総合リハビリテーション 42巻7号 (2014年7月)

特集 地域社会におけるリハビリテーション

今月のハイライト
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 地域包括ケア・システムの整備が課題となるなかで,患者への直接的な関与にとどまらない,地域における介護予防事業や,退院後の関わりにおける間接的な関与もリハビリテーションには役割として期待されています.本特集では,地域社会におけるリハビリテーションを多面的に取り上げました.

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はじめに

 今後15年間,75歳以上の高齢者(以下,後期高齢者)の急増が予想されている1).後期高齢者は,医療や介護サービス,見守りなどの生活支援,住まいの確保など,日常生活を安心・安全に送るうえでのさまざまな支援を必要とするため,これらサービスや支援が,日常生活圏域のなかで包括的・継続的に提供される仕組み,いわゆる地域包括ケアシステムの構築が,現在,重要な政策課題となっている.

 さて,本稿の目的は,地域包括ケアシステムのなかでリハビリテーション職に期待される役割について言及することにあるが,そのためには,同システムが求められている背景や制度改正の動向について理解しておく必要がある.

 そこで,まず,制度見直しに大きく影響する人口構造の変化の特徴と,医療・介護サービス提供体制に及ぼす影響について解説する.次に,地域包括ケアシステムの概要と医療・介護制度改正のポイント(リハビリテーション関連)について解説する.最後に,地域包括ケア構築上の諸課題のなかから,① 退院支援の機能強化,② 自立支援型ケアの推進,③ ケアマネジメントの機能強化に着目し,同領域においてリハビリテーション職に期待されている役割と課題について私見を述べる.

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はじめに

 生駒市は,2006年の介護保険法改正で介護保険制度に位置づけられた介護予防事業の取り組みを通じて,要支援・要介護認定の手前の虚弱高齢者が,介護予防事業で元気になった後,今度はボランティアの側にまわって,地域で体操教室などを運営し,社会参加しながら活動的な状態を維持できる流れをつくってきた.介護予防事業で元気になった先輩高齢者の姿は,次に続く後輩高齢者にとって励みになり,通所は介護予防の主要な柱となった.

 一方で,家事などの生活行為に支障を来している場合は,通所ではその実情がみえない.生活場面を評価し,居住環境を調整する必要があるが,これまでの介護予防事業では,この訪問の機能が不十分であった.厚生労働省の2012年度から2年間のモデル事業「市町村介護予防強化推進事業(予防モデル事業)」は,通所と訪問を組み合わせて要支援者等の自立を支援するというものであり,これは,生駒市の抱えている課題にマッチするものであった.

 予防モデル事業の取り組みを通じて,地域包括支援センター職員と理学療法士(PT)または作業療法士(OT)の同行訪問や,合同ケースカンファレンスが定着し,リハビリテーションの視点が,要支援者等の自立支援に大いに役立ったので,取り組みの一連の流れと得られた結果について報告する.

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はじめに

 健康寿命の延伸と要介護者の減少に向けた取り組みは日本のみならず世界的な課題である.

 わが国では,2000年度の介護保険制度導入以降,要支援・要介護者は増加の一途をたどっている.厚生労働省は,2006年度に要介護状態の重度化や進行防止のみならず,健康づくりを意図した介護予防重視の施策を打ち出し各種事業が推進されている.介護予防の考え方の1つが「機能訓練等の高齢者本人へのアプローチだけではなく,生活環境の調整や,地域のなかに生きがい・役割をもって生活できるような居場所と出番づくり等,高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチ」である1)

 したがって,運動機能の低下や低栄養などで要支援・要介護状態となる可能性のある高齢者を対象としたハイリスク戦略(二次予防事業)と,地域住民全体を対象として健康づくりに向けた行動の変容や社会参加を促進するポピュレーション戦略(一次予防事業)を併用した介入が不可欠である.理学療法士(PT)や作業療法士(OT)は,ハイリスク者を対象とした介入には馴染みがある.しかしながら,ポピュレーション戦略による地域介入とその効果に関する検証を試みているセラピストは少ないのが現状である.

 本稿では,愛知県知多郡武豊町(以下,武豊町)で取り組んでいるポピュレーション戦略による介護予防を目標にした武豊プロジェクト2)について,その概要,「憩いのサロン」(以下,サロン)事業の経緯,OTの関与,これまでの横断および縦断分析結果に基づく介護予防効果と今後の課題を紹介する.

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はじめに

 「在宅医療・介護元年」も3年目を迎え,2025年に向けて,在宅ケアの充実・システム化が,国・自治体によって,全国で,急速かつ積極的に進められている.そのなかで,医療機関・施設はそれぞれ自らの立ち位置を模索しつつ,変革を余儀なくされている.

 筆者は,回復期リハビリテーション病棟での勤務を中心に,医療・介護・福祉の連携や在宅医療にもリハビリテーション科医の専門性を活かしてできるだけ関わってきた.

 地域社会における回復期リハビリテーション病棟の役割と可能性について検討を進める一材料として,金沢脳神経外科病院回復期リハビリテーション病棟の取り組みを紹介する.

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はじめに

 病気になっても,生活の支えが必要になっても,家族友人がいる住み慣れた地域で,慣れ親しんだ文化や行事や四季の移ろいを感じながら老いたいと思うのは多くの日本人に共通している.しかしながら,これを可能にするには,医療と介護の行政区分の相違や,多種類の機能分化した医療介護施設から利用者が選択するなかで,容易なことではない.寝たきりや認知症になると,遠い施設にお願いするといった慣行は,過去のものではない.生活圏でのケアは「地域包括ケア」と呼ばれるが,在宅生活を支援するためには,医療と介護の一体的サービスをアレンジできる「センチネル拠点」が必要である.そこで本稿では「老健」がその候補として可能か論ずる.

 2014年の診療報酬改定ほど,介護老人保健施設(以下,老健)が注目を浴びた年はないといえる.まず,老健において開発された認知症の非薬物療法である認知症短期集中リハビリテーションが,診療報酬上も算定が認められることとなった.介護保険のなかで生まれたリハビリテーションが医療保険に採用された前例はなく,画期的なことといえよう.また,急性期病棟などの医療機関からの退院患者の受け皿として,在宅復帰・在宅療養支援型老健が指名を受けることとなった.さらに,「介護保険リハビリテーション移行支援料」が新設され,リハビリテーションにおける医療保険から介護保険へのスムーズな移行が評価された.今後は,維持期リハビリテーションの担い手として,老健のもつ通所リハビリテーション,訪問リハビリテーション,個別リハビリテーションといった機能に期待が集まるのは間違いない.

 今回の診療報酬改定で明らかになったのは,徹底した「在宅指向」であろう.わが国の医療保険と介護保険の財政状態が逼迫していることは衆知の事実であり,超高齢化社会を迎えようとしているこの時期にこのような方向性が示されたことは意義深い.医療の分野では早期退院による入院費の削減,介護の分野では退院後の在宅生活を支える効率のよいサービス提供が求められることになる.そして,今注目されている 「地域包括ケアシステム」を整備するためには,医療と介護の垣根をなくしていくことも重要と思われる.

 本稿では上記を踏まえ,老健とその環境変化および現状を述べたうえで,老健いこいの森(以下,当施設)の取り組みに続き,全国老人保健施設協会(以下,全老健)の取り組みについても紹介する.

巻頭言

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 卒業後いろいろな科を研修で回り,横浜市立大学病院のリハビリテーション科に入局して7年ほどたったある日,当時ご健在だった大川嗣雄先生に呼ばれて「こども病院のリハビリテーション科に行くように」と突然言われ,病棟をもたない1人職場のリハビリテーション科長になってしまった.前任の陣内一保先生のように整形外科医師としてのバックグラウンドをもっていなかったので,初めは自身の立ち位置がよく理解できず混乱の毎日が続いた.初日からいきなりNICUに呼ばれ,掌に載ってしまうような赤ちゃんの呼吸や動きを眺めたり(評価ではありません),重症心身障害児施設では心底驚くような大変な状況の子に出会ったり,病棟では文献で微かに知っているような病名をもつ子とお話したりした.日々付焼刃の勉強を必死で続けて,何とかそれらしいカルテを書いて凌ぐのがやっとであった.

 しかし半年ほどの嵐の時期が過ぎてようやく落ち着いてくると,今度は「リハビリテーション医って何?」という恐ろしい疑問に苛まれるようになった.自分がどんな評価をし,どんなプランを立てようと,それとは別の世界でベテランの理学療法士(PT)や作業療法士(OT)がすべてよろしくやってくれてしまうような気がし始めたのである.また保護者にとっては,子どもの具合が悪くなった時に薬を出したり入院させてくれる病棟をもつ主治医のほうがずっと頼れる存在であるのは間違いない.それなのに私はなぜ毎日こんなに忙しいのかと悩んでいるうちに,とうとう「そうか私は便利な隙間家具だ」という結論に達した.実際,日々の自分の仕事が病院にとって死活的に重要という自信はまったくもてなかった.そこで私は悩んだ末に開き直り,「いっそ超便利な隙間家具になろう!」と決心したのである.「そもそもリハビリテーション医とは」などということは一切考えず,病棟の当直や処置当番,筋電図や嚥下造影検査などにもぐりこみ,手術以外のことは何でも引き受けた.そのうちに各科の医師や看護師とだんだん親しくなり,勉強会やカンファレンス,研究活動にも誘ってもらえるようになった.また,リハビリテーション医にとってとても大切なチームの構成員であるPT・OTに対しては,彼らが何に困っているのかよくアンテナを立てるようにした.徐々に各科の仕事のシステムのなかにリハビリテーション医が組み込まれていき,「病院の中で皆と一緒に働いている,役に立っている」と確信できるようになるのに2年くらいはかかっただろうか.

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はじめに

 回復期リハビリテーションとは,急性期を脱し,リハビリテーションを集中的に行うことによりさらに効果が期待できる患者に対して,日常生活動作(activities of daily living;ADL),歩行の自立などを目的として,理学療法,作業療法,言語聴覚療法などを行う医療である1).回復期リハビリテーション病棟には専任の医師とリハビリテーションスタッフが配置されており,看護師,介護職員,ソーシャルワーカーなどを含め異なった複数の専門職から構成される質の高いチーム医療を行うことができる.そのため,集中的なリハビリテーションによって,自宅への退院を推進することが期待されている2).いわば生活の場における実用的なADL能力の獲得を目的とするのが回復期リハビリテーション病棟である.しかし,ADLの向上が,必ずしも患者の在宅復帰につながるものではなく,家族構成や家屋構造,社会的背景,病態などさまざまな因子が転帰先の決定に影響を及ぼすため,画一的な在宅復帰の基準を設けることは困難である.本稿では,回復期リハビリテーション病棟から在宅復帰の可能性を高めるための要因と方策について述べる.

実践講座 排泄障害・第3回

排尿障害への対応 西村 かおる
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はじめに

 普段,何気なく排尿をしているが,実は非常に複雑な連続した動作であり,高い能力が必要である.正常な排尿は表1に示すように ① 尿意の知覚,② トイレ,便器の認識,③ 起居・移乗・移動,④ 衣類の着脱,⑤ 便器へアプローチ,⑥ 排尿,⑦ 後始末を連続してスムーズに行う必要がある.これら一つ一つの動作は生活上の基本となる動作であるため,それらがすべて組み合わさった排泄にしっかり関わることは日常生活が全体に影響を及ぼす.つまり,移動,更衣,保清,そして補水が適切でないと排尿もトラブルをかかえることになる.また排泄動作を行う機能としては判断力・認知がしっかりしていること,移動や,更衣など運動機能が保たれていること,そして尿を溜めて出す泌尿器,つまり膀胱・尿道が正常であることが必要である.

 排泄障害を考えるとき,これらの条件のどこに問題があり,その結果排尿動作の何ができないのか,どうしたらできるようになるのかを考えていくことが大切である.そのためには,正常を熟知して,生活の視点を意識することが重要である.本稿では,この視点から排尿障害への対応を検討したい.

実践講座 福祉用具の選定と適合・第1回【新連載】

現状と課題 宮永 敬市
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はじめに

 措置から契約への転換となった介護保険制度が2000年4月に施行されてから14年が経過し,この間,制度上の課題を整理しつつ,いくつかの変遷を経て制度としては熟成期に入ったところである.介護保険制度は,高齢者を社会全体で支え合い,利用者がサービスを選択できる仕組みとして,わが国の社会保障制度の変革をもたらしてはいるが,解決すべき課題も多くみられている.

 今回,利用者の自立を支える上で重要な要素である生活環境の観点,特に福祉用具に関してその現状と課題について整理し,今後の方向性について述べる.

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要旨:達成動機とは,自分にとって価値のある目標をやり遂げようとする意欲であり,リハビリテーションにおいても重要であると考えられる.これまで筆者らは,リハビリテーションで達成動機を評価する試作版尺度を作成した.本研究は,試作版尺度の妥当性,因子構造,信頼性の検討を行うことを目的とした.対象者は,病院でリハビリテーションを受ける整形外科疾患患者193名.方法は,対象者に試作版尺度と達成動機測定尺度を実施し,試作版尺度は2週から1か月に再度実施した.その結果,併存的妥当性,再テスト信頼性,内的整合性が良好に確保された2因子10項目の尺度が完成した.因子構造は,目的行動に基づく自己研鑽的達成動機と,方法や過程を重要視する方法志向的達成動機の2因子が互いに影響し合う斜交モデルが採用された.この尺度を用いることにより,クライエントの達成動機を理解でき,達成動機の状態に応じた支援が促されることで,より質の高いリハビリテーションを行うことができると考える.

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要旨:〔目的〕Balance Evaluation Systems Test(BESTest)を用いて地域在住中高年者のバランス機能を評価し,加齢による変化,転倒歴との関連について,検討を行った.〔対象〕市民祭りの健康ブースに参加した地域健常中高年者183名(平均67.1±6.1歳)を解析対象とした.〔方法〕中年群,前期高齢者群,後期高齢者群の3群間および転倒歴を有する群と有さない群の2群間において,総得点率およびセクションごとの得点率を比較した.〔結果〕全得点率では,中年群と前期または後期高齢者群それぞれの間において有意差が認められた.また,セクションごとの解析では,セクションⅢ(姿勢変化-予測的姿勢制御)とセクションⅥ(歩行安定性)においてどの年代間においても有意差が認められた.転倒歴の有無では総得点において群間に有意差が認められ,セクションごとの比較ではセクションⅢにおいて有意差が認められた.〔結語〕地域在住中高年者に対しBESTestを行い,加齢および転倒歴と関連するバランス要素を明らかにした.その結果,加齢および転倒,双方に関連するバランス要素として,予測的姿勢制御が抽出された.

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はじめに

 脳卒中後の痙縮の有症率は発症から12か月経過した後も39%に至ると報告されており1),疼痛の出現や運動機能が阻害されることが問題視されている.欧米では痙縮に対してボツリヌス毒素製剤投与が広く用いられており,リハビリテーションプログラムの一部として機能するべきである,とガイドラインの基本原則に記載されている2).本邦でも2010年10月末よりA型ボツリヌス毒素製剤投与が承認され,その治療報告やリハビリテーションを組み合わせた介入前後の短期経過観察は散見される.しかし,6か月以上の長期経過観察報告についてはいまだ報告は不十分である.

 今回われわれはA型ボツリヌス毒素製剤投与後に2週間のconstraint-induced movement therapy(CI療法)を施行し,1年間の経過観察を実施した1症例を経験した.結果,介入前後,そして介入後1年間にわたり良好な改善を得た.また,A型ボツリヌス毒素製剤投与後に改善した異常筋緊張(痙縮)は,1年後にもその改善を維持しており,1年間の経過観察において,重ねてボツリヌス毒素製剤が投与されることはなかった.本稿では,A型ボツリヌス毒素製剤投与とその後のCI療法,そして,介入後から1年間の長期経過観察について報告する.

集中講座 臨床研究倫理ことはじめ・第7回

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臨床研究の安全性確保

 「臨床研究に関する倫理指針」(以下,「指針」)では,臨床研究に伴う危険が予測され,安全性が十分に確保できると判断できない場合,研究責任者は原則として研究を実施してはならないことを規定しています(第2-2(2)).この規定は,研究協力者(被験者)はもちろん,研究に関わるすべての関係者や実施機関,さらには社会全般に対する安全の確保について,研究責任者の責務を明確に示したもので,臨床研究の立案や準備の段階のみならず,開始後も研究終了までの間,常に意識すべき重要な点です.

 臨床研究にはさまざまな種類がありますが,既存の試料等(サンプルおよびデータ)を利用して行う観察研究や,新規に診療目的で収集される試料等の一部の提供を受けて実施する観察研究では,研究協力者のリスク(不利益)は,通常「プライバシー侵害の可能性」に限定されます.このリスクを最小化する手段として,試料等の匿名化が重要となることを先に述べました(本連載第4回,第5回).

連載 スプリント治療のテクニック

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 近年,脳卒中片麻痺上肢に対して,hybrid assistive newromuscler stimulation therapy(HANDS)療法やconstraint-induced movement therapy(CI)療法,経頭蓋磁気刺激などさまざまなアプローチが考案され,その効果が報告されている1,2).脳卒中片麻痺上肢におけるスプリントも,治療手段そのもの,または治療の補助として,いずれにおいても,適切に使用することで,有効な治療手段の1つとなりうるものである.作成技術だけでなく,適応の選択から作成,装着,効果の検証,そして修正と終了判断まで,スプリント療法の構築から実施に至る細かなアプローチを実施できることが重要である.

連載 印象に残ったリハビリテーション事例

お裾分け 稲川 利光
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ショウちゃんコール

 告別式が終わり,納棺を済ませた棺は寺の本堂から静かに運ばれていく.

 目の前を通り過ぎる棺に向かって,「ショウちゃん……」,「ショウちゃん……」と会葬者が声をかける.

Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション

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 藤沢周平の『半生の記』(文藝春秋社)は,『藤沢周平全集』の月報に平成4年から6年にかけて連載され,平成6年9月に単行本化された作品であるが,この自伝には藤沢周平という作家が誕生するにあたって病いが大きな役割を果たした様子が描かれている.

 昭和2年に山形県黄金村(現鶴岡市)の農家に生まれた藤沢は,昭和24年に山形師範学校を卒業した後,湯田川村の中学に赴任する.しかし,昭和26年,学校の集団検診で肺結核を指摘されたため,昭和28年に上京して,保生園病院で三度にわたる手術を受けることになる.昭和32年,退院を間近に控えた藤沢は,たびたび帰郷して就職先を探すが,結核をわずらった彼に再就職の道は厳しかった.そんなある日,藤沢はかつての上司で胃の手術を受けたばかりの元校長小杉重哉を見舞いに訪れたが,そこで小杉は,藤沢の才能を生かすには東京が一番だと語ったという.かつての上司は,藤沢の文学的な才能を見抜き,田舎で職を探すよりも,東京に出て文筆で身を立てることを勧めたのである.

Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション

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 「鈴木先生」(監督/河合勇人)は,中学校において,おとなしくもまじめに教師の言葉に従っていた生徒の暴発,異議申し立てを描いている.

 学校で目立つのは,手のかかる不良群,発達障害など特別な配慮を必要とする要支援群,上位層を形成する発信力旺盛群の生徒である.これら三大勢力以上の規模で存在しているのが,黙々と日々を過ごしている中間層である.例えて言うなら,学園ドラマにおける主要登場人物の背景にいる者たちで,学校秩序の守り手だが,特段評価されることはない.

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文献抄録

投稿規定

投稿および著作財産権譲渡承諾書

次号予告

編集後記
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 最近,認知症のニュースが多くメディアで取り上げられています.TV番組で紹介されたことがきっかけで,夫と7年ぶりに再会した認知症女性が話題になったり,徘徊中の列車事故で遺族に損害賠償が命じられたというニュースも記憶に新しいところです.

 このような殺伐とした話題が多いなか,ちょっと前にラジオで耳にしたお話.ドイツの老人ホームでは徘徊対策として施設の前に「偽のバス停」つくる方法が広まっているそうです.施設を飛び出した患者は目の前にある「偽のバス停」でバスを待つ.でも偽のバス停ですからバスが来るはずはありません.そこで,施設の職員が「寒いから中で待ちましょう」などと声をかけ患者を施設に連れ戻す.そのうち患者は出かけようとしていたこと自体を忘れてしまう…….少し切ないですが,お年寄りの気持ちを尊重した優しいアイデアです.

基本情報

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総合リハビリテーション
42巻7号 (2014年7月)
電子版ISSN:1882-1340 印刷版ISSN:0386-9822 医学書院

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