第2特集 看護学生論文─入選エッセイ・論文の発表
論文部門
服薬を嫌がる幼児前期の子どもが主体的に内服に取り組めるためのプレパレーション
磯浪 令佳
1
1西埼玉中央病院附属看護学校
pp.690-693
発行日 2012年8月25日
Published Date 2012/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102164
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はじめに
プレパレーションとは,子どもが病気や入院によって引き起こされる心理的混乱を起こさないよう,緊張や不安をやわらげ治療に立ち向かっていく力を引き出すための心理的準備をいう。プレパレーションは子ども自身が治療に立ち向かうための力を促進するうえで重要な援助である。
今回私は,肺炎により初めて入院した2歳後期の男児(以下,Kくん)を受け持った。Kくんは治療処置に強い拒否反応を示しており,なかでも1日3回の服薬に対してはその度に大暴れしていた。私は,Kくんにとって強いストレスとなっている服薬への苦痛を取り除く必要があると考えた。子ども自身が主体的に服薬できるようになることで服薬への辛い気持ちが軽減でき,退院後も継続することができる。
平ら1)は,幼児後期の子どもに対し紙芝居による内服指導を実施したところ「80%の患児に服薬行動の変化が見られた」と報告している。また,篠田2)は,幼児前期の子どもに内服しやすい方法を検討し,「薬の見た目や味,風味をカバーし,飲みやすくすること」が有効であると述べている。薬を嫌がる幼児後期の子どもへのプレパレーションの有効性は明らかになっているが,幼児前期の子どもの場合は,薬の味を変えるなどの工夫に留まっており,子ども自身が主体的に内服に取り組む方法は明らかになっていない。幼児前期にあたる2歳のKくんが主体的に内服に取り組む方法を検討したので,ここに報告する。
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