第2特集 看護学生論文―入選エッセイ・論文の発表
論文部門
発声できない患者の思いの表出に対する看護―トラベルビーの人間対人間の看護を用いた分析
増田 沙知代
1
1奈良県立奈良病院附属看護専門学校看護学科
pp.670-673
発行日 2011年8月25日
Published Date 2011/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101848
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はじめに
人間は自分の思いや感情を,言語的・非言語的コミュニケーション手段を用いて表出し他者に伝えている。これはヴァージニア・ヘンダーソンが構成した基本的欲求にあるコミュニケーションに当てはめることができ,普遍的な欲求であると言える。つまり,患者が思いや感情を表出できない場合は,看護者がそれを理解し表出できるよう努める必要があるということである。また,それらを伝え合う際に,信頼関係がなければ互いに理解できない場合がある。
今回,クモ膜下出血と診断された70歳代の女性を受け持った。患者は気管切開をしており,言語的に自分の思いや感情を伝えることができない状態だった。そこで私は,手を握る動作を用いて関わり,患者が思いや感情を表出できるよう関わった。その結果,わずかながら人間対人間の関係を結ぶことができ,患者の思いや感情の表出に役立てることができたので報告する。
なお,この研究および発表については,実習指導者より患者にプライバシー保護に留意することを口頭で説明し同意を得ている。
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