要約 目的:シングルピース眼内レンズ(IOL)における眼軸長別のパーソナルA定数(個別A定数)の間隔を0.5mmから1.0mmに変更してIOL度数計算を行い,術後屈折誤差の精度を検討した報告。
対象と方法:対象は過去16か月間に白内障手術を施行した101例171眼。IOLはNS-60YG(NIDEK),角膜曲率半径はTMS-5(TOMEY),眼軸長測定はOA-1000(TOMEY)のContactモード,度数計算式はSRK/T式を用いた。A定数は過去4年間の白内障手術で得られた眼軸長0.5mm間隔(0.5mm群)と1.0mm間隔(1.0mm群)の個別A定数を用いて同じIOL度数における予測屈折値を算出した。術後1か月に自覚屈折値を算出し,予測屈折値と比較検討した。
結果:術後1か月における屈折値誤差平均値(絶対値平均値)は0.5mm群が0.12±0.43D(0.36±0.27D),1.0mm群は0.10±0.43D(0.35±0.27D)で,両平均値ともに両群間に有意差はなかった。予測屈折値との誤差が小さい症例数の割合は0.5mm群27.5%(47眼),1.0mm群48.5%(83眼),両群同値24.0%(41眼)であった。眼軸長別では短・標準眼軸眼では1.0mm群が,長眼軸眼では0.5mm群のほうが予測値に近かった。
結論:1.0mm間隔で算出した個別A定数は0.5mm間隔のそれと屈折誤差精度が同じであった。このことは本方法が精度を落とさずに算出や度数計算をより簡便にできることを示している。