Book Review
今日の眼疾患治療指針 第3版
中澤 満
1
1弘前大・眼科学
pp.766
発行日 2017年5月15日
Published Date 2017/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212272
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眼科医として経験を積んでくると,自分が初期研修医だったころから現在に至るまでの30数年間の眼科医療の進歩を感慨深く反芻できるようになる反面,自分があまり専門として関わってこなかった領域の知識は年々疎くなってしまっているのに愕然とすることがある。特に,私のように大学病院で紹介患者の診療を主に行っていると,自分の専門領域に関係なくありとあらゆる種類の眼疾患に曲がりなりにも対応することを余儀なくされるような状況となり,患者を目の前にしてその都度当該疾患の専門家の意見を聴きたくなることは日常茶飯事である。そのような時に役立つ第一級の座右の友とも言うべき著作が,このたび上梓された「今日の眼疾患治療指針 第3版」である。
これは2007年の第2版の刊行から9年を経て,さらにこの間に急速に新しくなった眼科学の進歩を取り入れてバージョンアップされた,言わば現代の眼科学の粋を結集した書物と言える内容になっている。この第3版では眼科の各分野を網羅的に632の項目に整理して,各項目に当代の専門の執筆者を迎え,さらに各執筆者が現時点で想定される最高の知識をご自身の経験をまじえて過不足なく記載されたことが窺える。特に網羅的であることが重要で,この本に書かれていないことはよほどまれなことであるという判断もできる。しかも各項目とも疾患概念から診断の要点,さらに治療法と系統立って記載されているので筋道立てて理解しやすい。加えてカラー写真や図表をふんだんに使用して視覚的な理解にも配慮されており,忙しい臨床医にとっては大変嬉しい内容として仕上がっている。
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