特集 臓器損傷治療の工夫
【肝胆膵脾】
肝損傷
形見 祐人
1
,
下野 隆一
1
Hiroto Katami
1
,
Ryuichi Shimono
1
1香川大学医学部小児外科
pp.160-164
発行日 2025年2月25日
Published Date 2025/2/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001094
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はじめに
肝臓は腹部最大の臓器であり,外傷による損傷を受けやすい。肝損傷に伴う大量出血により循環動態の破綻をきたした症例では救命のために緊急手術を必要とする場合があるが,幸いにも肝損傷の85~99%は保存的治療が可能とされている1)。さらに近年,interventional radiology(IVR)の発展,普及により,肝損傷の治療においては非手術療法(non-operative management:NOM)が選択されることが少なくない。しかしながら,安静度制限や画像的フォローアップなどに関する計画立案が求められるという点はNOMと手術療法に共通しており,実際の具体的な計画については個々の施設の判断に委ねられているのが現状ではないだろうか。そこで本稿では,当科で経験した症例を提示しながら肝損傷の診療に関してNOMを中心に論じたい。

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