書評
《眼科臨床エキスパート》知っておきたい屈折矯正手術
井上 幸次
1
1鳥取大・視覚病態学
pp.486
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211291
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屈折矯正手術は眼科の中で極めて特異な位置を占めており,外から見ると眼科を象徴するような手術であるにもかかわらず,一般の眼科医からは非常に遠い手術である。何より自分で屈折矯正手術を行っている医師が圧倒的に少ない。それにもかかわらず,LASIKをはじめとした手術の広がりによって,日常臨床の場で一般の眼科医が屈折矯正手術に関連した患者さんに接する機会がどんどん増えており,術後の患者さんの経過観察や,手術を希望する患者さんの相談に応じなければならない。そういう状況の中で,本書のような屈折矯正手術を網羅的にまとめた本が出版されたことは大変時宜にかなうものである。
本書は,極めて実践的に,屈折矯正手術の現状をまとめた本であり,書いてある通り行えば,明日にでもできるのではないかと思われるほど具体的に実際のやり方をまとめてある。屈折矯正手術を現在行っている人にも,これから始める人にも大きな指針となるのではないか。手術の場合,つい手術そのものにだけ注意が行きがちだが,本書では,術前の適応や術後の処方・経過観察についても多くのページが割かれている。例えば,サーフェスアブレーションやクロスリンキングのパートは際立ってわかりやすい。また,オルソケラトロジーではレンズごとに解説が成されている。一部に詳し過ぎるがために,あまりに専門的だったり(トーリック眼内レンズでの波面センサー使用など),たくさんの方法が列挙されていてかえって迷わされたり(LAISK眼のIOL計算など)するところがあるものの,実践書として非常に高いレベルにある。
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