看護学雑誌 37巻3号 (1973年3月)

マイ・オピニオン

患者の訴え 嶋尾 重乃
  • 文献概要を表示

患者の心的状態や身体的状態は‘訴える’という形で表現される.この訴えが,診断の基礎になって,検査や治療が行なわれたり,この訴えをきっかけとして,看護上の問題点をとらえ,援助活動の支点を見いだすことになると考えれば,臨床のなかではたいへん重要なことである.しかし実際の場面で‘患者の訴え’をどのように受けとめ,どのような処理のしかたをしているかと考えると,多くの疑問がわく.

 訴えの内容や方法は多岐にわたり,訴え方も患者1人1人の性格・教養・環境などの違いによって個人差があるのは当然だと心得,人としての患者理解の必要を感じながらも‘訴え’を受けとめるときは,きわめて単純に,事務的に,観念的に,またある場合は主観的に患者の一側面のみをとらえて処理をする傾向がわれわれにはある.

——

  • 文献概要を表示

はじめに

 看護の確立が叫ばれて何年になるだろう.看護の主体性・自立性について関心が向けられ,看護業務の明確化や看護の独自性とは,と看護婦自身に問いかけられている昨今,私たち臨床にある看護婦は改めてこの問題について考える必要があると思う.

 看護は,いまや誰が行なうべきかという看護作業の分析から,看護婦として何をしなければならないかということを明確にし,すべての看護業務は,看護婦の判断で行なえるだけの知識・技術が必要であること,たとえ准看や助手に委任した場合でも,その結果を当然チェックしなければならない責任があることを銘記しなければならないと思う.

  • 文献概要を表示

 今日の医療においては,難治の病気とさえ言われている慢性腎不全,尿毒症の疾患をもつ長期療養患者に接した場合,その患者を最後まで闘病心を失わせず,残された枠内で最大限に人間的な生活が享受できるよう,患者のおかれた社会的条件も把握して,できるかぎりの援助をしなければなりません.ややもすると薄れやすい家族の暖かい援助,看護婦のやさしい言動が,患者にどんなにか医療を受ける姿勢,生きる価値を見いださせることができるでしょう.

 その偉大さをあらためて痛感させられた患者を経験しましたので,ここに紹介させていただきます.なお当病院は,企業体の付属病院です.

  • 文献概要を表示

人工透析を受けている患者の食事管理は依然としてむずかしく,そのうえ高血圧などを合併しやすいなど,多くの困難と壁が立ちはだかっている.したがって患者は,人工透析による社会復帰という目標に向かっていけず,心の中にいらだちをもち,惰性的になりやすい.私たちは,こういった現状を打破するため患者との人間関係,メモノートの使用を中心にして,医師・患者・看護婦の3者が1つの目標に向かうよう実践しています.

  • 文献概要を表示

当透析室の外シャントに関する事故を分類すると次のようになる.

1.シャント挿入部の感染

  • 文献概要を表示

現在当科では,より新しい看護計画の実践というテーマに取り組み,当院の特徴を生かした独自のものを作り出そうと努力している段階である.

 これまでは,明確な看護計画が十分でないままに,対症看護に重点がおかれた看護行為が行なわれていた.その中から,特異な精神症状を呈し,長期間の入院生活の後に回復して,現在も外来通院中であるてんかん患者を例として取り上げ,その看護過程を分析し,これからの看護活動に役だてていこうという試みがなされた.

カンファレンス・3 聖路加国際病院外科病棟

  • 文献概要を表示

はじめに

 聖路加病院の外科病棟は,5B・5C・4Aの3つのセクションがあり,私が責任をもっているのは4Aセクションである.この4Aセクションの特徴について,まず説明しておこう.ベッド数は35床.職員構成は,婦長1名,看護主任1名,副主任1名,看護婦10名(全員正看護婦),補助者3名.

 病棟の特徴としては,外科系のあらゆる科の患者が入院して来る。毎日3-4例の手術が行なわれる。35床のうち4床はICU的に使用しているため,患者の移動が激しい.

  • 文献概要を表示

 これは患者をめぐって,院内の看護婦が外来看護婦を通じて家庭訪問を行なう過程から(退院後の家庭訪問),通院・入院・手術・退院までの諸問題について,また院内のあらゆる職種を通じての看護の活動を実際のケース・スタディーとして,その効果を提出したものである.

 ここに‘看護の専門性は,その活動をうちたてる,本質的に科学的わく組みを広げる試みだけでなく,持続的に患者のあらゆる側面を補える方向に,その欠除の部分を新しく発見する看護研究のアプローチが必要である,と述べている.

カラーグラフ 職場のユニホーム・7

  • 文献概要を表示

私たちはユニホームというとすぐ機能的な面のみを考えがちである.単なる作業着という考えから脱皮し美しく着こなすこともたいせつな要素である.そこから看護婦というプライドが生まれてもよいと思うのである.

カラーグラフ アイディア

  • 文献概要を表示

 腹膜灌流は1回の治療に8-9時間を必要とし その間患者は同一体位を保持しなければなりません.そのため行動の不自由はもちろん 肉体的苦痛や精神的束縛感は看護上の大きな問題点です.

 そこで従来の治療法を検討し カテーテルの固定方法と無菌的処置について改善してみました.その結果は良好で 患者は写真に見るように 横向きで読書を楽しんだり 立ってトイレに行ったりすることができるようになりました.

カラーグラフ 人体臓器の正常と異常・12

呼吸器系(4) 金子 仁
  • 文献概要を表示

肺結核 昔ほど恐れられなくなったし 少なくもなった.これはストマイ・パス・アィナーなどのお陰である.結核で死亡する人も減り 偶然発見する例の方が多くなった.結核は肺を犯すことが最も多く 肺尖部に病変を作ることが多い.灰白色の結節を作り 時に中心が崩れて空洞を形成する.病変部をチール・ネルゼン染色で染めると赤く染まった結核菌が認められる.

グラフ 看護界ニュース

  • 文献概要を表示

 さる2月3日 ドイツ・ハンブルグから看護視察団103人が来日した.

 一行は北ドイツ看護協会のシュラッター女史を団長とする看護婦さんたちで ハンブルグ州政府健康研究所長 ケルガー博士などが同行している.

  • 文献概要を表示

 天理よろづ相談所(天理市三島町200 所長 諸井慶五郎 院長(身上部長)山本俊平)は天理教団により昭和41年4月 天理教の教理に基づいて ただ単に病人の診療にあたるだけでなく 健康な人々の医療・信仰・生活上のあらゆる相談に応じ その世話をすることを目的として開設されに.病院(病気のある家)ということばの暗い響きを避け‘病いの治療を受け 身も心も休め憩う場所という明かるい響きを強調して“憩の家”と名づけられており この名で信者たちだけでなく近県の々からも親しまれている.

 憩の家は身上部(肉体的 精神的な各種疾患の診療と研究にあたる部門)と事情部(一身上や家庭の事情 苦情など悩み事の相談を引受け 信仰的な指導・解決を図る部門) それに世話部(医療経済入院・退院後の問題から職業の選択 結婚相談まで生活上の相談に応じる部門)との3部門から成り立っており この3部門の密接な連繋のもとに医学 信仰 生活を結びつけ 悩み病める人々を根本的に救うことで“陽気ぐらし”(天理教の教えによる人間の理想的なくらし)の実現をめざしているのである.いいかえれば 身上部はいわゆる病院 事情部は信仰的な精神面からの救済をはかる部門世話部は医療社会事業部あるいはケースワーカーの担当する部門としての役割を分担しているといえよう.

連載 看護の原点“助力論”・3

  • 文献概要を表示

自分自身が許せない

 Aさんに話をもどしましょう.

 Aさんがわが母わが子をいつくしむ心の本筋を見失い,ひたすら死児の齢を数えるばかりの苦悩に満ち満ちた現状をお話してきました.

連載 看護関係の心理・3

  • 文献概要を表示

VIP患者でお手上げ

 ある精神科病院の特別室に某会社の社長が入院した。年齢は50歳ちょっとだが,社会的にはなかなかの実力者で,院長も個人的に恩義のある人物である.

 病気は,ノイローゼと軽度のアルコール中毒.たいへん緊張した仕事場面で,不安発作(心臓がドキドキし,息苦しくなり,今にも死んでしまうのではないか,という恐怖に襲われる)を起こして入院してきたのであるが,同時に,不眠症があり,それをまぎらすための毎晩のアルコールが習慣性になって,肝機能がよくないのに,どうしても飲んでしまう.

連載 死と看護・3

真実を知る権利(1) 河野 博臣
  • 文献概要を表示

医師は真実を告げる義務があるか

 医療的診断を行なったときに,患者に対して真実を告げるべきであるかどうかという問題は,医師が患者に対しての配慮(care for)と,自分の患者に対する義務を果たすことができるかどうかという問題であります.この問題の重要な点は,医師が自分の下す診断と,その予後についての義務は何であるかということであります.

 医師はたとえ患者を傷つけても真実を示すべきであるという道徳的義務があるのか,また患者は医師に対して真実を告げることを要求する権利があるのか.医師だけは診療のたびごとにウソをついてもよい,というこの問題は,古くから絶えず問われてきた問題であり,このことについて,今日まであまりはっきりした研究がなされていない現況であります.

連載 看護のための集団力学入門・12

意思疎通の構造 岡堂 哲雄
  • 文献概要を表示

相互作用の観察

 家庭や職場などの集団のなかで人びとは,自分の気持ちや考えをほかの人に伝えようと努めている.どんな集団であっても,そのなかの人びと相互の間に意思の疎通が妨害されたり,伝達手段が僅少になったりすると,集団の機能は停滞してしまう.だから,その集団を発展させようと望む人や指導的な地位を占める人は,どうすれば人びとの間の交互作用や意思の疎通が十分に営めるかで頭を痛めることになる.

 病棟看護婦は,受け持ちの患者が示している態度や行動を知覚し,その底にひそむ願望やニードを理解しようとするばかりでなく,彼女自身のことばや行動によって治療的意図を伝えようとしている.

連載 医学と文明・3

老人医療 水野 肇
  • 文献概要を表示

 この半年来,老人問題が急にクローズ・アップされてきた.1973年のテーマしとて‘老人年金’と‘老人医療の無料化’が行なわれることは確実になってきた.いささかおそきに失した感もあるが,それでも大きな関心と期待が寄せられていることをみても,前進であることはまちがいない.

 だが,老人問題は,よほどよく考えてから実施しないと,大きな失敗をおかす危険性がある.老人年金のほうは,ともかく食べていけるだけの支給が行なわれることが最もたいせつなことで,そこに中心がおかれているかぎり,根本的な点であやまちをおかすことはないと思うが,老人医療のほうは,そうはいかないのではないかと思う.老人医療を無料化することによって,老人医療は安心だと考えるとすると,それはきわめて危険なことだといわねばなるまい.

  • 文献概要を表示

 病院の開設者のうち市町村,医療法一人,個人がもっとも多く,これらが3本の柱をなしている.50-99床病院は数が多く,わが国では主役的役割りを演じている.図には国立病院も加える.

 比は1970年個人,医療法人にもっとも大きく2.5,ついで市町村の2弱,国立病院は0.2程度である.動向をみると個人と医療法人とが平行して走り看護婦数も准看護女帝数もともに激増し,とくに後者の増加か大きい.市町村では,この規模では,はじめ看護婦数が減少し准看護婦数のみ増加したが,最近両者がともに平行して減少するようになった.病院そのものが減少している.国立も,はじめ准看護婦数のみが増加したが最近看護婦数が増加し,准看護婦数は横ばいとなった.

2色ページ 老年病学・3

  • 文献概要を表示

ここにあげた4つの病気は,いわゆる‘老人病’のなかでも代表格の病気である.しかし老人だけの病気ではなく,むしろ中年からはじまる病気である.中年からはじまっているが,老人になってはじめてはっきりした症状がでる病気(動脈硬化症)とか,逆に老人になると症状はかえって典型的でなくなり診断がつきにくい病気(心筋硬塞)もある.

 ここでは個々の病気そのものについて述べるのではなく,老人にこれらの病気が起こるとどんな特徴があるか,また同じ病気でも中年に起こるときと,老人に起こるときとではどんな違いがあるか,という立場からこれらの病気をながめてみる.

2色ページ 臨床薬理学・15

急性薬物中毒とその処置 保刈 成男
  • 文献概要を表示

 中毒には,体外からの種々の化学物質ないし動植物性毒物によって生体に障害のおこる外因性中毒と,体内代謝産物によって障害される尿毒症のような内因性中毒とがある.薬物中毒とは一般に,明らかに化学物質と認められるものの摂取によって生体の生活機能がおかされ,ときに生命に危険の及ぶ状態をいう.

 ここで述べるのは,急性中毒についてである.急性中毒は摂取量が過大のときとか,少量でも生体の感受性が大きいときにおこる.

2色ページ ナースと臨床検査・8

  • 文献概要を表示

骨髄穿刺検査

 骨髄と造血

 骨髄は全身の骨格の髄腔を満たしており,その重量は体重の4.6%とされている.骨髄のもっとも重要な働きは造血であり,図1のように赤血球系,顆粒球系,血小板系の3種の血球がここでつくられ,成熟して末梢血に送り出される.これらの細胞の各々単独に減少した場合が,慢性赤芽球癆(狭義の再生不良性貧血),無顆粒細胞症,血小板減少性紫斑病であり,3種の血球がすべて減少した状態が再生不良性貧血である.

2色ページ ライフサイエンス入門・3

大脳生理学からみた生命 時実 利彦
  • 文献概要を表示

最近わが国で,ライフサイエンスという言葉が脚光を浴びてきている.ライフサイエンスとはどんな学問であるかということについては,この連載のはじめに述べられているので,今更これについて触れる必要はないが,ライフサイエンスの究極の目標は,‘人間生存の理法’を解明することであるという私の基本理念を述べることにとどめて,私に与えられた題,すなわち,脳の仕組みからみて生命をどのように理解したらよいかということについて私の考えを述べよう.

基本情報

03869830.37.3.jpg
看護学雑誌
37巻3号 (1973年3月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

文献閲覧数ランキング(
3月23日~3月29日
)