講座・看護社会学・1
看護における社会科学—マクグレゴールの著作紹介と解説を中心に
青木 茂
1
1東北大学医学部付属看護学校
pp.43-45
発行日 1964年2月1日
Published Date 1964/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905249
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はじめに
戦後日本の看護学校にはアメリカの看護教育制度やカリキュラムが大幅にとり入れられ,社会学・心理学などの学科が基礎科目として加えられるようになりました。しかしこれらの科目をいわゆる“総合的医療看護”の目的に従って,看護教育の中に有機的に組み入れていく研究はまだ始まったばかりです。このような研究は,純然たる自然科学としての医学研究やそれに付随する看護技術の研究と異なっています。なぜならこれら人文系・社会系の専門知識を医療における独特の人間関係や臨床業務の中に統合する仕事は,学部間・学科間の限界領域に属している研究だからです。したがって今日にいたるまで,いずれの領域における専門家からも見落とされていた盲点でした。
最近は臨床心理学や看護心理の研究が次第にすすめられ,このような間隙が熱心な教育者・研究者によって埋められようとしています。
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