臨床眼科 69巻4号 (2015年4月)

特集 第68回日本臨床眼科学会講演集(2)

原著

  • 文献概要を表示

要約 目的:光干渉断層計(OCT)で測定した正常眼での篩状板前面深度の報告。対象と方法:正常人68人136眼を対象とした。男女それぞれ34人で,平均年齢は44.8±19.7歳,等価球面度数としての屈折は平均−1.98±2.92Dである。乳頭縦断面として篩状板前面の上方,中央,下方の深さを測定した。結果:篩状板の前面深度の平均は,374.9±84.9μmで,個体差が大きく,縦断面の形は中央が浅く,上下が深いWの形をしていた。左右眼の間に有意差はなく,男性では女性よりも深度が有意に大きく,年齢,屈折,眼圧,乳頭の面積との有意な相関はなかった。結論:OCTで測定した正常眼での篩状板前面深度には,大きな個体差があり,男性では女性よりも大きく,屈折とは相関しない。

  • 文献概要を表示

要約 目的:硝子体内注射後に後囊が大きく破損し,硝子体手術と水晶体再建術を行った症例の報告。症例:78歳女性の左眼に生じた加齢黄斑変性に対し,6年前から光線力学的療法,ベバシズマブの硝子体注射,ラニビズマブの硝子体注射が行われ,最近アフリベルセプトの硝子体注射が行われた。その翌日に視力が0.15に低下し,水晶体損傷が発見された。後囊下白内障と後囊破損があり,硝子体手術と水晶体再建術が実施された。連続円形前囊切開ののち,硝子体腔への灌流で後房圧を維持した。超音波乳化吸引術中に核落下はなかった。核周辺の物質が一部落下したが,硝子体切除の際に吸引除去できた。眼内レンズは囊外に固定した。術後0.2の視力が得られ,加齢黄斑変性の進行悪化はなく,10か月後の現在まで経過は良好である。結論:アフリベルセプトの硝子体注射後に生じた後囊破損に対し,後房圧の維持と慎重な術中操作で良好な結果が得られた。

  • 文献概要を表示

要約 目的:3Dプリンターで作製したトーリックマーカーを使用した白内障手術の報告。対象と方法:トーリック眼内レンズを挿入して白内障手術を行った8例11眼を対象とした。症例ごとに乱視軸の部位を刻んだ輪状のトーリックマーカーを3Dプリンターで作製した。手術ではこのマーカーを使って眼内レンズの軸を合わせた。サージカルガイダンスTMでも軸合わせを行い,本方法とのずれを検討した。結果:手術1週間後の軸ずれは5.73±3.82°であり,サージカルガイダンスTMに従った場合に予想される軸ずれは,8.36±5.87°であった。両者の間に有意差はなかった。結論:3Dプリンターで作製したトーリックマーカーを使用した白内障手術の正確さは,サージカルガイダンズTMに従った場合とほぼ同じであった。

  • 文献概要を表示

要約 目的:悪性高血圧症にみられた両眼胞状網膜剝離の症例についての報告。症例:20歳,男性。両眼の視力低下で当科を受診した。所見:視力は両眼とも光覚弁であり,眼底は網膜動脈の狭細化,網膜出血,網膜深層の黄白色斑,及び上方を除く3象限に胞状網膜剝離を認めた。血圧は262/160mmHgであり,血液検査では著明な腎機能低下,胸部単純X線検査では著明な心拡大と肺うっ血を認めた。悪性高血圧症,急性心不全,急性腎不全と診断し,即日降圧療法を開始,さらに血液透析も施行した。光干渉断層計(OCT)により病初期にフィブリン塊を伴う漿液性網膜剝離を認めたが,経過とともに網膜剝離の消失,フィブリンの器質化,一部の視細胞外節内節の回復を認めた。最終矯正視力は,右(1.0),左(0.1)であった。結論:高血圧性脈絡膜症における黄斑部病変の理解に,OCTは有用な検査手段の1つであり,フィブリン析出と視力予後との関連が示された。

  • 文献概要を表示

要約 目的:新生血管がある角膜に生じたDescemet膜下血腫に対し,角膜内皮移植術が奏効した1例の報告。症例:70歳女性が,2か月前に生じた左眼視力低下で受診した。幼少期に角膜実質炎に罹患した疑いがあり,10年前に白内障手術が両眼に行われた。糖尿病,高血圧症,狭心症,脂質異常,深部静脈血栓症の既往があった。1年前に狭心症に対するステント留置術が行われた。ワルファリン内服を開始し,その3日後に左眼視力が低下し,角膜後面の血腫と診断された。所見:矯正視力は右0.7,左0.01で,左眼の角膜後面に瞳孔領を覆う血腫があった。2か月後にDescemet膜を剝離し,Descemet膜下の血腫を除去し,直径8mmの角膜内皮片を移植した。角膜染血が減少し,左眼視力は3か月後に0.1,1年後に0.5に改善した。結論:Descemet膜下血腫に対し,Descemet膜と血腫を除去した後の角膜内皮移植術が奏効した。

  • 文献概要を表示

要約 目的:白内障手術にて個別A定数を用いて眼内レンズ(IOL)度数計算を行い,術後屈折誤差につき検討した報告。対象と方法:対象は過去1年間に白内障手術を施行した77例134眼。それ以前の2年間の白内障手術で得られたA定数(118.59)(PAC群)と個別A定数(IAC群)を用い,同じIOL度数における予測屈折値をSRK/T式で算出。術後1か月での自覚屈折値と比較した。結果:術後1か月での屈折誤差平均値(絶対値平均値)はPAC群が0.28±0.42D(0.42±0.29D),IAC群は0.08±0.41D(0.31±0.28D)で両平均値ともにIAC群が有意に小さかった(t検定,p<0.001)。術後屈折誤差が各度数以内に入った症例割合は±0.25D以内の群のみIAC群が有意に多かった(χ2検定,p<0.001)。結論:個別A定数で算出した予測屈折値のほうが術後屈折誤差は小さくなることが判明した。

  • 文献概要を表示

要約 目的:濃度45μg/mlモキシフロキサシン(MFLX)を灌流液に用いた白内障手術の安全性の検討。対象と方法:白内障手術を施行された149眼について,MFLX添加灌流液を用いた77眼の角膜内皮細胞密度,中心角膜厚および中心窩網膜厚への影響を術後1か月の時点でコントロール群72眼と比較した。結果:コントロール群,MFLX群の角膜内皮細胞密度はそれぞれ術前では,2,469±367cells/mm2,2,481±321cells/mm2,術後1か月では2,215±469cells/mm2,2,116±491cells/mm2で,両群に有意差はなかった。中心角膜厚,中心窩網膜厚でも,同様に有意差はなかった。結論:本法による角膜,網膜に対する有害な作用を認めず,安全性が確認された。

  • 文献概要を表示

要約 目的:角膜混濁と強度近視のある白内障に,超音波乳化吸引術と眼内レンズ挿入術を両眼に行い,片眼に強膜炎が生じた症例の報告。症例:78歳女性が両眼の視力低下で受診した。トラコーマの既往があった。所見と経過:初診時の矯正視力は両眼0.08で,白内障以外に角膜混濁と強度近視を認めた。眼軸長は右29.82mm,左29.88mmであった。術中に両眼とも合併症はなかった。左眼の術後3週目に,眼痛を伴う強膜炎を生じたが,視力の低下はなかった。結膜縫合糸を除去し,ステロイドと抗菌薬の点眼は継続した。約8週間後に,強膜炎は改善した。その後5年6か月,再発はない。結論:本症例での術後強膜炎は,重篤な合併症にはならなかった。

  • 文献概要を表示

要約 目的:プロスタグランジン(PG)関連薬単剤で治療中の正常眼圧緑内障(NTG)患者にブリモニジンを追加し,有効性と安全性について報告した。対象および方法:3か月以上PG関連薬で治療中のNTG患者17例17眼を対象とした。ブリモニジンを追加し,1か月後,3か月後,6か月後,12か月後に眼圧を測定した。局所の安全性は充血,掻痒感,角膜障害について評価した。結果:ブリモニジン追加により,眼圧は,追加前11.5±1.5mmHg,1か月後9.7±1.6mmHg(p<0.001),3か月後9.4±1.4mmHg(p<0.0001),6か月後9.9±1.9mmHg(p<0.0005),12か月後9.9±1.8mmHg(p<0.0005)と,各時点で有意に下降した。局所の副作用について有意な変化はなかった。結論:PG関連薬で治療中のNTG患者へのブリモニジンの追加により,さらなる眼圧下降効果が得られ,その効果が12か月間持続した。

  • 文献概要を表示

要約 目的:緑内障に対するトラベクロトーム手術後に,薬物治療を継続したときの眼圧の経過の報告。対象と方法:過去3年間にトラベクロトーム手術を行った緑内障34例46眼を対象とした。平均年齢は76歳で,42眼が原発開放隅角緑内障,4眼が落屑緑内障であった。41眼には白内障の同時手術を行った。平均9か月の術後経過を追った。術前と術後を通じ,同じ点眼加療を行った。結果:眼圧の平均値は,術前21.1±4.2mmHg,術後6か月14.9±3.8mmHgで,有意に下降した(p<0.001)。術後の前房出血が全例にあった。術後1週間以内に30mmHg以上への眼圧上昇が6眼にあり,いずれも炭酸脱水酵素阻害薬の内服で,2日後に眼圧が低下した。4眼で術後3か月以内に追加手術が行われた。結論:薬物治療を継続した状態で,緑内障に対して行われたトラベクロトーム手術の6か月後に,眼圧が有意に下降した。一過性の前房出血が46眼の全例にあり,6眼に一過性の眼圧上昇があった。

  • 文献概要を表示

要約 目的:ブリンゾラミド/チモロールマレイン酸塩配合懸濁性点眼液(BRI/TIM)の有効性を検討。対象と方法:ドルゾラミド/チモロールマレイン酸塩配合点眼液(DOR/TIM)で加療中の緑内障患者24例24眼に対し,washout期間なく,BRI/TIMへの切替えを行った。切替え前,1,3および6か月後の眼圧を測定し,前眼部の観察をした。各点眼液の使用感も評価した。結果:切替え前後の眼圧には有意差はなかった。使用感は,切替え後に有意な評価が得られた。1例で角膜上皮障害が改善した。結論:BRI/TIMは,切替え6か月後も眼圧を維持できた。配合剤の使用感は良好であった。

  • 文献概要を表示

要約 目的:ポリープ状脈絡膜血管症のポリープ状病巣の眼底自発蛍光(FAF)の報告。対象と方法:初回発症の10例10眼を対象とした。年齢は71〜88歳(平均78歳)で,FAFにはキャノン社製CX-1TMを用いた。結果:IAでは,9眼で,ポリープ状病巣の過蛍光がみられ,1眼では,主病巣にポリープ状病巣が描出されなかった。FAFでは,全例でポリープ状病巣が描出され,中心が低蛍光で,その周囲が輪状過蛍光を示した。8眼で,中心の低蛍光部に枝状所見があった。初回IAでポリープ状病巣が描出されなかった例で,経過中に別のポリープ状病巣が出現し,FAFで描出された。結論:本症のポリープ状病巣のFAFでは,中心が低蛍光で周辺が輪状過蛍光であり,低蛍光部は枝状所見を示す傾向がある。ポリープ状病巣は,IAで映りにくい時期でも,FAFでは描出される可能性がある。

  • 文献概要を表示

要約 目的:フルオレセインによるアナフィラキシーで死亡した患者に,重篤な心疾患が剖検で発見された報告。症例:65歳男性が硝子体出血を伴う左網膜静脈分枝閉塞症で受診した。経過:初回の蛍光眼底造影検査(fluorescein angiography:以下,FA)では,副作用はなかった。7か月後の2回目のFAでは,フルオレセイン静注2分後にアナフィラキシー様症状が出現し,直ちに適切な処置が行われたが,心肺停止となった。その後の集中的治療によっても血行動態は回復せず,2日後に死亡した。病理解剖で高度の心肥大を認め,治療への反応不良の主因と考えられた。結論:FA施行前には十分な問診と,場合によっては心疾患のスクリーニングが必要である。

  • 文献概要を表示

要約 目的:外傷性毛様体解離に対して,吸収性縫合糸で毛様体を強膜に縫着した症例の報告。症例:44歳男性が,軟式野球ボールで左眼を受傷し,その2日後に受診した。所見:矯正視力は右1.5,左1.0で,左眼が浅前房で,低眼圧であり,眼底に網膜下出血があった。16日後に左眼が遠視化し,低眼圧黄斑症の所見が生じ,視力が0.7になり,耳側120°の範囲に毛様体解離があった。受傷44日目に吸収性の8-0縫合糸で,毛様体を4箇所で強膜に縫着した。その1か月後に視力は1.2になり,眼圧が13mmHgに回復した。毛様体縫着による合併症はなかった。結論:吸収性縫合糸による毛様体の強膜への縫着は,有効で安全であった。

  • 文献概要を表示

要約 目的:前房水のPCRによる所見が陰性であった単純ヘルペスウイルス(HSV)性角膜ぶどう膜炎の1症例の報告。症例:80歳女が2週間前からの右眼の眼痛,充血と視力低下で受診した。以前から同様の症状が,感冒時に繰り返していた。所見と経過:矯正視力は右0.03,左1.2で,右眼に毛様充血,角膜新生血管,前房蓄膿があった。樹枝状の角膜病変と眼瞼の皮疹はなかった。PCRによる前房水の解析で,HSVなどのウイルスは検出されなかった。初診から3か月後に発熱と寒冒様症状が生じ,前房の炎症所見が悪化した。樹枝状角膜病変が出現したのでHSV性角膜ぶどう膜炎と診断した。アシクロビルなどの点眼で寛解した。結論:角膜ぶどう膜炎では,前房水のPCR所見が陰性であっても,HSVによることがある。

  • 文献概要を表示

要約 目的:視神経炎に対する治療成績の報告。対象と方法:過去3年間に当科で視神経炎として加療した17例を対象とした。男性8例,女性9例で,年齢は9〜83歳,平均54歳である。初診時に,全例で血清中の抗aquaporin-4(AQP4)抗体値を測定した。結果:抗AQP4抗体は,4例で陽性,13例で陰性であった。陽性群は男性1例,女性3例で,年齢は53〜79歳,平均62歳であった。3例が両眼の視神経炎であり,3例に過去の視神経の既往があった。ステロイドパルス療法は,抗AQP4抗体陽性群の2例と陰性群の2例で無効であり,陽性群2例では血漿交換で視機能が改善した。最終視力は,抗AQP4抗体陽性群7眼中5眼で0.1以下であり,陰性群15眼中12眼で1.0以上,2眼で0.1以下であった。結論:ステロイドパルス療法が奏効しない抗AQP4抗体が陽性の視神経炎には,血漿交換療法が有効であった。抗AQP4抗体陰性群にも,ステロイドパルス療法の無効例があった。

  • 文献概要を表示

要約 目的:偽Foster-Kennedy症候群を呈した放射線視神経症の1例について報告する。症例:65歳女性が右視力低下で受診した。矯正視力は右(0.01),左(0.8)で右眼の相対的瞳孔求心路障害(RAPD)陽性であった。眼底検査において右視神経乳頭周囲網膜線維層の菲薄化,左視神経乳頭腫脹を認め,Foster-Kennedy症候群様の病態を呈したが,頭蓋内圧亢進はなかった。動的視野検査において右眼に中心暗点を検出した。眼科受診の3か月前に他院で乳癌術後再発による骨・脳転移と診断され,放射線全脳照射を受けていた。これらの臨床経過より,全脳照射による放射線視神経症が考えられた。結論:偽性Foster-Kennedy症候群の原因疾患の1つに全脳照射後の放射線視神経症がある。

  • 文献概要を表示

要約 目的:真菌性鼻性視神経症で一時失明状態となったが,早期治療で改善した1例の報告。症例:79歳男性,急激な両眼視力低下を主訴に受診した。所見:当科初診3か月前に頭痛があり,その後両眼の視力低下を生じた。画像所見より副鼻腔真菌症を疑い,初診当日に耳鼻科へ紹介した。両眼性鼻性視神経症と診断され,翌日に内視鏡下副鼻腔手術を施行し,アスペルギルス症と診断された。手術翌日に両眼光覚(−)となり,抗真菌薬・副腎皮質ステロイドの内服を開始し,中心暗点は残存したが,視力・視野は改善した。後に肥厚性硬膜炎が発見されたが,治療前から存在した可能性は否定できていない。結論:早期治療にて真菌性鼻性視神経症が改善した。

  • 文献概要を表示

要約 目的:肺癌が転移し,髄膜癌腫症と転移性脈絡膜腫瘍を合併した症例の報告。症例:1か月前に肺腺癌Ⅳ期と診断された59歳男性が,眼瞼下垂と複視で受診した。所見:矯正視力は左右ともに1.2であり,右動眼神経麻痺と両眼転移性脈絡膜腫瘍を認めた。髄液細胞診にて髄膜癌腫症と診断され,化学療法と全脳・全眼球放射線照射により動眼神経麻痺は改善し,脈絡膜腫瘍も縮小した。発症から1年5か月以上経過した現在も化学療法を継続中で,視力も維持できている。結論:髄膜癌腫症と転移性脈絡膜腫瘍はともに予後不良な疾患であるが,生存期間中のquality of visionの観点から積極的治療を行うべきである。

  • 文献概要を表示

 症例は30歳,女性。2014年Fabry病加療のため,当院小児科に転院,その際に眼所見精査目的で受診となった。

 小学高学年より運動後の四肢末端の痛みを認めた。大学生のときにコンタクトレンズ処方のため受診した眼科で両眼角膜混濁を指摘され,大学病院紹介受診し角膜所見からFabry病を疑われた。25歳時にα-ガラクトシダーゼ活性低下からFabry病と診断された。GLA遺伝子にN34S変異を認めている。姉もFabry病と診断,父は症状はあったが診断には至っていない。父方の伯父が心疾患で若くして死亡している。現在,酵素補充療法を施行中。初診時視力は右0.04(1.2),左0.08(1.2),眼圧は右20mmHg,左18mmHg。両眼の渦状角膜混濁,眼底に動脈の蛇行を認めた。水晶体は清明であった。

  • 文献概要を表示

 多発性硬化症と視神経脊髄炎の視神経炎はその免疫システムが全く異なるため病理・病態に差があり,正しい診断と効果的な治療を行うにはその事実に沿った配慮が必要である。最新の情報として,診断と検査ではOCT検査による多発性硬化症(MS)と視神経脊髄炎(NMO)の病態の把握,抗MOG抗体とSema4Aの臨床の意義について,治療では急性発症期の免疫グロブリン大量静注療法(IVIG),慢性寛解期のフィンゴリモド・ナタリズマブ・トシリズマブ治療について解説する。

連載 知っておきたい小児眼科の最新知識・4

小児の鼻涙管閉塞の治療 森 隆史
  • 文献概要を表示

point

1)先天鼻涙管閉塞は高率に自然治癒する

2)先天鼻涙管閉塞には,早期プロービングと経過観察の相対する治療方針がある

3)乳児への侵襲的処置では,医原性涙道閉塞と重症感染症とに配慮する

連載 目指せ!眼の形成外科エキスパート・第8回

  • 文献概要を表示

はじめに

 はじめまして,任侠の町広島で眼科医をやっている野間と申します。柿﨑師匠から兄弟子の三戸先生とのカップリングで指名していただき,光栄の至りでございます。「ありのままで〜♪」ということで,テーマに関して思うことを書き連ねてみます。

 世界の柿﨑師匠を差し置いて私が触れるのはおこがましいのですが,構成の都合上お許しくださいマセ…。

連載 英語論文執筆テクニック—虎の巻

各論 第2回 柿﨑 裕彦
  • 文献概要を表示

はじめに

 いよいよ本連載も最終回となりました。今までお付き合いいただいた先生方,どうもありがとうございます。今回もよりわかりやすい英語論文を執筆するテクニックが満載です。さあ,最後まで気合を入れてがんばろう!

書評

  • 文献概要を表示

 わが国の神経眼科学の第一人者である三村治教授による単著,『神経眼科学を学ぶ人のために』が上梓された。私が知る限り,これほどわかりやすく親切に書かれている神経眼科の教科書はない。眼科は基本的に形態学であり,病変を見ればだいたいの見当がつく。最近ではOCTのおかげで,診断は格段にらくになった。一方,神経眼科では,病変は検眼鏡では見えず,機能の異常であることが多い。このため訴えを注意深く聴取し,機能異常を分析的に観察し,視野やMRI,さらに遺伝子などの諸検査を適切にオーダーしなければならない。診断に至るには幅広い神経眼科の知識による推察が必要である。神経眼科が敬遠されるゆえんであろう。本書はタイトルが示すように,著者が長年の経験と知識を若い人たちに語りかけるスタイルを取っている。重要な点は太字で強調してあり,著者の意気込みが伝わってくる。

 本書は9章から構成されている。第1章は解剖と生理である。眼球運動には衝動性と滑動性追従運動があり,前者は「随意的眼球運動の大部分を占める急速な眼球運動で,……反射的にみられることもある」,後者は「移動している指標を常に網膜の中心窩に保つために生じる滑らかな運動」と明快に説明されている。第2章は診察法である。問診は発症状況,疼痛の有無,日内変動と発症後の経過,家族歴,手術歴をさまざまな可能性を考えながら聴取する。視診は極めて大切である。歩行状況,頭位,顔貌・容貌,眼球突出度,眼瞼の状態を注意深く観察する。その後,眼位と眼球運動を検査する。本書の知識を活用すれば,問診と視診だけで診断をかなり絞り込むことができるだろう。第3章は視神経・視路疾患である。視神経に腫脹をきたす疾患には,乳頭腫脹,うっ血乳頭,視神経炎,視神経周囲炎,乳頭血管炎,虚血性視神経症がある。乳頭腫脹(disc swelling)は「視神経乳頭が境界不鮮明となり隆起している状態」を指し,さまざまな原因からなる。そのうちのうっ血乳頭(papilledema,choked disc)は頭蓋内圧亢進による乳頭腫脹を指す。英語表記に注意が必要である。視神経炎は抗アクアポリン4抗体陽性など新知見が満載である。第4章から第7章は眼球運動障害,眼振・異常眼球運動,眼瞼の異常,瞳孔異常をきたす疾患など神経眼科の神髄とも言える分野である。MRIが欠かせない。第8章は眼窩に異常をきたす疾患で甲状腺眼症,感染,骨折を扱っている。第9章は全身疾患と神経眼科である。本書にはClose Upというコラムが38項あり,最新のトピックや診断のコツを扱っており,大変役に立つ。

  • 文献概要を表示

 屈折矯正手術は眼科の中で極めて特異な位置を占めており,外から見ると眼科を象徴するような手術であるにもかかわらず,一般の眼科医からは非常に遠い手術である。何より自分で屈折矯正手術を行っている医師が圧倒的に少ない。それにもかかわらず,LASIKをはじめとした手術の広がりによって,日常臨床の場で一般の眼科医が屈折矯正手術に関連した患者さんに接する機会がどんどん増えており,術後の患者さんの経過観察や,手術を希望する患者さんの相談に応じなければならない。そういう状況の中で,本書のような屈折矯正手術を網羅的にまとめた本が出版されたことは大変時宜にかなうものである。

 本書は,極めて実践的に,屈折矯正手術の現状をまとめた本であり,書いてある通り行えば,明日にでもできるのではないかと思われるほど具体的に実際のやり方をまとめてある。屈折矯正手術を現在行っている人にも,これから始める人にも大きな指針となるのではないか。手術の場合,つい手術そのものにだけ注意が行きがちだが,本書では,術前の適応や術後の処方・経過観察についても多くのページが割かれている。例えば,サーフェスアブレーションやクロスリンキングのパートは際立ってわかりやすい。また,オルソケラトロジーではレンズごとに解説が成されている。一部に詳し過ぎるがために,あまりに専門的だったり(トーリック眼内レンズでの波面センサー使用など),たくさんの方法が列挙されていてかえって迷わされたり(LAISK眼のIOL計算など)するところがあるものの,実践書として非常に高いレベルにある。

  • 文献概要を表示

 全国の第一審裁判所に提起される医療過誤訴訟の数をみると,1990年代から2004年にかけて急増し,その後は,同程度の数にとどまっている。しかし,訴訟には至らないかなりの割合の医事紛争が,当事者間の示談や各地の医師会などの機構を通じて,裁判外で解決処理されているため,実際に医事紛争数が減少しているのかどうかは明らかではない。1990年代からの医事紛争増加の理由として,医師数が増加して医療供給が量的に確保されたことによる患者数の増加,新薬・新技術の開発に伴う副作用や合併症の増加なども挙げられるが,第一の理由は医療に関する一般的知識が国民に普及し,患者の人権意識が高揚したことにある。このような患者の権利意識の伸張を背景に,近年の裁判所の考え方には大きな変化がみられ,近年の裁判例では,医療機関に要求される診療上の注意義務は厳しいものとなっている。

 それ以上に,仮に勝訴するにしても,患者からクレームを受けたり訴訟を提起されたりして,その対応に追われることは,病院・医療従事者にとって大きな時間的・精神的負担となる。何よりも,医事紛争を未然に防ぐ対策が,極めて重要である。医療事故や医事紛争は,それぞれの医療機関において,同じような原因で発生することが多い。したがって,過去の事例に学び,その原因を分析し,自院の医療事故や医事紛争の予防に役立てる取り組みが重要である。また,医事紛争は,医療従事者に法的意味での過失があり,その結果,悪しき結果が実際に患者に発生した場合にだけ起こるわけではない。医療従事者が法律知識を欠いているために,対応や説明を誤り,患者側の不信感を強めているという場合も多い。したがって,医療従事者は,広く病院・臨床業務に関する基本的な法律知識を学び,医療事故や医事紛争に対する適切な対応を習熟しておくことが必要である。このことは,医療機関の管理者だけではなく,実際に患者に接することになる,第一線で活躍する医療従事者にこそ望まれる。

やさしい目で きびしい目で・184

  • 文献概要を表示

 神戸大学で角膜外来を担当していた頃,角膜移植術を受けた患者さんの喜びの声を綴った文章を読ませていただく機会があった。そこには日常診療からは窺い知れない患者さんの思いがしみじみと込められていて,思わず胸がいっぱいになる。

 60歳代の慎み深い女性,Mさんは,「角膜移植を待つ間,私に角膜を提供してくださる方は,今はどこかに生きておられるのだと思うと,手術を早く,と願うことはできませんでした」と,美しい文字で綴っておられた。外来では,角膜移植待機患者さんのほとんどが,「まだでしょうか?」と1日も早い手術を切望されるので,こんな風に考える患者さんがいらっしゃるとは,驚きでもあった。Mさんは順番がきて手術を受けられ,経過良好であったが,その後白内障が進行してきた。白内障手術により移植片の内皮の機能が低下する可能性をお話ししたところ,手術は望まれなかった。いただいた角膜を何よりも大切に思っておられるMさんの気持ちが痛いほど伝わってきた。その思いが通じたのか,その後いよいよ進行した白内障の手術をさせていただいたが,移植片は10年以上経た今も透明性を維持し視力も良好である。

  • 文献概要を表示

要約 目的:ANCA陽性を示した強膜ぶどう膜炎2症例の症例報告。症例:症例1)74歳,女性。左眼視力低下と眼痛。強膜充血と菲薄化,snow bank様病巣,硝子体混濁,黄斑浮腫があり,血中P-ANCA(MPO-ANCA)上昇がみられた。顕微鏡的多発血管炎と診断,副腎皮質ステロイド(ステロイド)内服投与にて眼症は改善し,P-ANCAも低下した。症例2)69歳,女性。左眼視力低下と眼痛・頭痛。結膜・強膜の充血と壊死,黄斑浮腫があり,血中C-ANCA(PR3-ANCA)上昇がみられた。多発血管炎性肉芽腫症と診断,ステロイド点眼,ステロイド内服,アザチオプリン内服で眼痛改善が得られC-ANCAは低下したが,上方強膜の菲薄化は進行した。結論:ANCAに関連した強膜ぶどう膜炎では,ANCA測定が診断と治療効果判定に重要であった。

  • 文献概要を表示

要約 目的:全身麻酔が困難な水晶体融解緑内障に対し,前房穿刺が奏効した症例の報告。症例:80歳女性が右眼白内障手術の目的で受診した。幼少時から右眼の視力が不良であり,左眼には25年前に白内障手術が行われた。喘息,虚血性心疾患,脳梗塞,認知症があった。所見:矯正視力は右手動弁,左0.4で,眼圧は右10mmHg,左6mmHgであった。右眼に過熟白内障,左眼に眼内レンズが挿入されていた。角膜内皮の密度は右2,000/mm2,左500/mm2であった。全身状態が不良であるために,右眼への白内障手術は見送られた。経過:4か月後に右眼痛が生じ,眼圧は右63mmHg,左12mmHgで,右前房が混濁し,過熟白内障に伴う水晶体融解緑内障と診断した。緊急措置として27G注射針による前房穿刺を行った。総計7回の前房穿刺で眼圧は20mmHg以下になり,9か月後の現在まで経過は良好である。結論:全身麻酔が困難な水晶体融解緑内障に対し,注射針による前房穿刺が奏効した。

--------------------

欧文目次

べらどんな 複合汚染
  • 文献概要を表示

 「加齢黄斑変性がなぜ増えてきたのか」について,ずっと以前から考えている。

 1975年よりも前には,この疾患は日本にはなかった。わが国に蛍光眼底造影が導入されたのは1965年である。ある大学の眼科で「眼底外来」を開いていたが,加齢黄斑変性の患者には,出会った記憶がまったくない。

ことば・ことば・ことば 踊り字
  • 文献概要を表示

 地下鉄の駅では,広い壁が利用されるのを待っています。ロンドンの地下鉄は,短い詩をこの壁面に載せることをはじめました。短い時間ですが,乗客に楽しんでもらうのが狙いです。百人一首にある「あをによし奈良の都は…」のように,だれもが知っている和歌でも,もう一度,通勤の途中で読み直すのも悪くはありません。

 ここに出た詩が,Poems on the Undergroundという本になって毎年出版されています。楽しい本で,意外な発見があります。

学会・研究会 ご案内

投稿規定

希望掲載欄

著作権譲渡同意書

アンケート

次号予告

あとがき 稲谷 大
  • 文献概要を表示

 年度初めで,みなさまの施設に新しい仲間が加わったり,または新天地に異動されて,新しい環境でお仕事を始められたりしていることと思います。

 本号の原稿をいち早く拝読させていただきました。中尾雄三先生が執筆された「今月の話題」は,多発性硬化症と視神経脊髄炎のこれまでの歴史背景から,OCTを用いた検査所見の特徴,自己抗体の最新情報まで盛り込まれた大変読み応えのあるレビューです。治療に関しても次々と有効な治療が登場してきており,これまでのステロイドパルスだけの治療よりも難治性の視神経炎の患者に対して,より良い視機能予後が期待できるようになってきました。柿﨑裕彦先生の「英文論文執筆テクニック—虎の巻」を読むと,これまでよりももっと上手に論文が書けるような気になってしまいます。

基本情報

03705579.69.4.jpg
臨床眼科
69巻4号 (2015年4月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

文献閲覧数ランキング(
9月14日~9月20日
)