看護教育 5巻2号 (1964年2月)

教育のひろば

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 教育というのは,人間が人間をつくるということです。考えてみると,おそろしいことです。不完全きわまりない人間が,これまた不完全で未熟な人間にたいして教えようというのですから。

 したがって教えられることというのは,教わる人間よりすぐれているとか,すぐれていなくてもそのことをわからせる技術をもっている—という「あることがら」に限られているはずです。

グラビヤ

クラブ活動から学ぶ
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 学生は学業以外の時間をどう利用しているだろうか。その一つにクラブ活動がある。単に趣味をみがくだけでなく,自主的に行なう活動からナースに必要な指導性が養われ,独創性,協調の精神が身についていくであろう。ここに国立東京第二病院付属高等看護学院のクラブ活動と日ごろの活動の成果を発表する文化祭(今回は病院祭と合同で12月2日に行なわれた)の一部をご紹介します。去年の4月に同校に変わられた教務主任稲葉和子先生も「患者さんにはいろいろな層がいますから,それに接するナース自身広い視野をもっていなければなりません。自主的な活動の中から教室では学びえない豊かな心が造られていくのではないでしょうか」一と看護学校におけるクラブ活動を奨励している。また文化部の一つ宗教部の学生は「悩みを解決し,自己の反省の機会をもちたい。わたしたちナースになるものには博愛の精神は絶対に欠かせないものです。看護とキリスト教との結びつきを少しでも」と加入の動機を語る。クラブ活動は,実習や勉強で忙しいからこの次,ということではすまされない重要なものをもっているようだ。

特集 クラブ活動をどうするか

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一人でははじまらないクラブ活動

 サークルについて考えるということは,仲間について考えることにほかなりません。サークルには規約とか規則がかならず必要というわけではない。目的ということから言っても,趣味であろうと,学習的なものであろうと,社会的な活動を目ざそうと,とくにこれでなければならないという,制約はないわけです。ただ,仲間がいなければサークルは成り立たない。一人だけのサークルがありうるでしょうか。絶対にありえないとは言いきれません。たとえば「ジキル博士とハイド氏」がある目的のために話合い協力し合う,ということがあれば,これはまさに一人のサークルということになるでしょう。しかし,残念なことに,スティヴンソンの小説の主人公は,ジキルであるときにはハイドの意識は失われてしまっているし,ハイドのときにはジキルは消えてしまっているのですから,二人が協同して仕事をするチャンスはありません。やっぱり一人でサークルを名のることはむずかしいようです。

 サークルは,二人から始まる,と考えてよいでしょう。「我等の仲間」は二人の結びつきから始まるのですから。たとえば,ザ・ピーナッツをはじめとする合唱のグループの活動のなかには,サークルとしての問題があります。喜劇のコンビやトリオは,それぞれの歴史のなかで,チームの結びつきを発展させてきています。二人のサークルとしてもっともすばらしい伝統をつくりあげているのは日本の漫才でしょう。

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はじめに

 クラブ活動とは一体どんなものであろうか。クラブという名称が示しているとおり組織をとおしての活動である。辞書を引用すると,“クラブ”とは“政治,社交,文芸,娯楽,その他共通の目的によって結合した団体”とある。すなわち同じ目的をもつ人びとの集まりのことである。その編成には,社会的環境によって多種多様のようであり,社交上あるいは娯楽的に集まりをもっているのも少なくないようにうかがえる。

 しかし,学校におけるクラブ活動は,正規の教科学習以外に学生がクラブ組織によって自発的に行なう各種の研究会,同好会,運動競技などの活動をいうのであって,関心や興味をもつもの同志が組織をつくり,娯楽的な中にも相互の親睦をはかり,切磋琢磨し,特技を伸ばすところに意義があるのではなかろうか。

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はじめに

 看護学校における課外活動をどうすればよいかと悩みながら,日ごろ考えるままにペンをとってみました。ご教示賜わればさいわいです。

 看護学校における教育は,看護に関する高度の専門知識と技術を修得しながら,社会のニードに応じられるような人間形成のための一般教養を身につけることにあると思います。ことに短大より1年長く勉強するのでありますから,本来ならば一般教養についても効果的な教育ができるのではないかと考えられ,関心をもたれながら実際はなかなか困難な現状であります。他校においても正規の科目外に種々のクラブ,あるいはサークルがあり講義以外の立場において教養を身につける活動をしていると思われますが,何となく全体を通して消極的な感じがするのはなぜだろうかと考えさせられます。

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はじめに

 「すばらしいお天気!あなたあすこへスケッチに行ってみない?」「わあ!いいわね。私も静かな所で少し気分変えてきたいわ」こうして生まれてきた同好の自主的活動であり,心の叫びは内から外へ自然吐露され,個人的活動から集団的活動の大きい叫びとなり行なわれてきたが,「いったい集団における自我形成の点において私たちはどのような姿勢て切磋琢磨しあい,どのように自己成長にとり入れていったらいいだろうか」絶えず疑問に悩まされながら,実際のクラブにのぞむ自己行為をふり返り,今後のクラブ,自己の前進への手がかりでも見いだせたらと思い,短いクラブ活動経験を通じて考えてみました。

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高校時代のクラブ活動との比較

 クラブ活動についてどう思うか,と問われても私は適切な解答をみつけることができない。なぜなら,現在の私はあまりクラブ活動には興味をもっていないし,また私の学校のそれが全体的にみて不活発だからである。しかし私自身高校時代には運動部に属し,そこで比較的熱心に練習を行なってきたということから,高校時代のクラブ活動と,看護学校におけるそれとを比較し,その差違はどこからきているのかを考えたいと思う。

 高校時代のクラブ活動は少なくとも私にとっては全人間的な接触の場であった。夏休み,冬休みには共同生活を営み,ともに未来を語りあった。そして授業が終わるとすぐさま練習場へ飛びこんでいったものだった。私の学校は女子高だったので男子高のような先輩,後輩の区別はそれほどはっきりはなかったが,それでもつらい仕事は1年へという一種独特の規律はあった。練習は決して楽しいものではなかった。むしろつらいことの連続だったといってよいと思う。うさぎとびやなわとびをあまりさせられて翌日は学校の行き帰りの駅の階段を,情ないと思いながら,手すりにつかまって上り下りしたことを記憶している。私の属していたクラブは強豪といわれるにはほど遠かったが,それでも自分でかってにサボったりすることは許されなかったし,練習がきついといって途中から練習をやめることもできなかった。

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困定化した生活から抜け出すためにも

 「さあやっと実習が終わった。おなかもすき足が痛い。」病室から戻ると後は静かに横たわっていたい気持ちである。ある時は遅れていてバイトへといさんで行く友,そうぞうしい一時である。また雇用先から「遅れて……」と不平を言われることだろう。実習といっても決して充実した実習とは言えず,一面では労働力として提供される。入学時未知の世界へ大きな希望と夢をかけて志したわれらが,連日実習とあっては疲労だけが残るのみで,希望も夢も疲労の中に覆い隠されてしまう。看護学校の不安定な位置,環境設備の不十分さ,教務の位置など高校に比し矛盾し納得できぬものばかりであったが,次第に環境,習慣に染まり,学校と寮の往復,社会に目を向ける習慣も薄弱となり,寮にいては友だちとだべり,勉強の習慣も忘れさられ,自分の周囲だけに関心が注がれる状態になってしまう。私たちの場合美術部,文芸部,バレー部の三つがあるが,すべて名目にすぎず,ほとんど活躍されてない。クラスの大半がバイトをしており,授業終了4時〜10時の自由時間に費やされ,また部員の人たちがさほどの意欲も示さず,存在が危ぶまれている状態である。学部と一緒のクラブが7つもあり,学部との交流の場として唯一のものであるため,これらへの吸収率が高くドッとはいり込む。

学生を臨床実習に出す場合の指導

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はじめに

 臨床における看護チームの中での正規の看護婦の任務,業務について考えてみた場合,それは経験年数の多い准看護婦と同じであってはいけないし,反面,過日の大阪での医学会総会の折展示され,話題をよんだロボット・ナースのような精巧な機械によっておきかえられる可能性のある仕事のみに追われ,またそれに埋もれてしまうことがあってもいけないだろう。こう考えてくると,学生が3年間の教育をうけ,職業人として自立した場合,与えられた任務に十分耐えると同時ら,将来ともに有用なメンバーとして,自己開発してゆけるだけの素地をつくるための系統だった訓練が必要だと思われる。(考えられるいろいろの方面への道—管理面教育面など—をも含めて)

学生に患者を受け持たせる場合の指導

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はじめに

 従来の4週間に限られた整形外科病棟実習では,この科特有の疾患の看護まで把握させえなかったので,本年よりさらに2週を加え,計6週の実習配置に変更した。近く第2期実習にはいる学生を迎えるに当たり,大腿骨頸部骨折についてたてた指導案を述べ,皆さまのご批判をいただきたい。

 まず本題にはいる前に,この症例を受持たせる学生を理解するため,学院,病棟の打ち合わせ会で定めた指導大要を紹介する。

私はこう教えている

頸部外科の看護 森広 愛子
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時間数および関連科目

 1.「外科看護」に使用する時間数35時間。

 総論(手術前および手術後の看護・手術後合併症の看護)16時間。

分娩・異常分娩の看護 島田 ツル
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はじめに

 助産婦学校の専任教員という立場で,産科看護法の講義を受持っているが,現在の看護教育制度での看護学生には,どの範囲までを把握させるべきなのかと,常に疑問を持ちながら教えている。そのような点からも,ぜひ皆様方の御批判,御指導をいただきたいものと思う。

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 バセドウ病,甲状腺腫瘍は内科的治療が主となりますので,手術決定までの期間はもちろん,手術前後にわたって内科的治療が併用されることが多いわけです。この点からもこの指導案を拝見してたいへん適切だと思います。看護法を教えるものとしていかに臨床経験が大切かということを痛感するとともに,充実した指導案に敬服いたしました。ですからここにあげられたことに対してとやかく申しあげることはむずかしいことだと思います。なぜならば実際の指導法においては実例,器具,材料を示したり,デモンストレーションなども考慮されることと思いますので,そういう考えのもとに感想をのべさせていただきます。バセドウ病,甲状腺腫瘍の看護法にはいる前に,すでに内科学および看護法が終了してるか否かによって,解剖生理,原因などの説明を考慮しなければならないと思ってます。内科終了後であれば,質問による復習で進められますが,まだの場合は頸部の解剖生理の復習原因,症状はできるだけくわしく説明する必要がありますし,検査項目のなかでも基礎代謝測定は最も大切なものですから検査前の注意事項の強調,検査目的によってはヨードを含む食餌を禁止することなどあるわけです。また私も過去,術直後にショック死に直面したことがありますので,術前,術後の細心な看護と特に救急処置などにも熟練しなければならないことを痛感しております。

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1.産科看護の現在の問題点

 看護学校の産科看護法の内容と教授方法のあり方については,看護学校専任教員の講習会でも常に研究されているところであるが,なかなかむずかしい課題である。むずかしさ,すなわち問題点がどこにあるかを考えたとき,それは教室内学習(学科)をいかに臨床実習に反映させることができるかに産科看護法の評価が定まると思われるからである。私はしばしば以上の学科と実習の関連性がきわめて薄弱であることを多く耳にしている。臨床実習の綿密な計画を立て,実施する臨床指導者が定まっていないところにその問題があるのではないだろうか,その点筆者の学校においては,総看護婦長,産科婦長の理解と協力を得て専任教員がその計画と実施にあたられている点などたいへんのぞましいと思われる。

講座

ホスピタリズムとは 石原 純
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はじめに

 人格の発達にとって,乳幼児期の母と子の人間関係が重大な影響をもっていることはいうまでもないことですが,19世紀頃からヨーロッパでいわれてきたホスピタリズムという言葉は,乳児院や病院に長期間入院していると精神的身体的発育が遅れる状態をいうと定義されています。本文ではホスピタリズムの具体例に若干触れつつ,その原因,現われ方,対策と問題点などについて触れてみたいと思います。

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■看護学校の種類

 アメリカの看護に関する教育はprofessionalとnon-professionalに分けられ,professionalの方面は,さらにHospital School of Nursing(卒業するとDiplomaを受け,国家試験合格後にRegistered Nurse, R. N. の称号を受ける。以下Diploma Schoolと省略する)とUniversity or College School of Nursing(卒業すると学士号,Bachelor of Science, B・S. とDiplomaを受け国家試験合格後らRegistered Nurseの称号を受ける)とGraduate School of Nursing(修士課程より博士課程に至る)と別にJr. College School of Nursingがある。non-professionalのほうは看護助手と准看とに分れ,看護助手になるためには病院で短期間のオリエンテーションを受け,その病院で職場教育を受けながら看護助手となり,特別な学校はない。准看のほうは一年制の准看学校があり,その学校も州の看護局が認めた学校と認めていない私立またはその他の学校がある。

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はじめに

 戦後日本の看護学校にはアメリカの看護教育制度やカリキュラムが大幅にとり入れられ,社会学・心理学などの学科が基礎科目として加えられるようになりました。しかしこれらの科目をいわゆる“総合的医療看護”の目的に従って,看護教育の中に有機的に組み入れていく研究はまだ始まったばかりです。このような研究は,純然たる自然科学としての医学研究やそれに付随する看護技術の研究と異なっています。なぜならこれら人文系・社会系の専門知識を医療における独特の人間関係や臨床業務の中に統合する仕事は,学部間・学科間の限界領域に属している研究だからです。したがって今日にいたるまで,いずれの領域における専門家からも見落とされていた盲点でした。

 最近は臨床心理学や看護心理の研究が次第にすすめられ,このような間隙が熱心な教育者・研究者によって埋められようとしています。

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はじめに

 結核患者は一般疾病患者と異なり長期の療養を要するため,単に身体的な面ばかりではなく,他にいろいろな因子と連なりをもっている。

 患者が正しい療養生活を送り,一日も早く治癒するために,私たちは一層広い視野にたって,よりよい看護および保健指導のあり方をみいだしていかなければならないと考える。そこでわが国の結核の実態,医療の現状,結核対策から,「最近の結核の動向」をつかみ,さらに個々人の看護計画をたてる基盤となる「結核患者の全ぼう」をとらえるため患者の個人票を作成した。

編集デスク・34

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 水上勉が「オール読物」10月号に推理競作ベスト5の1編として「黒い産室」を書いている。この作品は,作者あてのある女性の手記の形式をとったものである。「私」なるこの女性は東京近県T市の大学病院の看護婦であり,インターンの蓮田先生に暴力でおかされその情婦になっている設定である。

 蓮田先生はぼろ儲けのできる産婦人科医になって病院を建てる夢を持っている。その夢を実現するために,T市に偽名で立川産婦人科医院を設立する。「私」を使って診療ははやりだす。そのやり方が問題なのだが,子供の欲しい不妊症の社長婦人に資金を出させ,麻酔分娩の妊婦をごまかして得た新生児を300万円で社長夫人に売りわたし資金を手に入れたというわけである。

基本情報

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看護教育
5巻2号 (1964年2月)
電子版ISSN:1882-1391 印刷版ISSN:0047-1895 医学書院

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