる。また,可動域シミュレーションによるインピンジメント部位の予測が可能である。HipCOMPASS®は,ZedHipとリンクしている仰臥位THA専用のカップ設置支援デバイスで,術中に解剖学的骨盤基準面を再現し,ガイドに沿ってカップ設置することでカップ設置精度は外方開角や前方開角とも5°以内と良好となる。HipCOMPASS®は,カップ設置精度を安定させ,患者の合併症を回避し,臨床成績を向上させる有用な術中カップ設置支援デバイスである。

TKAのナビゲーション 増田 裕也 , 中川 匠
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要旨:人工膝関節全置換術において良好な術後成績を得るためには,正確な下肢アライメント,適切な軟部バランス,至適なサイズのimplantの採用と的確な設置などが重要である。これらの一つひとつの手技を正確に行うために開発されたのがナビゲーションシステムをはじめとしたロボティック手術である。ナビゲーションTKAの利点としては,正確に骨切りが行えることで良好な下肢アライメントが獲得できること,髄内ロッドの使用が難しいと思われるような症例も安心感を持って行うことができることなどが挙げられる。欠点としては価格が高いこと,臨床的な優位性がまだ明らかでないことなどが挙げられる。自動車運転においてはその利便性のために,ナビゲーションシステムがあるのが当然というところまで普及している。今後最大のネックと考えられているコスト面さえ解決されれば,TKAにおいてもナビゲーションシステムの普及が進むと考えられている。

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要旨:ナビゲーション併用UKA(人工膝関節単顆置換術:unicompartmental knee arthroplasty)を施行し,術後CT計測にて脛骨コンポーネントの内外反設置評価を行い,平均90.18°と良好でoutlierは2関節(2.8%)と有用であると思われる。また術中のナビゲーションの設置角と術後CTでの計測角を評価し,ナビゲーションの精度も良好であった。ただ今回使用したCT-freeナビゲーションでは回旋の精度は,術者の技量によるところがある。そこでPSI(patient specific instrument)併用にて回旋の精度の向上がさらに期待できる。今回はOxford UKAの脛骨側のみの使用であるが,ナビゲーションはわれわれが使用している機種だけではなく,すべての機種で応用可能であり有用であると思われる。今後さらなるナビゲーションの普及が望まれる。

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要旨:加速度計ナビゲーションシステムの一つであるKneeAlign® 2(OrthoAlign社)は,MEMS加速度計によって,大腿骨遠位端と脛骨近位端のcoronal面sagittal面の骨切り角度を補助するcomputer assisted orthopaedic surgery(CAOS)器械である。KneeAlign® 2の特徴は,① 初期投資が不要で安価なため手術数が少ない病院でも導入しやすい,② 簡便で,従来の手術手技を変更する必要がなく,③ 手術時間の延長はなく,出血量も低減する,④ 従来の髄内ロッドや髄外ロッドを用いる従来法よりもアライメント精度が高い,⑤ 光学式ナビゲーションに匹敵する精度が得られる,などが挙げられる。加速度計ナビゲーションシステムはTKAにおけるアライメント向上,CAOS技術の普及に寄与すると考えられる。

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要旨:高位脛骨骨切り術(HTO)はX線評価に基づいて術前計画を立て,術中のX線透視下に骨切り位置および矯正角度を決める方法が一般的だが,二次元評価のために回旋の影響による矯正角度のばらつきもみられた。矯正角度の精度が術後成績に影響するためコンピュータ支援技術も確立されてきた。コンピュータ支援によるHTOでは三次元骨モデルから術前計画を立て,術中ナビゲーションで骨切りの精度を上げ,リアルタイムに下肢荷重軸の変化を三次元的に評価できるため正側面で正確な矯正角度を調整できる。TKAナビゲーション手術と併用して使えるHTOナビゲーション手術機器も開発されている。従来法とHTOナビゲーション手術の比較研究では矯正角度の精度はコンピュータ支援による手術の方が有意に高いという報告が多いが,短期の臨床成績は有意差が出ていない。HTOにおけるナビゲーション手術は弱点も理解して使用することが必要である。

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要旨:屈伸,内外反,回旋変形が組み合わさった三次元的な上肢の変形を簡便かつ正確に矯正するツールとしてカスタムメイドガイド・カスタムメイドプレートが開発された。患者個々の骨格形状に合わせて作成される手術ガイドと骨プレートを用いることで,術前にコンピュータ上で計画した骨切りシミュレーションどおりの手術が可能となる。本技術は現在,上腕骨遠位端,橈骨遠位端変形に対して薬事承認を得られているが,様々な症例に対する応用が可能で,現在前腕骨幹部変形への適応拡大と形状自由度の拡大を目指して先進医療として臨床試験を実施中である。

Personal View

医療と祈り 谷口 昇
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「君は医者である自分に対して,もっと厳しくあるべきだ,医療は人間の祈りだとさえ云われている,神を怖れ,神に祈るような敬虔な心で,患者の生命を尊重する心がなくては,医療に携わることは許されないはずだ」

整形外科手術 名人のknow-how

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後脛骨筋腱機能不全(posterior tibial tendon dysfunction;PTTD)では,後脛骨筋腱,ばね靱帯,三角靱帯を含む複合体の障害の結果,扁平足となる。手術療法は軟部組織手術と骨関節手術を組合せる1)。本稿ではstage 2に対するばね靱帯修復(corrective repair of the spring ligament;CORRS),長趾屈筋腱移行(flexor digitorum longus tendon transfer;FDLT),および外側支柱延長術の一つである踵立方関節延長固定(calcaneo-cuboid joint distraction arthrodesis;CCDA)のワンポイントを紹介する。

医療史回り舞台

皇族の婚約をめぐる事件 篠田 達明
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昨年,秋篠宮家の長女眞子さま(26歳)と都内の弁護士事務所で働く小室圭さん(26歳)の婚約が内定した。しかし小室さんは本年8月から米国ニューヨークのフォーダム大ロースクールに留学することが決まり,宮内庁も「まだ《納采の儀》(結納の取り交わし)を済ませておらず,正式な婚約状態ではない」と指摘していて,お二人が結ばれるかどうかははなはだ不透明な事態となっている。

新しい医療技術

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要旨:愛媛大学医学部では解剖学教室の全面的協力のもと,2012年以降,厚労省の実践的な手術手技向上研修事業の助成を受け,献体を利用した手術教育を実施している。2013年には手術手技研修センターが設置され,現在では内科系を含めた17診療科がセミナーを随時開催し,年間参加総数は学内外を含め約500名にのぼる。献体はThiel法による固定を実施しており,柔軟でより現実に近い条件での手術研修が可能であるとともに感染リスクが低いというメリットを有する。本研修は若手医師の臨床解剖の知識習得や基本的な手術,検査手技の習得において極めて有効であるが,中級以上の医師に対する高難度新規医療技術の研修においても活用している。一方,厚労省からの助成が終了した後の本事業の継続性や,倫理面,企業参加の問題など様々な課題への対応が求められている。

机上の想いのままに

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自然は人類が育まれたものであるため,“自然の生み出したものは人間にとって良い” ものであり,自然に寄り添って生きることこそ人間本来の姿であるという思いは誰にでもある。頑固に昔の生活様式を守るアーミッシュ派の人たちの生き方は,ある意味憧れのまなざしで見られている。

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要旨:思春期特発性側弯症15例に対し,Rod rotation-detorsion(RRD)法による,矯正手術を施行した。これらの症例に対し,三次元評価が可能なster EOS®検査を術前・術後に行い,それぞれのパラメータを比較した。その結果,RRD法は三次元矯正が可能な術式であることが検証できた。

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要旨:人工膝関節置換術(TKA)後の疼痛対策として,術中のみ関節周囲カクテル注射を行った従来群と,術翌日に大腿四頭筋遠位部に追加カクテル注射を行った追加群に分け,2日目以降の追加鎮痛処置の回数,術後のNRS値,膝屈曲角度,歩行器歩行開始時期,尿道カテーテル抜去時期,ならびに術後在院日数の6項目を調査した。術後のNRS値以外の5項目で追加群の方が有意に改善した。追加カクテル注射後のフェイススケール値も改善し,もう一度この手術を受けるとしたらこの注射を希望するかとのアンケート調査で80%の患者が希望した。術中関節周囲カクテル注射の効果を長くするために術翌日午前に追加のカクテル注射を施行することは有効であると考えられた。

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要旨:静脈可視化装置StatVein(SV)を用いて手指背側静脈解剖の検討と臨床的利用を行った。対象は22母指,88指である。爪基部レベルでの平均静脈本数は橈側0.86本,尺側0.88本,爪半月辺縁からの距離は橈側5.99mm,尺側5.65mmであった。DIP関節では平均静脈本数は3.08本,全症例において中央に静脈を認め,中央の静脈から隣接する静脈への距離は8.63mmであった。Radial artery superficial palmar branch flap,wrap around flap+VY advancement flapではSVを用いて静脈同定は容易であった。DIP関節ではまず正中静脈を同定し,ついで中央から8mm程度離れた部位を剝離し,爪基部では爪半月辺縁より5.6mmの部位を中心に剝離することが有用である。SVは操作が簡便で,皮弁手術,切断指の際,静脈の走行の確認において有用である。

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要旨:二分靱帯はショパール関節外側の安定性に関与するといわれる。二分靱帯損傷は足部捻挫に伴って比較的高率に起こるが,その生体力学的研究は少なく詳しい機序は不明である。本研究では,多方向負荷試験を行い二分靱帯の生体力学的特性を評価した。未固定凍結標本8足を用いて前足部に回旋・内転・底屈負荷試験を行った。測定は正常足から踵舟状靱帯,踵立方靱帯,背外側踵立方靱帯の順で段階的に切離して行い,関節安定性を評価した。踵舟状靱帯切離では,負荷時の付着部間距離に有意な変化がみられなかった。一方,踵立方靱帯切離後には,内がえし負荷と内転負荷において付着部間距離が有意に増大した。内がえし負荷や内転負荷は二分靱帯損傷を生じる重要な受傷機転であると考えられた。

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要旨:Double socket techniqueは固着したセメントレスカップを温存し,ポリエチレンライナーをセメント固定する再置換方法である。セメントレスカップを除去する際に生じる骨欠損が少なく低侵襲である。対象は全例女性で,再置換時年齢は平均53.7歳であった。初回人工股関節で使用されたカップは全例Harris-Galante Porous Ⅱ Cupであった。全例でカップのロッキング機構が破綻し,2例でステムネックとライナーのインピンジメントがみられた。カップ周囲の骨溶解を掻爬し,骨移植を行った後にポリエチレンライナーをセメント固定した。セメントレスTHA用のクロスリンクポリエチレンには,セメントとの固着性を高めるために溝を作成した。ステムネックとライナーが衝突する1例で,衝突部分を削りとった。術後平均13年の経過で臨床・画像所見とも良好で有用な再置換方法である。

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要旨:植物性異物による踵骨の骨内異物を経験した。症例は51歳男性で,葦の切り株が靴を貫通して踵部に刺さり近医を受診するも経過観察とされた。疼痛が続くため6カ月後に来院,単純X線,CT,MRI検査で踵骨の骨内異物と診断し,異物除去術と骨掻爬術を行い治癒した。植物性異物の骨内迷入はまれであり,単純X線やCT検査だけでは急性期における診断は困難であるが,MRI検査においては異物が撮影されるため有用である。

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今はEvidence Based Medicine(EBM)の時代であり,発表や論文に何らかの統計解析は必須と言ってよい。しかし,今の統計ソフトは或る意味恐ろしい。とりあえずデータを放り込めば,何らかの結果が数字として出てくる。それが,自分の仮説を援用する結果だと「統計学的に有意です。」と意気揚々と発表する。

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編集後記

基本情報

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整形・災害外科
61巻10号 (2018年9月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0387-4095 金原出版

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