保健婦雑誌 59巻6号 (2003年6月)

特集 わたしは住民のパートナー

  • 文献概要を表示

 地方分権時代を迎え,行政と住民とが“パートナー”という関係へと発展してきているといわれている。しかし,ぼんやりとしたイメージはあっても,具体的な活動方法はみえてこないのが現状ではなかろうか。保健活動のなかで,どうしたらよりよく住民とパートナーシップを組んで協働できるのであろうか。

パートナーシップの背景

■ヘルスプロモーションとパートナーシップ

 「パートナーシップ」という言葉は,いつから保健医療分野で使われはじめたのであろうか。医学中央雑誌で「パートナーシップ」をキーワードに文献を検索してみたところ,1件しか該当しなかった。日本では馴染みが薄い言葉であることがうかがえる。

  • 文献概要を表示

 北海道北部の中山間地域にある酪農を中心産業とした2500人のまち,中頓別町。高度経済成長が始まって以降,都市への人口流出が今日まで止まらないばかりか,地域産業の衰退も著しく,この地域で暮らす人々には不安が広がっています。さらに,雇用の問題,高齢化が進むなかでの医療・福祉の問題など,さまざまな課題が山積しています。

 構造改革が進められ,市町村合併の動きも活発になっている今日,農山村の小規模の自治体が生き残り,そこに住む人々が本当の豊かさとゆとりを実感できる地域社会をどうやって築いていくのか。ここに暮らし生活している者すべてが,もてる知恵を出し合い,力を合わせてこの困難な状況を乗り越えていく取り組みが必要とされています。

  • 文献概要を表示

茅野市の「パートナーシップ」

■「パートナーシップ」がシステムになる

 1996年3月,「茅野市の21世紀の福祉を創る会」(通称:福祉21茅野)が発足した。この組織は,高齢者の介護問題だけでなく,子ども・家庭や障害児(者)の問題も含めて,出生から終末期までの各ライフステージに応じた市独自の支え合いの総合的なシステムのあり方を検討するものである。行政も組織の一員として「福祉21茅野」に参加しており,市民と行政との協働が活動の基本スタイルとなっている。

 この「福祉21茅野」が中心となり,「保健・医療・福祉の連携と生涯学習を通じて地域社会が連携し,住み慣れた家庭や地域でいつまでも安心して暮らせるまちづくり」をめざして,各種の委員会や専門部会が立ち上がった。そこに主体的に参加する市民は200人を超え(「やらざあ100人衆」と総称),10年後の茅野市のあるべき姿について検討を重ねた(図1)。そして,公民でキャッチボールすること4年,2000年3月の議会で,地域福祉計画(福祉21ビーナスプラン:以下,ビーナスプラン,表)が行政計画として位置づけられた。

  • 文献概要を表示

住民参加の「住民」って誰?

 健康日本21は「住民参加」が大きな柱の1つとなっています。住民参加は“いまどき”の保健活動の鍵ともいえます。決められた事業を“こなす”だけで精一杯の毎日から脱出して,住民と一緒に健康づくりを実現させていきたい―そんな思いで,大津市では「健康おおつ21」の策定をスタートしました。

 そして,いざ「住民参加だから,住民を呼びましょう!」となったとき,「住民って誰のこと?」と困っている自分と向き合うことになりました。大津市民は約30万人です。何人以上が参加すれば「住民参加」になるのでしょう。策定委員に公募した委員が入れば「市民参加の計画づくり」なのでしょうか。自分の意見を持ち積極的に表明する人(声の大きい人)が加われば,それでよいのでしょうか。「住民を呼ぶ」といっても,まったく具体的な顔が浮かばないのです。

  • 文献概要を表示

見えにくくなった住民

 たった1日の業務のなかで,私たち保健師は,いったいいくつの業務をこなしているでしょうか。日々,繰り返し行われる健診や健康教室。その合間を縫って行う家庭訪問。自主グループの支援に,関係機関との会議。そして,それらの記録や報告書の作成。さまざまな連絡調整。自席に戻った途端に掛かってくる電話相談。突然来所するケースへの対応…。何か1つでもトラブルが起きれば,すべての予定スケジュールは泡と化し,トラブルへの対処に振り回されることになります。保健師の業務量の多さと範囲の広さは,並大抵ではありません。

 しかし,これほど慌ただしく忙しい毎日を送っているのに,いまだ保健師は行政組織のなかで市民権を得られておらず,他職種からは「何する人ぞ」と思われているように感じます。予算要求や人員確保など,保健師の必要性を説く場面で,苦い経験を味わったことのある保健師は少なくないはずです。

  • 文献概要を表示

 昨年12月14日,15日,第6回日本健康福祉政策学会学術大会が静岡県立大学短期大学部(静岡市)で開かれました。この大会は「安心して生活できるまちへ」「健康福祉の質の保証と当事者の参画」をメインテーマに掲げており,私たちは当事者の立場から大会の企画・運営に参加するよう求められ,実行委員会の一員として大会の準備にあたりました。

 大会は,基調講演「健康福祉の質の保証と当事者の参画―安心して生活できるまちへ」(松田正己氏:大会長,静岡県立大学看護学部)と6つのワークショップ,ポスターセッション,まとめのセッションという4部構成で行われましたが,いずれもメインテーマを軸に企画・運営されました。準備するなかで「基調講演を当事者がしてはどうか」と真剣に論議する一幕もあり(さすがにそれは実現しませんでしたが),今回の大会は「専門家やサービス提供者だけでなく,当事者の参画なくしては効果的な研究・実践はありえない」という主催者の思いが貫かれたものとなったと思います。

  • 文献概要を表示

 家庭では読むことのないビッグブックやエプロンシアターを購入して,乳児健診の時に活用した。子どもばかりでなく,親の興味も惹いたようだった。月齢で絵本に対する関心も違い3か月児は絵と言葉に反応し,10か月児のなかにはページめくりが楽しい児がいる。また,1歳6か月児になると生活に密着している食べ物・車などに興味を持っていた。保健センターにふれあいサロンを設け,常時絵本をおいている。

(担当:田中希代子)

連載 アジアに生きる アジアプレス発 現場ルポ・6

  • 文献概要を表示

本文献は都合により閲覧が許可されていません

連載 めざすは正義の味方 月光仮面 福祉の現場から・3

「お近づきの印」 内山 智裕
  • 文献概要を表示

 右も左もわからないまま,私はグループホームでの共同生活を始めた。グループホームの入居者は知的障害者12人。入居者が6人ずつの2つのグループホームが隣接し,食堂でつながっている。私が同居する理由は夜間専用の世話人としてだが,未だに入居者は私を世話人と思ってはいないようだ。でも,それでいいのかもしれない。あくまでも私は同居人。一緒に住む友だちとして接し,共同生活ができればそれでいいように思う。

 入居して数週間後,私は朝,ふとしたことに気がついた。新品の歯ブラシの毛が日増しに花開き,ペンギンの頭のように広がっていっていくではないか。おまけに,早朝歯を磨こうと歯ブラシを手に取ると,なにやらとてもウエットなのだ。湿った感じ。ちょっと不衛生かもしれないが,私は歯ブラシなんて半年に一度くらいしか替えない。しかし,そんなに強く磨いてもいないから,歯ブラシの毛が四方八方に広がることなど経験したことがない。それでも日を追って歯ブラシは広がっていく。摩訶不思議。その洗面台は私を含め3人が利用している。もしや…? 洗面台の鏡の横には三段になった棚がある。私は歯ブラシの怪を解明すべく,歯ブラシをまず一番下の段,次の晩は真中に,そして次の晩は一番上にと場所を変えておいた。しかし,私の歯ブラシは連日花開き度満点,ウエット度絶好調!! ついには四角だったシルエットがまりものように丸くなってしまった。

連載 アノネ,フクロウ所長様!? 所長と保健師紀久香のおとぼけメールボックス・6

  • 文献概要を表示

 ねえ片井ちゃん,私の新しいアパートに遊びに来るの初めてじゃない? 今日はゆっくりおしゃべりしようね! ソファに座って! いま,お茶を入れるね。

 フーン,なかなか良い部屋だね。でもさ,越してから,もう3か月は経っているよね? なんで,まだ段ボール箱に囲まれて生活してんの? こういうことは,プラン・ドゥ・シー! 計画的に終了すべきじゃないかしら?

連載 私のフィールドノート・6

オガミヤさん 星野 晋
  • 文献概要を表示

 「オガミヤさん」と聞くと,なにやらあやしげな宗教家が一心不乱に祈祷しているところを思い浮かべられるかもしれない。オガミヤの調査を始める前には私もそのように思っていた。しかし,調査で出会った彼らは,何のことはない,近所のおっちゃん,おばちゃんだった。たしかに神憑(かみがか)りの現場は鬼気迫るものがあるが,むしろ普段のそのあまりの普通さに驚かされた。

 私個人の研究における最初の調査地は,愛媛県の南予地方のとある町であった。四国は石鎚山の山岳信仰や八十八カ所参りなど,民間医療にも関連深い宗教的習俗が色濃く残っており,15年前にはオガミヤがまだそこここにいた。宇和島の郷土史家の方から紹介いただいた人脈をつてに,町から町へ訪ねて歩き,現役のオガミヤが4名もいるその町にたどり着いた。

連載 保健師さん 児童虐待を見逃さないで!・6

話を聴く姿勢 丸山 恭子
  • 文献概要を表示

 今回は前回に引き続き,支援者がもつ基本的姿勢である「話を聴く姿勢」と,支援活動のなかの「支援の姿勢」について,みていきましょう。

「話を聴くこと」が目的ではない

 前回は,支援者がもつ姿勢である「傾聴・共感・受容」「信頼関係」について考えました。そして,支援活動・支援業務としては,このような姿勢をもつこと自体が目的なのではなく,これらは支援目的を達成するために備えておくべき基本的姿勢だということを確認しました。

連載 現場で使える調査法・2

質問票のつくり方 西田 茂樹
  • 文献概要を表示

どのように調査票をつくっていますか?

 みなさんの多くの方は,いままでに1度や2度は調査の経験があると思います。さて,そのときどのようにして調査票,アンケートを作成したでしょうか。

 まず,とりあえず,性別や年齢,職業といった属性の質問文と選択肢を作成したのではないでしょうか。その際に,年齢は「○歳」と年齢の数値を記入させるか,あるいは「○~△歳」といった年齢階級の選択肢を選ばせるかを迷ったり,職業の分類をどのようにするか悩んだりしたかもしれません。

 属性の項目を一応作成したら,今度はいよいよ本題の質問項目の作成に取りかかったのではないでしょうか。そして,調査の課題について「こんなことを聞いておけばよいのではないか」「あんなことを聞いてみれば役に立つのではないか」というふうに順に質問文と選択肢をつくっていったかもしれません。途中で,「これを聞くのを忘れているのでは」「あの質問も大事なのでは」「それを聞くのなら,こちらを聞いておいたほうがよいのでは」といった議論もあったかもしれません。選択肢がつくりにくい質問については,自由回答にすることが決まります。

連載 感染症 Up to Date・81

  • 文献概要を表示

 腸管出血性大腸菌の広域集団感染の原因究明と被害拡大を阻止するため,実地疫学調査のための患者調査票を考案し,平成14年度から実際の患者発生時に適用を開始した。本稿では,開発に至った経緯と調査票を利用する意義について概説する。

腸管出血性大腸菌

 大腸菌(Escherichia coli:E. coli)は通常,ヒトおよび動物の腸管内正常細菌叢を構成する常在菌の一種であるが,特定の大腸菌がヒトの下痢症の原因となる。この下痢の原因となる大腸菌は,主に下痢を引き起こす病原性の発症機構の違い,疫学的特徴などから,少なくとも5種類に区別されている。

連載 ニュースウォーク・63

SARSの戒め 白井 正夫
  • 文献概要を表示

 ふるさと新潟市にあった母校,万代小学校が少子化のあおりで隣の学校と統合し,懐かしい校名が消えてしまった。どこにでもある田舎の学校だったが,校歌だけは格調があり,いまも口ずさむことができる。作詞者は「早稲田大学校歌」「カチューシャの唄」などで知られる郷土の歌人,相馬御風である。

 『早稲田文学』に関わっていた若き御風が恩師の島村抱月から早稲田大学創立25周年を記念して校歌を頼まれ,書き上げたのが「都の西北~」である。その後,島村は早大教授を辞して芸術座を起こし,女優松井須磨子と新劇運動を展開する。上演したトルストイ『復活』の劇中歌として御風が抱月と合作した「カチューシャの唄」を須磨子が歌って大ヒットした。しかし抱月は1918年(大正7年),世界をおおったスペイン風邪で急死し,2か月後,須磨子は後を追って自殺する。

連載 立川らく朝のヘルシートークウラ噺・18

嫁選び 立川 らく朝
  • 文献概要を表示

 何年か前のこと、ある用事があって大学病院のベンチに座って人を待っていると、目の前に高校生の女の子が座り、おもむろに鞄の中から特大のサンドイッチを取り出してぱくつきはじめた。その食いっぷりのいいこと。あっという間に食べ終わると、鞄の中からもう一つ、違う種類のサンドイッチを出した。これもまたでかい。体格もごく普通の女の子だったが、それでも瞬く間に平らげた。「おうおう、よく食うわい」と感心しながらほとんどみとれていたら、またもやもう一つ、特大のパンを鞄から出すではないか。これには驚いたね。「まだ食べる気かい」と呆れる私の目の前で、それを平気な顔で完食したのだ。みていてすっごく気持ち良かったね。スカっとした。

 しかし最近の若い女性は食べないね。昼休みのコンビニでOLたちの買い物を覗き見すると、べつに覗かなくてもレジに一緒に並んでりゃ昼のメニューぐらいはわかるってもんだが、これでも食事かと思うようなお粗末な内容と量だ。これで腹が満ちるのかと思う以前に、食事を楽しむという基本的な欲求が欠如しているのではないかと心配にさえなる。女性用の雑誌を見れば痩せることばっかり特集してるし、モデルもシャモの生まれ変わりみたいな女性ばかりで、あんな姿を美の標準にしているのかと思うと、「どうかしてんじゃないの」と思ってしまう。

  • 文献概要を表示

保健師は「暮らしの場」に赴く専門職

■「訪問指導」は社会契約にもとづいている

 保健師は,人々の暮らしている場を訪れることを法的に保障されている職種である。結核予防法,母子保健法,精神保健福祉法,老人保健法,および関連通知にある「訪問指導」という文言が,干渉的ともいえる訪問活動を正当化している。

 干渉的というのは,訪問活動はそもそも「公的な利益を守るために私的な権利を制限すること」「個人のニーズが発生する以前に公的に対策を講じること」が許されているからこそ実施できるものだからである。訪問活動の正当性は,「個人のレベルでは達成できないことを公的機構に委託して実施する」という,市民の社会契約にもとづいている。

  • 文献概要を表示

 本誌59巻4号のFOCUS欄で,菅原京子氏は“保健師資格と看護師資格とを一本化すべき”との論を展開し1),坪倉繁美氏は“4年課程では看護師のみを教育し,将来的には行政で働く保健師を専門看護師として位置づけ,大学院などで教育する必要がある”と指摘した2)。両論とも現行の保健師免許制度を根幹から再考すべきとしているが,筆者は「4年制課程における保健師教育は必要」「現行では保健師の免許は必要」と考えている。本稿では,米国での公衆衛生看護の動向,保健師に求められる能力の変化,保健師のキャリアパスと大学院教育の役割を踏まえて,現行の体制のままで保健師免許と看護師免許とを統合することの危険性について述べ,両者に反論したいと思う。

米国のPublic Health Nursingとの比較から

 Public Health Nursing(公衆衛生看護),Public Health Nurse(保健師)という言葉は,米国のLilian Waldが提唱したものである。Waldはヘンリストリートのセツルメントで訪問看護活動をしたのであるが3),同時に,工場労働者の健康管理,育児学級,育児相談,父母の会づくり,学童の健康管理,貧しい家庭の子どもに対する学校給食,弟妹を世話している子どもたちへの公園づくりなど,およそ現在の公衆衛生看護の原型になるような活動を展開している。また,Colombia University Teacher's Collegeの看護教育のフィールドとして,大学での看護教育にも大きく貢献した。1912年,Waldは全米公衆衛生看護協会(National Organization for Public Health Nursing)を設立して初代会長となり,関係雑誌も創刊し,Public Health Nurseの組織を強化していった。このWaldの活動は,米国だけでなく,ヨーロッパ各国,さらに日本にも大きな影響を与えた。日本への影響としては,保良せき(大阪朝日公衆衛生訪問婦協会,厚生省の初代看護課長)の活動があげられる。

  • 文献概要を表示

要旨

 学校内をすべて禁煙とし,教員も生徒の前では喫煙しない取り決めを行っている中学校(A校)と,校内での教員の喫煙が許されている中学校(B校)それぞれの1年生に対し,喫煙の害に関する知識,友人が吸っていた時にどのような行動をとるか,たばこそのものに対する考え方などについて調査を行った。

 喫煙経験は両中学校で有意な差はなく,男子生徒が約25%,女子生徒が約15%であった。生徒の喫煙の害に関する知識は,喫煙の害が「心臓病」「脳卒中」「赤ちゃんへの影響」に関係すると答えた生徒の割合がA校でB校に比較して有意に高かった。「友人がたばこを吸っている時,やめるように言えない」「友人からたばこを勧められた時に断れない」と回答した生徒の割合はともにB校がA校を上回った。また,喫煙に対する考え方として,「喫煙は本人の自由」「20歳になれば吸ってもよい」「子どもが吸えないのはおかしい」など,喫煙に肯定的な回答した生徒の割合がB校で高く,「未成年は吸ってはいけない」「飲食店では禁煙席がいい」「たばこの害の知識を得るべき」など,喫煙に否定的な回答した生徒の割合がA校で高かった。

 以上の結果から,生徒への直接的な喫煙防止教育だけでなく,職員室を禁煙にするなど,学校ぐるみでの環境整備に取り組むことが,生徒の意識を高めることに有効であると考えられた。

  • 文献概要を表示

 平成15年1月から2月にかけ,神奈川県内で2つの高齢者介護をめぐる事件が起きた。「介護疲れ79歳母殺す―57歳無職男を逮捕」「寝たきりの81歳母を殺害―介護の二男容疑で逮捕」。

 前者は57歳の息子が,半年前からはじまった介護に疲れて痴呆症の母親の首を手で絞めて殺した。後者は再三注意したのにもかかわらず,排便などが上手くできない母に暴行を加え,そのまま放置し死にいたらしめたという事件である。当事者間のどうしようもない苦渋を感じるとともに,老いること,とくに老いて介護が必要な状態になることについて深く考えさせられる。そして社会的な責務を担う専門職として,このような事件がくりかえされないためにできることは何かと自問自答する。同じような思いを抱いている保健師は多いのではないか。

 本書は,保健医療福祉分野で働く専門職により組織された「寝たきり予防研究会」の研究・実践成果をまとめたものである。専門職の息づかいとともに,専門職の立場から高齢者虐待のとらえ方や高齢者虐待の防止・予防対策を整理でき,実践に役立つ。

  • 文献概要を表示

 「保健師さんはすごく忙しそうでゆっくりお話もできなかった」「学校で習ったことと実際の活動が違う!」「保健師の専門って何だろう?」などなど保健所実習後の学生の感想はさまざまである。

 私は現在,1年課程の保健師・養護教諭教育に携わっている。1年間で2つの資格を得るためには,学生も教員も過密なカリキュラムをこなすことを強いられる。前期は座学を中心に「理論」を叩き込まれ,後期は実習で「実際」を学び,その間,事例をまとめての報告会や研究的な整理をしなければならない。

 冒頭の学生の感想にもあらわれたとおり,近年,多くの自治体で機構改革が行われ,保健師の活動の場や役割が大きく変化している。職域の拡大という点においては喜ばしいことだが,状況の変化に混乱している現場も少なくないようである。しかしこのようなときこそ「保健師とは?」「保健師活動とは?」の問いを反芻しつつ,活動の対象となる地域をどのようにとらえ,どう取り組んでいく必要があるか,原点に立ち返って再確認することが必要ではないだろうか。

基本情報

00471844.59.6.jpg
保健婦雑誌
59巻6号 (2003年6月)
電子版ISSN:2185-4041 印刷版ISSN:0047-1844 医学書院

文献閲覧数ランキング(
8月3日~8月9日
)