特集 女児生殖器・会陰部関連疾患のすべて
思春期前片側陰唇肥大
幸地 克憲
1
,
中田 千香子
1
,
文田 貴志
1
,
加賀谷 啓太
1
,
中澤 匡男
2
,
矢部 清晃
3
Katsunorti Kouchi
1
,
Chikako Nakata
1
,
Takashi Fumita
1
,
Keita Kagaya
1
,
Tadao Nakazawa
2
,
Kiyoaki Yabe
3
1東京女子医科大学 八千代医療センター 小児外科
2東京女子医科大学 八千代医療センター 病理診断科
3東京都立小児総合医療センター 消化器科
pp.759-764
発行日 2025年7月25日
Published Date 2025/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001262
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はじめに
思春期前片側陰唇肥大(本症)とは,文字通り思春期前の女児の主に片側陰唇が,無痛性に腫大する病態である。急速な増大を認める症例がいる一方,自然退縮する症例もみられる。腫大は,エストロゲン(ER)やプロゲステロン(PR)受容体陽性の線維芽細胞の増生を主体としているため,腫瘤は軟らかく,画像検査(超音波,CT,MRI)でも境界明瞭な腫瘤としては捉えられず,特徴的な所見を呈さない。確定診断は,生検・切除による病理検査によるが,切除後も再発・増大する症例を認める。この病態を示す用語として,2つの病名:prepubertal unilateral fibrous hyperplasia of the labium majus(PUFH)とchildhood asymmetric labium majus enlargement(CALME)があり,現在でも病名は統一されていないが,同一の病態と考えられている。

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