連載 買いたい新書
「天使」でもなく「偉人」でもなく―『ナイチンゲール』『大英帝国』
林 千冬
1
1東京大学医学部保健社会学教室
pp.660-661
発行日 1994年7月1日
Published Date 1994/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904593
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ナイチンゲールというと,とかくその膨大な著作の一部を切り取って,あたかも「聖書」か「毛語録」のお言葉のごとく“信仰”するきらいがなきにしもあらず.その反動で,「またぞろナイチンゲール?」とお感じのむきもあるかと思う.
けれども,ナイチンゲールの多大な業績の意義を理解するためには,このきわめて個性的なひとりの女性の生涯と仕事の軌跡を,彼女が生きた時代と社会の中にしっかりたどっておくことが不可欠なのだ.このことを痛感させてくれる今回の2冊は,ぜひともセットでお勧めしたい好著である(蛇足ながら,『ナイチンゲール』の表紙にはがっかりさせられるが,これは一切著者の責任にあらず.「ジュニア新書」のさだめと思って目をつぶっていただきたい).
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