連載 “医療安全力”を育むリスクアセスメントトレーニング・Training 3
“SBAR”を活用した報告時のアセスメント力育成
斉藤 奈緒美
1
,
石川 雅彦
1
1公益社団法人地域医療振興協会地域医療安全推進センター
pp.636-642
発行日 2014年7月25日
Published Date 2014/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102759
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報告・伝達の問題点
医療の現場では,さまざまなインシデント・アクシデント事例が発生しており,その発生要因は単一の要因だけではなく複数の要因が関連して発生していることが多い。日本医療機能評価機構の医療事故情報収集事業 平成19年年報によると,ヒヤリ・ハット事例の発生要因として,最も多かったのが「確認が不十分だった,24.5%」で,次いで「観察が不十分だった,12.7%」,10位に「報告等(忘れた,不十分,間違い,不適切),2.1%」が挙げられている1)。
さらに,日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業の公開データ検索を活用して「伝達ミス」というキーワードで公開データを検索すると,「医師─医師間の術中迅速病理診断結果,陽性が陰性と誤って伝達」「朝の勤務交替時に看護師間の伝達・確認ミスで重複与薬」「医師─看護師間で,インスリンの指示変更に2日間気づかなかった」「医師─薬剤師間で,抗がん剤投与中止の指示が伝達されずに投与されそうになった」など,さまざまな状況における多職種間での伝達ミスによるインシデント・アクシデント事例が報告されている。
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