特集 女児生殖器・会陰部関連疾患のすべて
陰唇癒合
黒田 達夫
1
,
浮山 越史
2
Tatsuo Kuroda
1
,
Etsuji Ukiyama
2
1神奈川県立こども医療センター
2杏林大学医学部小児外科
pp.774-776
発行日 2025年7月25日
Published Date 2025/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001265
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Ⅰ.原因・背景
陰唇癒合は腟前庭部を被うように左右の小陰唇が正中で癒合するもので(図1),腟口がみえなくなっているが,子宮や腟などの内性器の先天性形成異常を伴うことは一般的にまれである。癒合の範囲は部分的なものから陰唇の全長に至るものまで症例により異なり,多くは最腹側にある癒合の不完全な部分に小さな孔が開き,外尿道口を出た尿は癒合した小陰唇の裏側にいったん溜まってからこの小孔から漏れるような形で排出される。小児では排尿の異常などを機に乳幼児期に発見されることが多い。慢性的な外陰部の炎症や感染が主原因とされているが,小児ではそのような徴候がはっきりしないことも多い。松川ら1)の乳児期陰唇癒合の解析では,生後3か月に発症のピークがあり,健診における陰唇癒合の推定頻度は3か月検診,6か月検診,9~10か月検診でそれぞれ0.86%,0.76%,0.59%であり,84例中77例は無症状,47例は小陰唇の全長が癒合していて,特に4か月以内の全例が全長癒合であったとしている。

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