連載 死と看護・3
真実を知る権利(1)
河野 博臣
1
1河野胃腸科・外科医院
pp.370-375
発行日 1973年3月1日
Published Date 1973/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916603
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医師は真実を告げる義務があるか
医療的診断を行なったときに,患者に対して真実を告げるべきであるかどうかという問題は,医師が患者に対しての配慮(care for)と,自分の患者に対する義務を果たすことができるかどうかという問題であります.この問題の重要な点は,医師が自分の下す診断と,その予後についての義務は何であるかということであります.
医師はたとえ患者を傷つけても真実を示すべきであるという道徳的義務があるのか,また患者は医師に対して真実を告げることを要求する権利があるのか.医師だけは診療のたびごとにウソをついてもよい,というこの問題は,古くから絶えず問われてきた問題であり,このことについて,今日まであまりはっきりした研究がなされていない現況であります.
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