今月の表紙
妊娠中のため蛍光眼底造影が施行不能であった増殖糖尿病網膜症のパノラマOCT angiography
髙野 喜隆
1
,
平野 隆雄
1
,
寺崎 浩子
2
1信州大学
2名古屋大学
pp.642
発行日 2017年5月15日
Published Date 2017/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212249
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症例は24歳,女性。10歳時に1型糖尿病と診断。以後,内科にて長期インシュリン治療が行われていたが,眼科診療は自己判断にて3年前に中断。糖尿病コントロール不良下での非計画的妊娠による悪阻で,加療中の産婦人科より当科へ紹介受診。初診時の視力は右0.7(1.2×−0.5D()cyl−1.25D 180°),左0.7(1.5×−1.0D()cyl−1.0D 180°)。眼底所見より増殖糖尿病網膜症と診断。妊娠2か月のため,安全性を考慮し蛍光眼底造影検査は施行せず,無灌流領域・新生血管の評価にはOCT angiographyを用いた。下記の方法で取得したパノラマOCT angiographyにて両眼に4象限にわたる無灌流領域と新生血管が確認できたため,汎網膜光凝固を施行し,現在は経過観察中である。
撮影にはZEISS社製CIRRUSTM HD-OCT Model 5000を用いた。十分な散瞳を確認後,内部固視灯にて9方向,さらに周辺を外部固視灯にて可能な限り広域に撮影。網膜全層6×6mm画像を12枚抽出し,マニュアルで合成しパノラマOCT angiography mapを作成した。周辺部撮影の際は固視微動などでアーチファクトが混入することが多いが,本症例は若年のため中間透光体に混濁がなく,固視良好で広範囲にわたり鮮明な画像の取得が可能であった。
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