特集 臓器損傷治療の工夫
【肝胆膵脾】
小児外傷性膵損傷
佐々木 隆士
1
Takashi Sasak
1
1奈良県総合医療センター小児外科
pp.170-174
発行日 2025年2月25日
Published Date 2025/2/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001096
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はじめに
小児外傷性膵損傷(本症)は小児全外傷の0.2~0.3%にあたり,まれであるが,多発外傷の一部として,あるいはハンドルバー外傷のような特殊な状況で単独損傷として発生し,しばしば患児の全身状態や外傷治療の経過,治療後のQOLにまで大きな影響を及ぼす1~3)。膵臓は後腹膜腔で椎体の前面にあり,前方からの外力による圧挫損傷を受けやすく,このため本症の受傷機転は圧倒的に(わが国ではほぼ100%)鈍的外傷(打撲,転倒,交通事故,転落)である。小児の本症の特徴として,腹壁筋や内臓脂肪組織が未発達なことから比較的軽微な鈍的外力でも本症を生じうることは知っておくべきである。

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