マイ・オピニオン
患者の訴え
嶋尾 重乃
1
1山口赤十字病院
pp.291
発行日 1973年3月1日
Published Date 1973/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916588
- 有料閲覧
- 文献概要
患者の心的状態や身体的状態は‘訴える’という形で表現される.この訴えが,診断の基礎になって,検査や治療が行なわれたり,この訴えをきっかけとして,看護上の問題点をとらえ,援助活動の支点を見いだすことになると考えれば,臨床のなかではたいへん重要なことである.しかし実際の場面で‘患者の訴え’をどのように受けとめ,どのような処理のしかたをしているかと考えると,多くの疑問がわく.
訴えの内容や方法は多岐にわたり,訴え方も患者1人1人の性格・教養・環境などの違いによって個人差があるのは当然だと心得,人としての患者理解の必要を感じながらも‘訴え’を受けとめるときは,きわめて単純に,事務的に,観念的に,またある場合は主観的に患者の一側面のみをとらえて処理をする傾向がわれわれにはある.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.