小児外科 57巻2号 (2025年2月発行)

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特集　臓器損傷治療の工夫

【総論】

小児腹部実質臓器損傷の臨床的特徴長野　綾香 , 杉田　光士郎 , 川野　孝文 , 春松　敏夫 , 田畑　有弥子 , 祁答院　千寛 , 鶴野　雄大 , 村上　雅一 , 矢野　圭輔 , 大西　峻 , 家入　里志 57巻2号 , 2025年2月 , pp.109-112

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はじめに

　外傷は小児における死因の大多数を占め，小児外傷の約25％において腹部外傷をきたす^1）。小児の腹腔内は実質臓器の容積率が高いことに加え，胸郭や肋骨弓が未発達であるため外力を受けやすいといった解剖学的特徴から，実質臓器損傷をきたしやすいとされているが^2），小児腹部実質臓器損傷に対する明確なガイドラインなどはいまだ確立されていない。本稿では，南九州エリアの小児外傷診療を担う2施設における小児腹部実質臓器損傷の臨床的特徴^3）について，若干の文献的考察を加えて報告する。

単施設における小児腹部外傷に対する治療成績の後方視的検討松寺　翔太郎 , 鈴木　完 , 渡邊　峻 , 荻野　恵 , 畑中　政博 57巻2号 , 2025年2月 , pp.113-116

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はじめに

　小児腹部外傷の多くはnon-operative management（NOM）が可能であるが，治療への反応が乏しい場合には緊急手術を要する。獨協医科大学病院（以下，当院）は栃木県南部に位置する大学病院であり，2010年からは栃木県ドクターヘリの基地病院としての役割も果たしている。

【周産期】

新生児脾破裂木村　浩基 , 山内　勝治 , 古形　修平 , 岸田　匠平 , 佐々木　隆士 , 米倉　竹夫 57巻2号 , 2025年2月 , pp.117-121

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はじめに

　新生児脾破裂はまれな病態であるが，その多くが分娩外傷によるものとされ^1,2），時に腹腔内出血から出血性ショックをきたす。本稿ではわれわれが経験した新生児脾破裂の2例を提示するとともに，本病態の原因，症状，診断，治療などについて述べる。

【呼吸器】

気管損傷を伴う気管切開チューブの逸脱・迷入による気胸，縦隔気腫，腹腔内気腫安部　孝俊 , 林　健太郎 , 野村　皓三 , 酒井　清祥 57巻2号 , 2025年2月 , pp.122-125

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はじめに

　小児の気管切開術後に合併症が起こる頻度は高く18.7％の症例で発生するという報告もあるが^1），その内容は軽度のものから致死的なものまでざまざまある。術後早期では創部感染，皮下気腫やチューブの再挿入困難など，手術そのものの影響や気管切開孔が安定していなことなどが原因となるものが多く，術後晩期では肉芽形成などチューブの接触や感染を繰り返すことが原因となるものが多い。

重度の外傷性気管支断裂に対してECMO管理下に気管支形成を施行し救命しえた1例筒野　喬 , 津坂　翔一 , 小川　祥子 , 近藤　靖浩 , 納屋　樹 , 竹添　豊志子 , 出家　亨一 , 水田　耕一 , 川嶋　寛 57巻2号 , 2025年2月 , pp.126-132

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はじめに

　外傷性気管支損傷は胸部外傷の0.8～2％にあたり，まれな外傷であるが，致死率が高く重篤な経過を辿る症例が多く報告されている^1,2）。今回，交通外傷による高度な外傷性気管支損傷に対してECMO下に気管支形成を施行し，生存を得た1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。

【消化管】

食道裂孔ヘルニアに起因した胃穿孔術後の多発腹腔内膿瘍を伴う創感染・腹壁離開に対し，AbThera^TMドレッシングキットを用いた腹部開放管理が有効であった1例笈田　諭 , 東間　未来 , 益子　貴行 , 清水　徹 , 渡邉　揚介 , 清水　咲花 , 矢内　俊裕 57巻2号 , 2025年2月 , pp.133-138

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はじめに

　食道裂孔ヘルニアは，成人領域では日常診療でよく遭遇する疾患であり，無症状または軽度の胃食道逆流症状を呈するのみで積極的な治療を要さないことが多い^1）。緊急手術に至る症例はまれであるが，緊急手術の原因が穿孔であった場合には手術死亡率が60％まで上昇するとの報告もある^2）。今回われわれは，食道裂孔ヘルニアに起因した胃穿孔に対し緊急手術を行い，術後に創感染・腹壁離開・多発腹腔内膿瘍を合併したものの，AbThera^TMドレッシングキットを用いた腹部開放管理を行って救命しえた症例を経験したため，文献的考察を加えて報告する。

胃破裂ならびに胃穿孔の臨床経過と治療海老原　統基 , 吉田　真理子 , 八尋　光晴 , 森田　香織 , 柿原　知 , 高澤　慎也 , 藤代　準 57巻2号 , 2025年2月 , pp.139-143

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はじめに

　小児の胃十二指腸穿孔はまれであり，特に幼児期以降の報告は少ない^1）。胃十二指腸穿孔をきたすと致死的な経過をたどることもあり，救命には適切な加療が必要である。

外傷性空腸穿孔に対する腹腔鏡手術久山　寿子 , 曹　英樹 , 吉田　篤史 57巻2号 , 2025年2月 , pp.145-147

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はじめに

　小児の腹部外傷は，小さな外力でも重大な損傷になりやすい一方で，初期症状が軽微であったり，正確な所見がとりにくかったりといった小児ならではの特殊性から，早期診断が困難なことがある。鈍的損傷が多く固形臓器に多くみられるが，腸管損傷の場合，腹膜刺激症状などの理学所見に乏しいことやfree airが確認できない場合も少なくないことが，さらに診断を難しくしている。

鈍的腹部外傷後の遅発性小腸狭窄三好　きな , 林田　真 57巻2号 , 2025年2月 , pp.148-152

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はじめに

　鈍的腹部外傷に伴う消化管・腸間膜損傷において，まれに受傷直後の腹部症状が比較的軽微で無治療もしくは保存的加療でいったん軽快後に，遅発性小腸狭窄（本症）をきたす症例がある^1）。本症では消化管の非完全閉塞による症状であることが多く，保存的加療への反応はよいが根治的な治療とはならず，外科治療を必要とするが，確定診断・治療方針決定に難渋する症例が多い。

受傷から腹痛を認めるまでに時間を要した回腸穿孔の1例畑中　政博 , 神田　恒 , 菊地　健太 , 長谷川　真理子 , 五十嵐　昭宏 , 重田　孝信 , 岡崎　英人 , 土岡　丘 , 鈴木　完 57巻2号 , 2025年2月 , pp.153-155

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はじめに

　腹部外傷による小腸穿孔は比較的まれであり，理学的所見や画像診断とも特異的初見に乏しく，早期診断に難渋することがある。今回，われわれは受傷から腹痛症状を認めるまでに時間を要した回腸穿孔の1例を経験したので報告する。

磁石誤飲による横行結腸穿通加藤　大幾 , 小野　靖之 57巻2号 , 2025年2月 , pp.156-159

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はじめに

　異物誤飲は，6か月から6歳の小児によく起こるが，異物の多くは自然排泄され，緊急摘出や外科的治療を要する症例は多くない^1）。さまざまな異物のなかでも，磁石の誤飲は深刻な問題である。特に，複数の磁石を誤飲した場合，腸管壁を隔てて磁石同士が引き寄せられ，腸管穿孔，閉塞，瘻孔化など，多くの深刻な合併症をきたすことがある^2）。こうした患児のなかには，早期診断や正しい治療を受けられず，より深刻な状況に陥ることもある。

【肝胆膵脾】

肝損傷形見　祐人 , 下野　隆一 57巻2号 , 2025年2月 , pp.160-164

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はじめに

　肝臓は腹部最大の臓器であり，外傷による損傷を受けやすい。肝損傷に伴う大量出血により循環動態の破綻をきたした症例では救命のために緊急手術を必要とする場合があるが，幸いにも肝損傷の85～99％は保存的治療が可能とされている^1）。さらに近年，interventional radiology（IVR）の発展，普及により，肝損傷の治療においては非手術療法（non-operative management：NOM）が選択されることが少なくない。しかしながら，安静度制限や画像的フォローアップなどに関する計画立案が求められるという点はNOMと手術療法に共通しており，実際の具体的な計画については個々の施設の判断に委ねられているのが現状ではないだろうか。そこで本稿では，当科で経験した症例を提示しながら肝損傷の診療に関してNOMを中心に論じたい。

先天性胆道拡張症における胆囊管の高位合流と炎症性の変化が原因で起こった肝門部胆管損傷例小林　隆 , 木下　義晶 57巻2号 , 2025年2月 , pp.165-169

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はじめに

　先天性胆道拡張症（congenital biliary dilatation：CBD）の手術の基本は，拡張した胆管と胆囊を切除し，肝管空腸吻合を行うことである。術式は定型化されているが，手術時の拡張胆管の程度や，胆管周囲の癒着の程度はさまざまであり，症例によって手術の難易度が大きく異なる。そのため，時に思わぬ偶発症を経験することがある。

小児外傷性膵損傷佐々木　隆士 57巻2号 , 2025年2月 , pp.170-174

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はじめに

　小児外傷性膵損傷（本症）は小児全外傷の0.2～0.3％にあたり，まれであるが，多発外傷の一部として，あるいはハンドルバー外傷のような特殊な状況で単独損傷として発生し，しばしば患児の全身状態や外傷治療の経過，治療後のQOLにまで大きな影響を及ぼす^1～3）。膵臓は後腹膜腔で椎体の前面にあり，前方からの外力による圧挫損傷を受けやすく，このため本症の受傷機転は圧倒的に（わが国ではほぼ100％）鈍的外傷（打撲，転倒，交通事故，転落）である。小児の本症の特徴として，腹壁筋や内臓脂肪組織が未発達なことから比較的軽微な鈍的外力でも本症を生じうることは知っておくべきである。

主膵管断裂を伴う小児Ⅲb型外傷性膵損傷に対するERPを含む非手術療法浅井　武 , 新居　章 , 浅井　芳江 , 愛甲　崇人 57巻2号 , 2025年2月 , pp.175-178

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はじめに

　膵損傷はハンドルによる外傷や転倒・転落での腹部打撲による鈍的外傷が原因となることが多く，小児腹部鈍的外傷全体の0.6％程度といわれており比較的まれである。日本外傷外科学会でⅢb型に分類される主膵管損傷を伴うものは小児外傷性膵損傷全体の16.5％であり頻度は低いも，死亡率は近年の報告でも5％以上と依然高い死亡率を示している^1,2）。単独の膵損傷で主膵管損傷症例には外科治療が選択されることが多いが，近年は非手術療法（non-operative management：NOM）として膵管ドレナージやステント留置による内視鏡的治療法あるいは保存的治療法の報告が散見される。今回は主膵管断裂を伴う小児Ⅲb型の膵損傷におけるNOMについての適応や治療法について言及する。また，本症例はすでに他誌で症例報告を行っており^3），本稿は総説として報告する。

外傷性膵損傷（Ⅲb）が疑われた急性膵炎を初発とした膵・胆管合流異常/先天性胆道拡張症の一幼児例嶋村　藍 , 井口　雅史 , 高山　勝平 , 金　聖和 , 文野　誠久 , 小野　滋 57巻2号 , 2025年2月 , pp.179-184

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はじめに

　小児における急性膵炎の原因は感染症，代謝異常，薬物使用，胆管関連因子，外傷，全身性疾患の存在および遺伝的要因などがあげられている^1）。膵・胆管合流異常（pancreaticobiliary maljunction：PBM）および先天性胆道拡張症（congenital biliary dilatation：CBD）も原因の1つとして知られており，PBMに関連する急性膵炎の発生率は31％から61％^2～4），再発性膵炎は80％とさらに高率である^5）。再発性膵炎の多くは軽症とする報告もあるが^5），特に非定型症状を呈する症例においては診断の遅れにより治療の難渋化やQOLの低下・予後不良などにつながりやすく注意が必要となる^1）。

外傷性膵損傷Ⅲb型に対する内視鏡治療土屋　智寛 , 井上　幹大 57巻2号 , 2025年2月 , pp.185-191

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はじめに

　外傷性膵損傷は小児腹部外傷のなかでも発生頻度が少なく，特に主膵管損傷を伴う外傷性膵損傷Ⅲb型の症例は非常にまれである。以前まではⅢb型は手術適応とされてきたが，近年では内視鏡治療の発展により内視鏡的経鼻膵管ドレナージ（endoscopic nasopancreatic drainage：ENPD）チューブや膵管ステント挿入による保存的治療の報告も散見されるようになってきている。今回，ENPDチューブ挿入および膵管ステント挿入で治療し得た小児外傷性膵損傷Ⅲb型の2症例を経験したため報告する。

外傷性巨大脾囊胞に対する腹腔鏡下天蓋切除術奥村　健児 , 奥村　祐生 , 川端　誠一 57巻2号 , 2025年2月 , pp.192-194

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はじめに

　脾囊胞は画像診断の進歩に伴い発見が増加している。比較的若年に多いとされ，左上腹部痛や消化器症状が出現することもあるが，外傷などを契機に偶発的に発見される場合もある。ドレナージなどの保存的治療がされることもあるが，巨大なものになると破裂の危険性があり外科的対応が必要になる場合も出てくる。治療法についてはまだコンセンサスが得られているものはないが，当科では腹腔鏡下の天蓋切除術を選択している。

成人と比較した小児重症脾損傷に対するnon-operative management 熊谷　知子 , 狩野　元宏 , 佐藤　壮泰 , 近藤　彩 , 杉山　祥基 , 城崎　浩司 , 工藤　裕実 , 加藤　源俊 , 山田　洋平 , 藤野　明浩 57巻2号 , 2025年2月 , pp.195-200

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はじめに

　脾臓は肝臓と並んで最も損傷を受けやすい腹部臓器といわれ，小児外傷においても最も頻繁に認められる鈍的腹部臓器損傷の1つである。以前は重症脾損傷の治療戦略として脾臓摘出術を含めた外科的介入が積極的に行われていたが，脾機能の温存やOPSI（overwhelming post-splenectomy infection）などの術後合併症を避けるため，保存的治療（non-operative management：NOM）を優先する方針に変化してきた。脾損傷におけるNOM優先への方針転換は小児からはじまり，現在では成人においても受け入れられるようになったが，成人のNOM非完遂率は小児に比べて高い傾向があり，治療戦略が異なる部分がある。本稿では，小児外傷性脾損傷のNOMについて，実際の症例をもとに特に重症例における成人例の管理との相違点を整理し，わが国における小児重症脾損傷の適切な治療戦略を検討する。

【副腎・腎臓】

血管損傷を伴った外傷性副腎損傷の1例山形　健基 , 渡部　亮 , 森井　真也子 , 東　紗弥 , 林　海斗 , 水野　大 57巻2号 , 2025年2月 , pp.201-204

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はじめに

　外傷性副腎損傷は比較的まれであり，治療指針ついてはコンセンサスが得られていない。今回われわれは，造影CTで動脈性の出血が疑われたものの，血管造影を施行することで静脈出血と判断して保存的に加療した外傷性副腎損傷の一例を経験したので，文献的考察を加え報告する。

腎損傷亀井　一輝 , 山内　健 , 中林　和庸 , 田口　匠平 57巻2号 , 2025年2月 , pp.205-207

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はじめに

　腎臓は後腹膜臓器であるが，成人と比較して小児では相対的に腹腔内に占めるサイズが大きく，腎周囲の脂肪が少なく，胸郭や腹壁が脆弱であるなどの解剖学的要因により，鈍的腹部外傷による損傷が起こりやすい^1）。一方で，小児の腎外傷では，重症例であっても，保存的に治療できる可能性が高いことが報告されている^2）。

【泌尿器】

長期的な腟内異物留置に伴う複雑性小児膀胱尿管腟瘻の1例田中　里奈 , 中村　弘樹 , 土井　崇 57巻2号 , 2025年2月 , pp.208-211

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はじめに

　小児領域において尿路腟瘻の大半は先天性であり，後天性のものは大変まれである。尿路腟瘻患者のQOL向上のためには，瘻孔の治療が不可欠であるが，後天性尿路腟瘻の定型的な治療法は確立されておらず，治療経験豊富な小児外科医も少ないのが現状である。

小児における外傷性精巣破裂松島　正 , 黒部　仁 57巻2号 , 2025年2月 , pp.212-215

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はじめに

　精巣は形態学的に球形であり，可動性に富み，強靱な白膜を有している。そのため外傷を受けた際も外力を逃しやすく精巣破裂にまで至ることは少ない。しかし，小児においてもスポーツや喧嘩などにより受傷することがあり，その後の精巣機能や妊孕性への影響を考え，できるだけ精巣を温存する必要がある^1,2）。

医原性の包皮内板損傷により緊急手術を必要とした閉塞性亀頭包皮炎（BXO）の1例亀井　尚美 , 平原　慧 , 大津　一弘 57巻2号 , 2025年2月 , pp.216-218

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はじめに

　閉塞性乾燥性亀頭炎（balanitis xerotica obliternas：BXO）は，包皮および亀頭部を中心とした慢性炎症性疾患で比較的まれとされるが^1），包茎手術の際に病理学的に診断されるものから高度の排尿障害を認めるものまでさまざまであり^2），近年増加傾向にあると思われる。

【外陰部・体表】

当科で経験した女児陰部外傷例の検討今治　玲助 , 渡邊　日向子 , 住田　桃子 , 谷　守通 57巻2号 , 2025年2月 , pp.219-222

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はじめに

　通学途中や外遊びでの陰部外傷は，保護者が受傷に気づかない場合や，羞恥心や恐怖心から本人が保護者へ伝え難い場合がある。下腹部痛，排尿時痛，排尿困難，血液の付着を主訴に医療機関を受診し，その診察や受傷範囲の確認が困難で，全身麻酔を要する例も多い^1）。今回当科で経験した女児陰部外傷について検討したので報告する。

尿道・膣損傷が疑われた女児陰部外傷生野　猛 , 谷口　直之 , 中村　晶俊 , 橋本　佳子 , 生野　久美子 57巻2号 , 2025年2月 , pp.223-226

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はじめに

　女児の陰部外傷は偶発的に日常生活のなかで交通事故や遊戯，スポーツの最中に受傷することが多く，比較的軽症のStraddle injury（跨状型または騎乗型外傷）が多い^1～5）。大多数の症例は外来での診察，処置で十分であるが，外観上は軽症であっても尿道や膣，膀胱，直腸肛門部などに損傷を伴う場合があり診断と治療に注意を要する^3,4,6,7）。

外傷性Spigelヘルニアに対する腹腔鏡治療盛島　練人 , 及川　佑希 , 佐藤　智行 57巻2号 , 2025年2月 , pp.227-230

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はじめに

　外傷性Spigelヘルニアは，腹横筋が腱膜に移行する半月線上と腹直筋外縁との間のSpigel腱膜に外傷性に発生する腹壁ヘルニアの1つで，まれではあるが小児においても報告が散見される。治療方針について定まった見解はないが，今回われわれは待機的・腹腔鏡補助下に修復し得た外傷性Spigelヘルニアの一例を経験したため，その治療法について文献的考察を交えて報告する。

【手術手技】

腹部開放創陰圧治療法システムによるopen abdominal management 桝屋　隆太 , 中目　和彦 , 宗像　駿 , 河野　文彰 , 武野　慎祐 , 七島　篤志 , 家入　里志 57巻2号 , 2025年2月 , pp.231-235

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はじめに

　重症腹部外傷に対するダメージコントロール手術（damage control surgery：DCS）戦略や腹部コンパートメント症候群（abdominal compartment syndrome：ACS）に対する病態認識が一般化したことによりopen abdominal management（OAM）は重症腹部外傷患者に対する基本的な治療アプローチの1つとなった^1）。しかし，現状において小児では重症腹部外傷症例の蓄積が乏しく，OAMに関する知見は十分に共有されていない。

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目次 57巻2号 , 2025年2月 , pp.106-107

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学会・研究会 57巻2号 , 2025年2月 , pp.116-116

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バックナンバー 57巻2号 , 2025年2月 , pp.237-237

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投稿規定 57巻2号 , 2025年2月 , pp.238-239

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あとがき・次号予告 57巻2号 , 2025年2月 , pp.240-240

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基本情報

小児外科
57巻2号
(2025年2月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0385-6313 東京医学社

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