特集 臓器損傷治療の工夫
【消化管】
食道裂孔ヘルニアに起因した胃穿孔術後の多発腹腔内膿瘍を伴う創感染・腹壁離開に対し,AbTheraTMドレッシングキットを用いた腹部開放管理が有効であった1例
笈田 諭
1
,
東間 未来
1
,
益子 貴行
1
,
清水 徹
1
,
渡邉 揚介
1
,
清水 咲花
1
,
矢内 俊裕
1
Satoru Oita
1
,
Miki Toma
1
,
Takayuki Masuko
1
,
Toru Shimizu
1
,
Yosuke Watanabe
1
,
Sakika Shimizu
1
,
Toshihiro Yanai
1
1茨城県立こども病院小児外科
pp.133-138
発行日 2025年2月25日
Published Date 2025/2/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001088
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はじめに
食道裂孔ヘルニアは,成人領域では日常診療でよく遭遇する疾患であり,無症状または軽度の胃食道逆流症状を呈するのみで積極的な治療を要さないことが多い1)。緊急手術に至る症例はまれであるが,緊急手術の原因が穿孔であった場合には手術死亡率が60%まで上昇するとの報告もある2)。今回われわれは,食道裂孔ヘルニアに起因した胃穿孔に対し緊急手術を行い,術後に創感染・腹壁離開・多発腹腔内膿瘍を合併したものの,AbTheraTMドレッシングキットを用いた腹部開放管理を行って救命しえた症例を経験したため,文献的考察を加えて報告する。

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