特集 臓器損傷治療の工夫
【肝胆膵脾】
主膵管断裂を伴う小児Ⅲb型外傷性膵損傷に対するERPを含む非手術療法
浅井 武
1,2
,
新居 章
1
,
浅井 芳江
1,2
,
愛甲 崇人
1
Takeshi Asai
1,2
,
Akira Nii
1
,
Yoshie Asai
1,2
,
Takato Aiko
1
1国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター小児外科
2NPO法人中国四国小児外科医療支援機構
pp.175-178
発行日 2025年2月25日
Published Date 2025/2/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001097
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はじめに
膵損傷はハンドルによる外傷や転倒・転落での腹部打撲による鈍的外傷が原因となることが多く,小児腹部鈍的外傷全体の0.6%程度といわれており比較的まれである。日本外傷外科学会でⅢb型に分類される主膵管損傷を伴うものは小児外傷性膵損傷全体の16.5%であり頻度は低いも,死亡率は近年の報告でも5%以上と依然高い死亡率を示している1,2)。単独の膵損傷で主膵管損傷症例には外科治療が選択されることが多いが,近年は非手術療法(non-operative management:NOM)として膵管ドレナージやステント留置による内視鏡的治療法あるいは保存的治療法の報告が散見される。今回は主膵管断裂を伴う小児Ⅲb型の膵損傷におけるNOMについての適応や治療法について言及する。また,本症例はすでに他誌で症例報告を行っており3),本稿は総説として報告する。

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