連載 看護関係の心理・3
いわゆるSpecial patientをめぐって
小此木 啓吾
1
1慶応義塾大学医学部
pp.348-352
発行日 1973年3月1日
Published Date 1973/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916597
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VIP患者でお手上げ
ある精神科病院の特別室に某会社の社長が入院した。年齢は50歳ちょっとだが,社会的にはなかなかの実力者で,院長も個人的に恩義のある人物である.
病気は,ノイローゼと軽度のアルコール中毒.たいへん緊張した仕事場面で,不安発作(心臓がドキドキし,息苦しくなり,今にも死んでしまうのではないか,という恐怖に襲われる)を起こして入院してきたのであるが,同時に,不眠症があり,それをまぎらすための毎晩のアルコールが習慣性になって,肝機能がよくないのに,どうしても飲んでしまう.
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