看護学雑誌 58巻7号 (1994年7月)

特集 今,ボランティアの時代

病院ボランティアとは 新谷 弘子
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はじめに

 どこかの病院の受付や病室で,ピンクのユニホームを着た人を見かけたことはありませんか.看護婦さんでもないし,病院の職員でもない,一体どういう人かと思った経験はありませんか.この人たちが病院ボランティアとして活動している方々です.米国の病院では3分の2以上が,受け入れシステムを持っているといわれているのに,我が国の参加者の数は極めて少ないのが現状です.米国では地域の婦人や中・高生たちが,病院ボランティアとしてさまざまな形態で参加しています.この人たちは,「病院の外交官」といわれ,地域と病院・患者との情報のかけ橋として高く評価されています.

 日本では病院ボランティアの普及率はまだ低く,すでに活動している所でもボランティアの受け入れ体勢が整っていなかったり,理解が不十分,かつ活動に主体性を欠く等の問題を抱えている場合が少なくないようです.このように病院ボランティアが一般化されない背景には,次のような固定観念があるといえます.

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ボランティア活動を始めた頃

 病院ボランティアグループ「オレンジクラブ」が,当院での活動を開始するようになったのは,開院間もない1975年にさかのぼる.

 「オレンジクラブ」は,現在も中央滅菌室で活動をされている,厚木市在住の福島きよ子,武(故)夫妻が,県内の7つの病院に働きかけ結成されたボランティアグループである.当院のグループもその1つだが,この福島さんのご努力と,外国の事情にも詳しい当院の前看護部長前田マスヨ氏の豊富な知見に基づいた指導のもと,また病院関係者の理解の中,29名(市内12名,市外17名)で活動をスタートした.それから20年を迎えようとしているが,その間には高校生がボランティアとして参加した時期もあり,土曜日の午後や日曜日の活動も行なわれ,その交通整理に大変な思いをしたこともあった.

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はじめに

 病院ボランティアグループ「麦の会」は,1983年1月に活動開始し,今年で12年目を迎えました.「麦の会」は,多い時には17〜18名のメンバーで活動が展開され,内容的にも質的にも充実し,病院内で一定の役割を果たしてきました.会の結成から現在に至るまで,必ずしも順調とは言い難い経過をたどりましたが,「麦の会」が病院内で果たした役割や意義,そして直面している問題について述べてみたいと思います.

 「麦の会」の活動は,1983年1月〜85年12月までは現在と同じ埼玉県の西大宮病院で,1986年1月〜89年9月までの3年9か月は上福岡総合病院で,そして1989年10月に,再度西大宮病院に戻り現在も続いています.

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はじめに

 人々の健康指向の高まりは,街の書店の店頭で見る一般向けの医学や,看護関係の本や雑誌の多さでもはかり知ることができる.さらに新聞の番組欄を見ても,毎日のように健康に関するテーマを取り上げている.

 私は,(財)ライフプランニングセンター(日野原重明理事長・聖路加国際病院院長)で健康教育を行なっているが,10〜15年前には単に健康情報を得たいと思っていた人々が,今では得た情報をどう判断し,どうすべきかと考えるというように健康へのニーズが変化してきていると感じている.

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社会の中のボランティア活動

 在宅のお年寄りの身の回りの世話や,家事の手伝い,障害児(者)の自立援助や生活支援,行事参加を通じた交流活動などの目に見える福祉活動のほかにも,物質的,金銭的な援助による参加,国際文化活動などさまざまな形で参加するボランティア活動があります.ここ数年,ボランティア活動への関心が高まりつつあります.

 全国社会福祉協議会の登録を見ますと,5万近いボランティアグループで,400万人以上のボランティアが活動をしていますが,この人数は総人口の約3%に相当します.そこには,労働時間の短縮,週休2日制の定着も要因となっているのか,勤労者によるボランティア登録も増えています.仕事とは異なる充実感を求めたいという意識があるのかもしれません.

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待ち望んでいた資格

 岡田 15年前から望んでいた保健士の国家試験が実施され,このほど合格発表があってようやく資格を取得しました.私自身,この保健婦ということに対しては非常に思い入れがありまして,今までの自分の歴史と言ってもいいほど,この資格にこだわり続けてきました.少しだけ自分の今まで歩んだ道を話させていただきます.

 学生時代の地域看護の実習や,病院の訪問保健婦の実践活動の見学をきっかけに,保健婦の分野に関心を持ち,就職もその分野へと望んでいました.しかし,男性にはその資格がないことから就職活動も制約され,結果的には保健婦分野には就職できませんでした.その後も母校で,地域看護学講座で修士課程を取るなど教育,研究という立場で保健婦業務を考えてきました.

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はじめに

 これからお話しする,“看護独自の介入と効果的タッチ”(Independent Nursing Interventions and Purposeful Touch)は,看護の本質とは一体何だろうかという私の関心事から生まれました.

 私が臨床ナースだった頃からの看護業務の変遷を振り返りますと,医療技術が非常に複雑になり,看護技術での介入がだんだん少なくなってきています.たとえば,入院患者全員に欠かせなかった背部へのマッサージはナースの介入としては見なされず,ナースは心電図モニターを読んだり,中心静脈圧を測定するなどの活動に時間を費やしています.確かにこのようなモニタリングは患者の経過を知るうえで重要なことには違いありませんが,看護の本質,つまり看護ケアの要素を構成している介入とそれらを置き換えることは,患者の安寧に深く貢献している看護ケアの面を削除してしまうことを意味します.

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はじめに

 私は,老人看護実習中,脳梗塞で再発作を起こした急性期の患者を受け持った.前回の発作より症状は進み,右半身麻痺・失語症の状態にあった.患者は失語症があるためかイライラした状態がみられ,意思疎通困難によるストレスの蓄積が,血圧を不安定にし再々発作の危険につながるのではないかと考えられた.

 そこで,患者の気持ちを察して欲求を満たすことが必要であると考え,排尿の援助をきっかけとして意思疎通を図った.その結果,患者のイライラした状態が軽減し,再々発作を防止することができたので,その過程を振り返り報告する.

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 最近,世間ではボランティア活動が一種の社会現象になっている.豊かな社会の象徴というイメージのあるボランティア活動が,病院の中にも少しずつ根をおろしつつあるようだ.

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あきらめないこと.保守的にならないこと.行動すること.可能性は誰もが同じなのだから……

 小林さんは,看護学校を卒業すると都内の総合病院に勤務.しかし,看護婦とは評価されない職業,このままでは浮かばれないという不安から,2年で逃げ出すように辞めた.そして,フリーの看護婦を経験したのちに出版社に5年間勤務したが,ちょっとしたきっかけから自分で本を書くようになり独立.これまでに,「病院は踊る』(白馬出版刊)など多数の看護,医療を題材とした本を出版している.今思えば,看護とはすばらしい本当にいい仕事だった.これからは,看護婦たちを応援する立場で関わりたいとも考えている.

 そこで,小林さんと同じく看護婦であり,著述業の宮子あずささんらと組んで,20歳から35歳までの若い看護婦たちのネットワーク“N3”を設立した.気楽に楽しめる場,本音を出せて自分を表現することで,明日への原動力になればと考えている.活動の手始めに機関紙を発行する.会員からの情報,看護婦だから共感できる楽しい読み物などを掲載,看護婦たちのビタミン剤もめざしている.キーワードは「本音・前向き」.

ヤッたね看護—柳原病院の試み・4

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 痴呆性老人のケアでは“老人の言動や心を受容し理解すること”“老人のペースに合わせること”が重要であるとよく言われます.しかし実際には,夜間譫妄や昼夜逆転などによる事故を防ごうとして,“受容”や“合わせる”というよりも,患者自身を変えようと働きかけることが多いようです.そして大抵,うまくいかずにナースの方がストレスを感じてしまいます.

 また,介護する家族もさまざまな対応を24時間求められ,“一時も目が離せない”“安眠できない”など日常生活を乱され心身ともに疲れ果ててしまいます.

生体のメカニズム・31 代謝・体温の生理・1

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 今月号では,健康のバロメータとして使われている「体重」について一緒に考えてみましょう.

 私たちの体は,体の外にある太陽や水,大気などによって生み出される機械的あるいは電気的エネルギーを,直接利用することができません.ですからエネルギー源として糖質,脂質,タンパク質に富んだ食事をし,それらを細胞の内の複雑な化学反応を利用して,水,二酸化炭素,N-化合物,S-化合物に分解して,体の外に排出しています.この分解の過程で生み出された生物エネルギーを利用して,私たちはこのエネルギーを使って,運動や作業をしたり,体温を維持したりして生きているわけです.

連載 看護相談学のすすめ・1【新連載】

なぜ看護相談学か? 宮本 真巳
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はじめに

看護相談学のすすめ

 多くの看護者にとって,患者や家族から相談を持ちかけられることはごく日常的な出来事である.また患者や家族の立場からすると,医療スタッフの中では身近に接する機会の多い看護者は,相談を持ちかけやすい相手のはずである.しかし看護者による相談活動,すなわち看護相談は,現状では看護業務の中に明確な位置づけを得られないままに,個々の看護者の個人的な努力によって担われているように思える.

 私たちは昨年秋,10病院100名の看護者を対象に,患者や家族の相談に乗ったことがあるかどうかについて尋ねてみた.その結果,そういう経験はないと答えた看護者もわずかながらいたが,ほとんどの看護婦がそのような経験を持っていることが確かめられた.またこの調査から,看護相談の現状や課題,そして今後の方向性について多くの示唆を得ることができた.

連載 私が訪問看護に魅かれる理由・1【新連載】

訪問看護との出会い 小沼 絵理
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ビルの谷間のお年寄り

 私は,家族の入院体験や福祉関係の仕事をしていた母の影響などもあってか,小さい頃から福祉や医療の分野で仕事をしたいと思っていた.最終的には看護を選んだのだが,中でも地域看護には魅せられるものがあり,またちょうど学生だった頃から「在宅医療・看護」というものがクローズアップされてきたことなどが,私をより地域看護に結びつけていった.そこで私は地域医療=保健婦と考え,看護短大を卒業と同時に聖路加看護大学へ編入学し,保健婦になるべく勉強を始めた.しかし,実習で体験した地域看護は,自分がめざしているものとは少し違う,もっと的を絞った活動があるのではないかと感じていた.

 そんな時,卒業論文作成のため,ある区の老人の調査に出かける機会に恵まれた.東京のど真中,ビルの谷間にまるで隠れてでもいるように暮らすお年寄りたちを目の当たりにしたショックは大きかった.学生ではあったが,訪問すると,「お待ちしていました」とばかりに相談を持ちかけられた.あるケースは,後期高齢者の寝たきりとなっている人で,やはり高齢の娘が介護しており,褥創があり,吸引も必要としているような状況であったにもかかわらず,看護の手はまったく入ってなく私の訪問を待っていたという状況であった.当然,学生の自分には介護指導などできるはずもなく,すぐに教官から保健所保健婦に連絡してもらい看護がかかわるようになった.

連載 看護治療学序説・6(最終回)

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現在の基本的課題

 看護職は医療の中核を担っています.日本では,約90万人の看護職が,アメリカでは約210万人の看護婦がさまざまな役割を担って働いています.看護職は医療専門職の中で圧倒的に最大多数の職種となっており,看護職を抜きにして医療は存在しません.

 ところが,看護ケアがほとんどすべての患者の治療と健康回復に必須となっているにもかかわらず,看護ケアの臨床効果が目に見える形で現れていないのはなぜでしょうか?看護職とは一体何をする人でしょうか?看護婦のさまざまな臨床行為は,患者の受ける医療の質にそれぞれどのくらいの差異をもたらしているのでしょうか?一定の看護行為の実施回数を増やしたら,患者の健康水準はどの程度上がるのでしょうか?ある看護行為は,同様の目的で使われる他の看護行為に比較して,どちらがより高い臨床効果が期待できるのでしょうか?看護ケアに関して,一般の人が持つ基本的な疑問点に,看護職は明確に回答を提示しなければなりません.

連載 [リレーレポート]いきいき看護研究・10

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 今,医療現場では質の高い看護を提供することを目的に,さまざまな取り組みがなされている.当院でもPOS看護記録,看護診断の導入,看護理論の活用の推進,そしてプライマリナーシングを踏まえた患者受け持ち制の導入計画など,看護の「質」への関心が年々高まってきた.その中で,看護研究もまた質との大きなかかわりを持っていると考える.

 臨床における看護研究は,臨床現場における疑問や改善事項などを,さまざまな方法を用いて計画的に研究し解明していくことであり,それらの研究結果が看護実践の場で生かされ,看護の質を向上させてきた.ケアの質の向上が,より質の高い研究を手がける機会ともなっている.

連載 —海外文献紹介—Current Nursingピックアップ・4

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80年代のホームケアへの流れ

 Brault, G. L. 1980 s Reorientation to home health care. Journal of Pediatric Health Care, 1, 8-13, 1987.

 今,アメリカでは医療ケアシステムの中で,病院中心の医療から地域中心の医療へのパラダイムシフトが起こっています.高い医療費,人口の高齢化,医療保険システムの問題等,いろいろな問題を抱えて,それに対する対策として,入院期間の短縮化,病院の縮小化が進み,さらには,医療保険制度の変革が起ころうとしています.そんな中で,病院は重篤で急性期の患者のみが短期間の治療を受ける場所となり,地域では,より重症な患者がいろいろな医療器具を使いながら,自宅で治療・ケアを受けるという状況が生じてきています.Home Health Care Nursingは,日本語で言えば,在宅看護です.日本は,まだまだ,病院中心医療ですが,高齢化社会に対する対策として,老人訪問看護制度がしかれ,地域に看護ステーションができ,老人訪問指導事業が推進され,地域へのシフトの兆しが見えています.そこで,今回は,この地域医療の中で急激に伸びてきているHome Health Care(在宅ケア)に注目し,それに関する文献を紹介します.

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 ナイチンゲールというと,とかくその膨大な著作の一部を切り取って,あたかも「聖書」か「毛語録」のお言葉のごとく“信仰”するきらいがなきにしもあらず.その反動で,「またぞろナイチンゲール?」とお感じのむきもあるかと思う.

 けれども,ナイチンゲールの多大な業績の意義を理解するためには,このきわめて個性的なひとりの女性の生涯と仕事の軌跡を,彼女が生きた時代と社会の中にしっかりたどっておくことが不可欠なのだ.このことを痛感させてくれる今回の2冊は,ぜひともセットでお勧めしたい好著である(蛇足ながら,『ナイチンゲール』の表紙にはがっかりさせられるが,これは一切著者の責任にあらず.「ジュニア新書」のさだめと思って目をつぶっていただきたい).

連載 おしえて看護婦さん!いまどき医療の?・10

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ホスピスに行くべきだった?逸見さん問題の衝撃

 マラソンのように,人生には折り返し地点があると言う.どうやら私もその曲がり角を過ぎたらしい.相変わらずジタバタ走っているが,若い頃と違って,顔を上げるとゴール地点にある「死」がいやでも目に入るようになってきたのだ.

 でも,これが意外に悪くない.残り時間が少ないと人間度胸がすわるもの.ウジウジ悩んでるヒマはなく,やりたいことの優先順位をビシバシと決断していく.爽快である.

連載 看護ボヘミアン—出会いと発見のつれづれ・10

風立ちぬ—(前編) 林 千冬
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ロマンス・グレーの君

 吉田泰三さん,64歳.無造作にかきあげた髪は,少し長めのロマンス・グレー.長身を折り曲げるようにして,いつもベッドで文芸雑誌を読みふけっていた姿が忘れられない.舞台は相変わらず「生活保護専門病院」.だけど彼の姿だけは,まるで一枚の美しい絵のように蘇ってくる(他の患者さんたち,ユルセ!).

 のちに思えば,私の彼への気持ちは限りなく“恋”に近かったのかもしれない.その証拠に,それ以来私はなぜかロマンス・グレーの男性には滅法弱いのだ.

連載 未来予想図 たとえば私の……・10

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増えてきた外国の情報

 国際化しつつある現代日本の中で,さまざまなエリアのものが変わりつつあります.例えば道路標識や駅の案内板を見ても,10年前に比べるとはるかにアルファベットが目立つようになりました.観光地に行くと,外国語のパンフレットを置いてあるところが数多くあり,レストランに入ると外国語のメニュー,そしてTVの2か国語放送と,時代は動いている,と実感させられます.

 看護の世界を見てみると,海外留学する人たちも増え,確かに看護婦のための英会話のテキストやテープなどが,たくさん店先に並ぶようになりました.私が現在勤務している病院は,実際には外国の方とのやりとりはほとんどありませんが,私自身は,いつ,どこの国の人が来ても対応できるようにと,心がけているつもりです.

連載 でも、やっぱり歩きたい[直子の車椅子奮戦記]・31

脱走のヨロコビ 滝野澤 直子
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秘密の特訓

 私たちの病室は,ストレスが溜まってくると出前を取るという習慣があった.

 特にお気に入りはお好み焼き.看護婦さんとうまくいかないとき,リハビリが思うように進まないとき,退院後のメドもついていないのに退院をせっつかれたとき,悲しいとき,虚しいとき,イライラするとき,脳裏をかすめるのがお好み焼きなのだ.そうだ!お好み焼きでも食べて元気だそう,ってね.

連載 プッツン看護婦物語・47

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 どこの職場にもいるんだろうけど、どうにも合わないスタッフ同士の組み合わせってあるよね〜。

 で、そんな人たちの下についてしまったら、も〜悲惨。婦長と主任が合わない職場とか、先輩同士が仲悪い職場とかだと、下の者の気苦労たるや、涙もん。

基本情報

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看護学雑誌
58巻7号 (1994年7月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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